何気ない日常の中でも、ふと「気まずい」と感じた瞬間はありませんか? 例えば、初めて会って握手したばかりの人が、かなりプライベートな話をしてきたらどう対応したらいいのかわからないですよね。その気まずさから逃れようと余計なことを言い、さらに居心地の悪い空気を作り出してしまうことはありませんか。世の中は、そんなに複雑でなくてもいいはずです。考え方次第で、どれほど気まずい状況でも対処できます。

私たちはお行儀のいい動物へと進化しました。誠実であることより、常に気を遣って礼儀正しくあろうとしているのです。誰かのせいで気まずい状況におかれたとしても、正直な気持ちを表さないまま許してしまいます。相手を傷つけたくはないし、ひどいことを言ったりもしたくありません。しかし、真実というものは、たとえどれほど伝え方に気を配っても、聞く側からするとあまり向き合いたくないものなのです。

これが、気まずい状況を打破する元になる考え方です。一朝一夕にマスターできるスキルではありませんが、経験を重ねることによって、気まずい状況にも対応できるようになる方法を紹介します。「何を話したらいいかわからない相手」の対処法

内気で、何を考えているのかわからないような人...あなたがそうならないよう努力していたとしても、逆にそんな人に会ってしまったらどうしましょう。自信を持ってそういう人と接するには、少し練習が必要です。

・シンプルだけれど、意見を求める質問をする

初めて会う人との会話は面接のようなものです。相手がシャイな人であれば、「兄弟は何人いるの?」というような質問は、答えが「一人っ子です」で終わってしまうかもしれません。でも、ここで何らかの意見を求める質問をしてみましょう。例えば、最近話題になったニュースについて聞いてみれば、会話が進んでいくはずです。あなたはその人の意見に対し、強く賛成したり反対したりせず、どうしてそう思うのか聞いてみましょう。相手が心を開いてくれるチャンスになります(この方法は、もう実践中の人がいるかもしれませんね)。

・「私は(あなたが気まずい感じでも)大丈夫だから」と相手に伝える

相手があなたといて気まずそうだったら、いい気持ちはしないかもしれません。でも、あなたが「それでも大丈夫」という気持ちを前もって伝えれば、そこから先へ進めるかもしれません。

例えば、「私の勘違いかもしれないけど、もしかして私が言ったことか何かで気を悪くさせちゃった?」と言うのもひとつの方法です。Gretchen Rubinさんは「the Happiness Project」の記事で、他のバリエーションを紹介しています。

「私たち、本当に一生懸命に働いてるよね」とか、「もどかしいですよね。私たちにはきっと共通の話題があると思いますが、今それを見つけるのに苦労しているのでしょうね」とかがあります。

具体的にどのようなことを言うとしても、この方法がうまくいく2つの理由があります。

  1. 気まずい感じをもう表に出してしまったので、それ以上は隠す必要がない。
  2. 「相手が気まずいのはこちらのせいかも?」と言うことで、相手が自身を責める必要がなくなったり、自身がシャイであることを相手が認めやすくなったりする。

この先は、自分の失敗談や自虐ネタの披露などすれば、この場では緊張しなくてもいいことを相手に伝えられます。話が終わったあとで、相手にも何か自身のことを話してもらいましょう。ちゃんと聞いて、適度な相づちを打てれば、さらに深い話をしてくれるかもしれません。

・安全圏から抜け出さないと会話は弾まない

「これさえすれば絶対に大丈夫!」なんて魔法のワザはありませんが、ひとつ言えることがあります。目指すべきは、相手が気を張らずに、個人的な話までしてくれるようになることです。あなたが誠実で、自分の話をしても偏った判断を下すことなく、おもしろおかしく口外される心配もないと伝われば、たいていの人は心を開いてくれます。

あまり突っ込んだことを聞いて気を悪くさせてはいけないと、当たり障りのない質問ばかりしていても、当たり障りのない答えが返ってくるだけです。その代わり、ちょっとだけ安全圏の外に出てリスクを背負えば、話が弾むかもしれません。この方法で必ず友達になれるとは言いませんが、安全圏から抜け出さなければ、まず友達は作れないでしょう。

