リーズナブルな旅行のための情報サイト「Nomadic Matt」を運営するMatthew Kepnes氏。ニューヨークタイムズやCNN、BCCといった名だたるメディアも称賛した目からウロコの旅行術の中から、特にオススメの9つを紹介してくれました。
もっとたくさん旅行をしたいと思っているのに、なかなかそうはいかない、という人は多いのではないでしょうか。誰かと旅行の話をするたびに、思うほど旅行ができない理由として、いつも同じ答えが返ってきます ─── 要するに、時間とお金の問題なのです。
お金をかけずに旅をする方法は存在するのに、旅行業界はそれをうまく隠しています。旅行はとてもお金のかかるもので、バケーションを楽しみたいならたっぷりお金を使わなければいけない、という印象を与えたがるのです。なぜでしょうか? 大がかりでぜいたくなバケーションのほうが、ずっと儲かるからです。さらに、大手ホテルには潤沢な広告費がありますが、小さな家族経営の宿はそうではありません。そのせいで、旅費を節約する方法はたくさんあるのに、多くの人がそれに気づけていないのです。
ここでは、皆さんにもっと安く、もっとたくさん旅をしてもらうために、世界中で使える著者お気に入りの9の裏技を紹介します。1.銀行の手数料をゼロにするには
せっかくの貯金を、銀行に払う手数料で減らしたくないですよね? 銀行の手数料を避けるためには、外国での利用手数料が無料のクレジットカードをつくったり(Capital OneやChase)、ATM利用手数料の全額が毎月返金されるSchwabの当座預金口座を開設したりという手があります。
あちこちで手数料を払うと、その時はたいした額ではないと思うかもしれませんが、長い目で見れば積もり積もって大金になります。ここで挙げた2つの対策をとれば、もう二度と銀行手数料を払う必要はありません。お金を節約して、もっと大切なことに使いましょう。Schwabの口座を開きたくないなら、Global ATM Allianceに加盟している銀行の口座をつくるという方法もあります。加盟銀行のATMを使えば、ATM利用手数料がすべて無料になります。
2.東南アジアで安い宿を見つけるには東南アジアを旅するなら、オンラインで宿を予約するのは避けましょう。大きめの都市ならネットで割安の宿を見つけられますが、東南アジアでもっとも安くて良い宿は、オンラインでは見つからないゲストハウスや安ホテルです。ほとんどのホテル予約サイトでは、予約が成立した時に手数料を取りますが、アジアのたいていの小さなゲストハウスは、その手数料を払えるほどの利ざやがないので、そうしたサイトには掲載されていません。充実したアジアのホテルリストを見つけたいなら、「Tripadvisor」か「Travelfish」を使ってみてください。いずれも安宿が充実している無料サービスです。
また、この裏技は、発展途上国の全域で使えます。コスタリカのプエルト・ビエホの宿を探した時には、Tripadvisorでは100軒以上も見つかったのに、「Hotels.com」では20軒も見つかりませんでした。こうしたサイト間の差は、中南米や東南アジアをはじめ、世界中の多くの地域で生じます。宿を予約する前に、Tripadvisorをチェックしてみましょう。いつも使っている予約サイトよりも多くの宿が見つかるはずです。
3.さらに良い、無料の宿を見つけるには宿泊費を節約する最高の方法は、宿代をまったく払わないことです。宿泊場所を無料で提供してくれる地元の人を見つけて、その人の家に滞在すれば良いのです! この方法なら、ローカルな情報を教えてくれる相手と出会うこともできます。そうした願いをかなえてくれるウェブサイトをいくつか紹介しましょう。
どのサービスも旅行者に対して、さまざまな都市で無料の宿泊スペースを提供している人を紹介するものです。ベッドのところもあればソファのところもあり、時には文字どおり単なるスペースだけというケースもあります。こうしたウェブサイトのねらいは、旅行費の節約だけでなく、旅行者が地域の文化を知るための手助けをすることにあります。また、互いの家を貸し合ったり(ハウススワップ)、バケーションで留守にしている人の家に滞在したり(ハウスシット)する方法もあります。
4.英国で安く食事をするには「Taste of the UK」カードは、英国にある5500軒以上のレストランで使えるダイニングカードで、食事代金が半額になったり、さまざまな特別料理を1皿分の値段で2皿もらえたりなどのサービスを受けられます。英国、特にロンドンでの外食にどれほどお金がかかるかを考えれば、このカードはまさに救世主でしょう。30日間の無料お試し期間もあるので、旅行の日程が30日未満なら、カード代金を払う必要はありません。このカードは英国内の住所にしか送付されないので、著者は滞在予定のホテル宛てに送ってもらっています。それで問題は解決です!
