5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)という考え方があるトヨタには、片づけの文化が浸透しているそうです。そして、その点に注目した『トヨタの片づけ』(OJTソリューションズ、中経出版)の著者は、「デスクの上が整然と片づけられている人ほど、段取りよく仕事をこなしています」と断言します。
でも、わかってはいてもなかなか片づけられないもの。そこできょうは本書から、「ムダを減らすトヨタの『整理術』」に焦点を当ててみましょう。1.「モノの放置」がすべてを物語る(56ページより)
整理されていないオフィスは成果が上がりにくいため、「モノの放置」を放っておかないのがトヨタマン。ポイントは「いるもの」と「いらないもの」を分け、いらないものは捨てること。この意識が徹底されていないと、モノの放置が生まれるそうです。
2.捨てる「判断基準」を持ちなさい(62ページ)片づけに「判断基準」を持つことは、整理することにつながっていくそうです。たしかに「いるもの」と「いらないもの」の判断基準が不明瞭なら、迷いが生じて捨てられなくなっても当然かもしれませんね。
3.「いつかは使う」には期限をもうける(68ページ)身のまわりのものを
- いま使うもの
- いつか使うもの
- いつまでたっても使わないもの
に分けようというのがトヨタの考え方。重要なのは、「いつか」には必ず「いつまでに」と期限を設けることだそうです。しかも期限はできるだけ短くし、終わると同時に処分すること。
4.人を責めるな。「しくみ」を責めろ(78ページ)「人はモノを隠したがる」もの。ミスを隠そうとするのがいい例です。しかしそれは悪循環ですから、トヨタは「人を責めるな。しくみを責めろ」を基本姿勢にしているそうです。ミスした人間を追いつめるのではなく、マイナス情報も迅速に伝えられる風土を作るべきだという考え方です。
5.「いらないもの」探しは窓ぎわから(84ページ)いらないものはつい窓ぎわに置いてしまうものなので、片づけをするときにはまず「窓ぎわ」を見るべきだそう。そして、「陰」の部分をできるだけなくす。隠さず、人目につくようにする。合理的な発想ですね。
6.必要なものを必要なだけ持つ(90ページ)手元に必要以上のものを持ってしまいがちだから、トヨタでは「必要なものを必要なだけ持つ」という考え方を徹底しているそうです。そして、整理を進めるために日々の仕事の偏りをなくし、繁忙の楽さを少なくしていくこともカギだといいます。
7.先に入ってきたものから、先に出しなさい(100ページ)- まずA列の上からとっていく
- A列を使い切ったら、B列の上からとっていく
- その間にA列を補充しておく
- B列を使い切ったら、再びA列の上からとっていく
この「先入れ先出し」の考え方こそが、整理の基本だとか。
8.「発注点」を定めなさい(108ページ)たとえばコピー用紙が置かれている場所の、上から3段目にカードを差し込んでおく。これが「発注点」で、つまりカードを確認した時点で新しいコピー用紙を発注できるようにするわけです。これなら発注ミスもなくなりますね。
9.「使わないもの」「使えないもの」を明らかにする(116ページ)「使うもの」はそのままにしておき、「使わないもの」「使えないもの」に赤札を貼っていくことで無駄を省いていくのがトヨタ「赤札作戦」。こうすることでモノの担当者がわかり、モノの存在そのものに気づくきっかけにもなるとか。
10.1年間使わなかった名刺は即刻処分(124ページ)1年間使わなかった名刺は処分し、いらなくなったメールもすぐに削除。さらに本は、処分する期限を決める。使わない名刺を保管していても、生産性は上がらないというのがトヨタの考え方。これには大きく共感できますね。
本書では他にも、トヨタ流の「片づけ術」がわかりやすく説明されています。ぜひ熟読し、デスクまわりをムダのない状態にしてみてください。きっと効率が上がります。
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(印南敦史)