「最強のiPhone用Gmailアプリ」だと、巷を賑わせている『Mailbox』。まだ実際に触った人は少ないものの、期待の声は急上昇。すでに75万ユーザーが利用待ちの行列をつくっています。米テック系ブログサイトVentureBeatでは、この大行列のワケが考察されていました。「実際に触った人が少ない」のには理由があります。Mailboxはいまだ、万人が使えるわけではありません。アプリをダウンロード後に「予約」をして、先着順で使えるようになります。アプリを起動した際に表示される「待ち状況」を見ては、もどかしさを覚えているユーザーも多いのではないでしょうか。
VentureBeatによれば、Mailbox CEOのGentry Underwood氏曰く「現在もっているリソースではこうするほか選択肢がなかった」。当初は3USドルでリリースする予定でしたが、プロモーションビデオの再生回数が100万人を超え、気持ちが変わったそうです。予想以上にアプリへの注目が高い。となると大量アクセスによるサーバーダウンの可能性を抱えたまま、初日から全ユーザーに向けて有料でリリースしてしまうのはリスキーです。それよりもアプリを無料にして、予約制でゆっくりユーザー数を増やしていくことにしたというのです。
同アプリはいま、Amazonのクラウドサービスを使っているとのこと。徐々にアクティブユーザー数を増やして、システムを強化していくことで、スタート時に必要なインフラへの巨額投資を防げるのでしょう。
今の状況を、まるで会員制のナイトクラブのようだと例えている人もいます。大行列ができているのに、お店の中に入ることができるのは数少ない選ばれた人のみ。ただ、不思議とこういうクラブほど惹かれてしまうのが人間の性でもあります。Woody Allen氏がかの名画「アニー・ホール」で語ったセリフを思い出します。
僕を会員にするようなテニスクラブには入会したくない。
また、このやり方を「マーケティング戦略」だと指摘する意見もあります。TechCrunchは「待ちゲーム」と呼んで、意図的か否かはおいておき、Mailboxがユーザーを存分に魅了していることを報道しています。
前述のUnderwood氏本人は、大行列の理由にマーケティング戦略は皆無だと強調。同時に会員制ナイトクラブのようだという意見について、理解も示しています。
確かに、たくさんの人が参加したがるパーティーやナイトクラブのようです。でも、もし中から出てきた人が「最悪のパーティー」だったなんて言っていれば、そもそも行列には並びませんよ。(VentureBeatより)
サーバーダウン対策としてはじめた「予約制」。二次的に人を惹きつけて、75万人もの大行列が生まれました。果たしてアプリ自体は期待値通りか、それ以上なのか。そう考えながら、またMailbox予約順を確認してしまうのでした。
Mailboxの機能性についてはこちらの記事をどうぞ。
Mailbox CEO says insane 380K person wait list kept app from crashing today|VentureBeat
Mailbox's Virtual Queue Succeeds In The Waiting Game Where Peter Molyneux's Curiosity Stumbles|TechCrunch
(五十嵐弘彦)
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