5.欧州で50%オフの鉄道乗車券を手に入れるには 2週間以上前に予約をすれば、欧州の鉄道乗車券が最大50%オフになります。ぎりぎりになってからだと、早いうちに予約するよりもずっと運賃が高くなってしまいます。無制限に利用できるレイルパスを使う場合でない限り、著者はいつも、旅行日程が決まったらすぐに乗車券を予約します。お金を節約したいなら、皆さんもぜひそうしてください。欧州のほとんどの国では、国有鉄道のウェブサイトからオンラインで乗車券を簡単に購入できます。 6.オーストラリアの鉄道に70%オフで乗るにはオーストラリアで景色を楽しむ最高の方法をご存じですか? それは列車に乗ることです。けれども、オーストラリアの列車は本当にお金がかかります。砂漠を走り抜けることで有名なザ・ガン(The Ghan)の乗車賃は、大人1名あたり774豪ドルです(ただし、学生やユースホステル会員証を持っている人は460豪ドル)。シドニーとパースを結ぶインディアンパシフィック(Indian Pacific)鉄道は779豪ドルです(学生は377豪ドル)。
ラッキーなことに、この話には抜け道があります。オーストラリアの鉄道パスを手に入れれば、交通費を最大70%もカットできるのです! オーストラリアのすべての鉄道路線(約10路線)に乗れるパスは722豪ドルですが、3つの有名路線(ザ・ガン、インディアンパシフィック、メルボルンとアデレードを結ぶオーバーランド(Overland))だけのパスなら、450豪ドルという安さで手に入ります。さらに、バックパッカー/学生向けのパスはたったの298豪ドルです。こうした鉄道パスは信じられないほどお得で、オーストラリアの鉄道の旅をお手ごろな選択肢に変えてくれます。1路線しか使わない場合でも、パスを買うほうが通常の運賃よりも安あがりです。
7.旅行者のメリットを最大限に生かすにはその方法はズバリ、「シティパス」を買うこと。シティパスとは、その街の美術館や観光スポットの入場が無料(または割引)になったり、公共交通機関を無料で利用できたり、一部のレストランやショッピングが割引になったりする、旅行者向けのカードです。1つの都市で多くの観光スポットを回る時は、著者はいつもシティパスを手に入れます。これまでにシティパスで節約した額は、数百ドルにのぼるでしょう。それに、交通機関を無料で利用できるのは本当に便利なので、たとえ1ドルしか節約できなくても、シティパスを買うことにしています。ロンドンで使った際には、観光費を100ドル以上も節約できました。
8.無料ツアーに参加するには 世界のほとんどの主要都市には、街の見どころを紹介し、文化に親しんでもらうための無料の街歩きツアーがあります。ニューヨークでは「Big Apple Greeter」、パリでは「Paris Greeter」が利用できます。欧州では、ほとんどの大都市が無料の街歩きツアーを主催していて、そのうち最大のツアー会社が「New Europe Tours」です。もしくは、ホスピタリティサイト「Couchsurfing」を利用してもいいでしょう。サイトに登録しているさまざまな地域の人たちが、喜んで旅行者に街を案内してくれ、地元の文化をじかに紹介してくれるはずです。 9.無料で飛行機に乗るには最後に、無料で空の旅ができる方法を紹介しましょう。航空機の代金は、旅費の中でも最大の出費です。でもありがたいことに、無料で飛行機に乗るチャンスは山ほどあります。米国の航空会社は、ハロウィンのキャンディよろしくマイルを大盤振る舞いしています。航空会社系のクレジットカードをいくつかつくるだけで、そのすばらしい特典が手に入るのです。カードを使って買い物をしていくと、気がついたころには、マイルを使うためのサービス料そこそこの値段で飛行機に乗れるようになっているでしょう。
マイレージ活用の最新情報をチェックできる情報源を紹介しておきます。
著者は、クレジットカードのポイントを使って、これまでに70万マイル分以上の無料航空券を手に入れました。たいていは、新しいボーナスプログラムに登録し、カードを使ってマイルを稼いで、目的地への無料航空券を獲得していますが、マイレージにまつわる「旅行の裏技」はそれ以外にもたくさんあります。例えば、以下に挙げるやり方でマイルを稼いでみてください。