「あれこれ話しすぎる相手」の対処法

シャイな人と対極なのは、誰彼かまわずしゃべりまくる人です。こういう人は、あなたのところに寄ってきて、別に知りたくもないようなプライベートなことをペラペラ話してきます。そして、あなたが黙って聞いていようものなら、気をよくしてあなたにお気に入りの詩集などを勧めてくるかもしれません。

・正直に言う

思い浮かべてください。あなたはパーティに参加していて、おしゃべりな人につかまってしまいました。その場から逃げるためにできることは、トイレに行く、飲み物を取りに行く、「ちょうど友人を見つけたので話してくる」と言うなどがあります。でも、これらの理由を使ってその場から離れたとしたら、相手は用事が済んだあとに続きを話してもいいと思うかもしれません。もうその人に会わないかもしれなかったらその場しのぎの方法でもいいかもしれませんが、正直に言うことを恐れることはありません。相手の会話によって自分が不快になることをちゃんと言わないと、相手はあなたといるのが楽しくなっておしゃべりが止まらなくなり、もっと不快になってしまいます。心理療法士のRogerさんもこう言っています。

あなたが相手に、ある特定の話題について話したくないことを伝えたり、電話についてのルールを決めたり(例えば「けがをして血が出たというような事態だったらいいけれど、それ以外の時には電話してこないでください」など)することで、相手にあなたが対応できる範囲をわかってもらえます。そのエリアを超えたら、相手へ丁寧にそれを伝えましょう。あなたのエリアを侵略させないように、嫌なものを嫌と言わないために、ずるずると関係を続けないようにしましょう。

とはいえ、いくら正直に気持ちを伝えても、気まずくて不快な会話からいつも逃げられるとは限りません。そういうときは、もうその場から立ち去るしか方法がないのです。はっきりと「あなたとはだいぶお話をしましたし、そろそろ別の人のところに行きたいです」と言いましょう。内心は「あなたとは金輪際お話しする気はありません!」ですが。

最後に、一対一の状況について。これはとても難しいです。相手とは最低限の時間がまんして一緒にいるか、または一緒にいても楽しくないことをすぐに伝えるしかありません。ただ、どちらにせよ気まずくなります。ここからはバンドエイドをゆっくりはがすか、一気にはがすかの違いになってきます。どちらの方法でも痛みは伴うので、変にごまかすより正直に言った方がいいかもしれませんね。

・お株を奪う

聞かなくてもいいことまでペラペラ長くしゃべる人と一緒にいる状態に耐えられず、しかも正直に不快であると伝えられないなら、もう相手のお株を奪うしかありません。あなたも、とりとめもなくどうでもいいことをしゃべり始めてください。他の人には絶対しないようなあなたの秘密...でもバラしたからといって大したことのない話をするのです。「この間、カキにあたって大変なことになってね」とか、「実は子犬の写真が大好きで携帯電話に500枚ぐらい入ってるんですよ」とか。もしかしたら、相手にしゃべる間を与えないことに快感を覚えるかもしれません。しゃべっているうちに、時間はあっという間に過ぎてしまうことでしょう。

「気まずい会話をものともしない相手」の対処法

生活音が大きすぎる隣人、役割分担をしてくれないルームメイト、世話好きな親や友達など、知らないうちに周りの人を不快にさせてしまう相手がいます。そういう人たちに向かって「あなたが原因です」とは言いにくいですよね。それが気まずい会話につながってしまいます。

・思い込みに気をつけましょう

コミュニケーションがうまくいかない理由に「思い込み」があります。隣人の生活音があなたに筒抜けだからといって、お隣さんがそれに気づいているとは限りません。また、お隣さんは自分が悪いとは思っていないかもしれません。まず、文句を言いに行く前に、集合住宅なら、住人同士の決まりを確認しましょう。たいていの場合、夜から朝にかけて、騒音に気をつけなければいけない時間が設定されているはずです。お隣さんが騒がしい時間はいつでしょうか。あなたにとっては迷惑行為でも、お隣さんはルール違反ではないかもしれません。

