毎晩パソコンをシャットダウンするのはパソコンにとって良くないという話を聞いたのですが、パソコンは基本的に常にオンにしておいた方がよいのでしょうか? できるかぎりのケアは施したいと思っているので、最善の方法を教えてください。
いったい誰が言い出したのかは分かりませんが、毎晩パソコンをシャットダウンするのはよくない、というのは完全に根拠のない話です。たとえば、いきなりコンセントを引っこ抜くなどシャットダウンの方法が間違っていた場合、それは確かにパソコンに悪影響を与えるかも知れませんが、正しく終了させている限りは心配ありません。
実際のところ、毎晩シャットダウンする、というのにはいくつかの利点があります。1つ目は電気の節約になるということ。2つ目は予期せぬ通知音などで夜に目覚めてしまうことがなくなる、ということです。
しかしながら、パソコンをオンにしておくことにもいくつかの利点があります。常に起動しているパソコンはサーバーとして稼働することができ、あなたが寝ている間も作業を続けることができます。定期的にシャットダウンするのか、パソコンを常にオンにしておくのか、というのは使い方次第ではあるのですが、ちょうど良い機会なので、それぞれの利点と欠点とを比較してみましょう。
定期的にシャットダウンする場合のメリット・デメリット
・利点
節電効果/特にハイエンドパソコンを使っている場合、結構な電力を使用します。使っていない時にパソコンをシャットダウンしておくことで不要な電力使用を避けることができ、電気代も節約できます。
一時的なシステム問題の回避/常にパソコンをオンにしている状態が長い間続くと小さな問題が生じ始めます。これらの問題の多くは再起動をかけることによって修復されます。毎日再起動をかけている状態であればこれらの問題が起きることは少なくなり、マイナーなシステム問題を避けることができます。
ノイズのない環境/パソコンは起動していると、常に音を発します。ファンの音だけでも同じ部屋で寝ている場合はなかなか悩ましく思えることもあります。突然なんらかのファイルが再生されたり、アラートが表示されたり、アラーム音がなる、ということも考えられます。寝る前に音をミュート設定しておくことでこれらの問題は解決できますが、忘れてしまう、というリスクを伴います。
・PCから出る音量をスケジュール設定できるツール『SpeakerAdmin』
・うるさいパソコンのファンのスピードを調整する3つの方法
・WindowsとMacでパソコンの起動音をミュートする方法
・あの悩ましいファンの騒音を静める方法
パソコンが長持ちする/パソコンがいつ故障してしまうのか、というのは予測不可能なことではありますが、かけられた負荷が少ない状態を保つことでパソコンを長持ちさせることができます。埃などが少なく綺麗な場所に保管し、メンテナンスを行う必要はもちろんありますが、活動が少ない状態の方がハードウェアは長持ちします。
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・欠点
毎回の起動が不便/毎日シャットダウンし、毎日起動することの最大の欠点はその不便さです。毎晩シャットダウンするための手順を踏み、毎朝パソコンが起動するのを待たなくてはなりません。しかも起動するのを忘れて会社に行ってしまった日などはパソコンにリモートアクセスすることができません。ですが、
シャットダウンとスタートアップを自動化し、スケジュールに沿ってオン/オフを行うことによって不便さは解消可能です。
ムダな待機電力/パソコンをシャットダウンすることによって確かに節電は可能ですが、電源をオフにしている場合でも電力は微量ではありますが消費されています。オンになっている状態の方が電力消費量は大きいですが、離れた場所からでも操作できる状態にはあります。この問題は電力消費を制御できる電源タップなどを使うことで解決できます。またパソコンが対応している場合、USBで接続して充電元として使うことで電力が無駄にならないように仕向けることができます。
ハイバネートモードに切り替え/シャットダウンではなくハイバネートする、という手もあります。
サスペンド: 「現在の状態」をメモリーに保存して、パソコンを止める
ハイバネート: 「現在の状態」をハードディスクに保存して、パソコンを止める
(停電対策の PC ハイバネート|clmemo@aka)
消費電力はオフの時とあまり変わらず、作業状況の保存も可能なので、作業の途中から始めることができます。これはWindowsマシンでは標準となっていますが、OS Xでも使用することができます。Appleはこの状態をハイバネートではなくセーフスリープと呼んでいて、ノートパソコンのバッテリーレベルが限りなく低くなった際のみ使用されます。この機能は『SafeSleep』や『SmartSleep』といったアプリを使ってオン/オフ設定することが可能です。またパソコンをスリープにしておくことで節電することもできます。スリープからの場合、起動が早い、という利点もあります。SSDを使っている場合、起動速度にさほど変わりはありませんが、消費電力は多くなります。
全くシャットダウンしない場合のメリット・デメリット
パソコンを常に起動させておくというのは、とても利便性が高いです。時間やストレスから解放してくれる、という利点もありますが、いくつか大きな欠点もあります。
・利点
パソコンが常に使える状態にある/パソコンがいつでもすぐに使えるというのは言うまでもなく魅力的な利点です。しかし、この魅力には電気代の請求というおまけが付いてきます。いつパソコンが必要になるか分からないので常に準備しておきたい、という方であればその犠牲は致し方ないのかも知れません。
寝ている間もパソコンは作業を続けることができる/自分が寝ている間でもパソコンに作業を続けさせる方法は数多くあります。バックアップ保存をしたりシステムメンテナンスを行ったり、動画のエンコード、ソフトウェアアップデート、ダウンロード、アップロードなど時間のかかる作業を夜の間に行うことができます。
サーバを稼働/パソコンが常にオンになっている状態であればいろいろなことに活用することができます。家にいない時に
リモートアクセスする場合や家のパソコンでウェブサイトをホストするなどが可能です。どのような場合であれ、パソコンが常にオンライン状態であれば様々な使用方法が考えられます。
・欠点
電力使用量/一日24時間、週7日間パソコンをオンにしておくためには大量のエネルギーが必要です。パソコンを定期的にオフにする理由があるとすれば、資源を無駄にせず、電気代を節約する、という理由が真っ当です。
再起動が面倒くさい/定期的にシャットダウンする習慣がない場合、たまにする再起動はストレスの原因となり得ます。シャットダウンの準備をすることもないので、ますます不便さが強調されてしまいます。複数のドキュメント、ブラウザウィンドウ、アプリおよびその他のサービスが起動中の場合、全ての作業を一度終了させる、というのはあまり気がすすむことではありません。
OS X LionおよびMountain Lionにはリジューム機能があるのでシャットダウンの前の状態を復元することができますが、完璧な状態を復元するためには使用している全てのアプリがリジューム機能に対応している必要があります。再起動自体はそれほど大した手間ではないのですが、再起動の習慣がなく、その行為自体を余計な作業として捉えると不便に思えてしまいます。
と、ここまで書いて来たようにそれぞれのオプションには利点と欠点がそれぞれあります。どのオプションがいい、というのは使い方にもよるので一般論化することはでいませんが、利点と欠点をそれぞれ比較してみて自分なりの方法を見つけ出してみてください。
Adam Dachis(原文/訳:まいるす・ゑびす)