提携ストアで買い物をする:どの航空会社も、AmazonやApple、Best Buy、Targetといった大手小売企業と特別な契約を交わしています。そうした提携ストアで買い物をすれば、1ドルあたり平均2~4マイルを獲得でき、時には1ドルあたり最大10マイルを稼げることもあります。1カ月に1000ドルを買い物に使う人なら、提携サイトで買い物をするだけで、3000マイルほどが手に入ります。商品の購入に余計なお金がかかることはないので、得はあっても損はありません。著者はマイルを稼ぎたいので、必ず航空会社の提携サイトで買い物をするようにしています。 特別キャンペーンを狙う:著者はいくつものニュースレターに登録しています。というのも、航空会社のサイトでは見つからない特別キャンペーンの情報が載っているからです。一部路線でマイルが3倍になるキャンペーンもあれば、単純にStarwoodなどの最新キャンペーンが紹介されていることもあります。著者は、Starwoodのニュースレターに登録して、Starwood Preferred Guest(SPG)ポイントを250ポイント獲得しました。アメリカン航空(American Airlines)は以前、ウェブブラウザにショッピングツールバーをインストールした人に1000ポイントを進呈していました。ユナイテッド航空(United Airlines)のアンケートに答えて、500ポイントをゲットしたこともあります。こうしたボーナスは数万ポイントになるようなものではありませんが、ほとんど何もしなくても、長い時間をかけて少しずつポイントを稼ぐことができます。塵も積もれば山となるはずです。 お得な飛行機に乗りまくる:マイル獲得の最新チャンスを探す人たちが集まる「Flyertalk」などのフォーラムでは、マイレージラン(マイルを獲得するための航空機旅行)をしている人をよく見かけます。航空会社が価格戦争に打って出たり、新路線を開拓したりする時には、よくマイルが2倍や3倍になるとんでもないキャンペーンが開催されます。また、ユナイテッド航空とアメリカン航空がニューヨーク・ハワイ間の往復航空券を400ドルで売り出した時のように、ばかばかしいほど安く航空券が手に入ることも珍しくありません。マイレージランは多くの人が行っています。まったくお金がかからないわけではありませんが、安い投資でマイルをたくさん稼ぐには効果的な方法です。 なんでもカードで支払う:著者は、現金での支払いはいっさい行いません。Starbucksから電話料金まで、あらゆるものを旅行向けクレジットカードで支払っています。仕事の経費も含めた1カ月の総支出は3000ドルほどですが、これは3万6000マイルに相当します。特別なことは何もせずに、欧州までの片道航空券を稼げるわけです。 ニュースレターに登録する:航空会社のニュースレターをできるだけたくさん受け取り、特別キャンペーンや割引運賃の情報に目を光らせておきましょう。というのも、すばらしい特典があるキャンペーンは、長くは続かないからです。著者は毎週、ニュースレターで仕入れた選り抜きのキャンペーン情報を一覧にしています。「Airfarewatchdog」もおすすめです。著者は、あまりお金を持っていません。お金持ちだったことは一度もないし、生まれつきケチなほうです。出費は大キライ。満足のいく対価が得られない場合は、なおさらです。ですから旅行をする時には、より安あがりにしてより長く滞在できるよう、どんな小さな方法にも目を光らせ、より多くの対価を得られるように努めています。ここで紹介した裏技を使えば、最高のバケーションを過ごして、旅先で出会った人たちと親しくなれるだけでなく、雑誌に載っているぜいたくなバケーションでするようなあれこれを、広告に書かれた高い料金を払わずに満喫できるようになるはずです。
著者の選りすぐりの裏技をもっと知りたい方は、刊行されたばかりの著書『How to Travel the World on $50 a Day』(1日50ドルで世界を旅行する方法)をチェックしてみてください。
Matthew Kepnes(原文/訳:梅田智世、合原弘子/ガリレオ)
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