いずれにしても、あなたは相手に苦情を言えます。ただ、あなたが嫌な思いをしているからといって、相手がルール違反をしていると決めつけるのはやめましょう。これは頭ではわかっていても、実は難しいことです。なぜなら、私たちは頭に来ているときに冷静な判断ができないからです。こんな状況に対処する方法として、先の心理療法士、Rogerさんはこう話しています。

心理療法士がカップルに「正しいケンカの仕方」を教えるとき、相手の怒りをその状況ではもっともな感情だと尊重させます。そして、強い怒りの感情を抱いているときには、自分をいらだたせる相手の行動に反応しないように提案するのです。同じことが、相手を問いただす時にも言えます。自分の感情に任せて相手を追求すれば、相手はあなたの感情に反応して、あなたの言っていることが耳に入らなくなるのです。私はクライアントに、自分の感情が収まるまで20~30分ほど待ってから相手と相対することを勧めています。

・勇気を持って伝える

この方法が使えそうなのは、だらしないルームメイト、おせっかいな親、いつも時間に遅れてくる友人、臭いがきつい同僚など、何らかの理由であなたを不快にさせる人です。たいていの場合、あなたにとっては明白でも、本人は自分に問題があることに気づいていません。さらに、それまで誰も教えてあげていないので、本人はどうやってその問題を解決すればいいのかわかっていないのです。ここで、あなたは勇気を持ってこう言うのです。

気づいてないかもしれないけれど、あなたのしていることで、私はいやな気持ちになるんです。あなたの選択についてとやかくは言いたくないけれど、もしかしたら話し合って、お互いがいい気分でいられる道を見つけられるかもしれないと思っています。

あまり具体的なセリフではありませんが、基本はわかっていただけたでしょうか。つまり、相手にやめてほしいことを伝え、そこで終わりにせず、話し合いを経ていい結論を出そうと提案するのです。騒音が問題なら、時間を変えてもらえるかもしれません。あなたが落ち着いて、柔らかい態度で相手にお願いすれば、相手もわかってくれる可能性大です。

・それでもやめてくれなかったら、容赦はしない

勇気を出して伝え、相手がすぐにやめてくれたのなら、理想的な形です。現実はなかなかそうはいきません。自分のしていることが周りに迷惑をかけていることに、なかなか気づかない人もいるのです。そういう人に対しては厳しく対応しましょう。相手の行動が法律違反であれば警察に通報したり、そうでなくても大家さんに言ってもらったりしましょう。あきらめないで、毎回あなたが行動を起こすのです。

通報とまでいかなくても、同じような方法が他の状況でも使えます。時間にルーズだったり、周りに気を遣わなかったりするのは、その人にとって楽だから改めないわけです。つまり、それを楽ではないものにしてしまえばいいわけです。具体的な方法は状況や相手によるので詳しく述べませんが、あなたはおそらく長い間にわたって苦しめられているのですから、アイデアを出すのはそれほど難しくないと思われます。

・一番大切なのは、自信を持ちつづけること

そもそもなぜ気まずくなるかというと、あなたが気まずいと思ってしまうからです。ピンときませんか? あなたは「このよくわからない状況は気まずいんだ」と決めつけてしまっているのです。よくわからない、はっきりしない状況にいる自分をおかしく思ったり、笑ったり、楽しんだりして、先へ進めばいいのです。周りの人が言ったりしたりすることに、あなたが影響される必要はありません。気まずさはその場に対する恐怖感からきているのですが、たいていの場合、感じる必要のないものです。大切なのは、健全なレベルの自信を持ち続けていれば、慣れない環境に置かれたとしても、そこから抜け出そうとする勇気を持てるということです。

Adam Dachis(原文/訳:山内純子)

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