神経科学的には、人間がよりクリエイティブで生産性も高くいられるようにするには、脳に休息を与えることが必要と言われています。穏やかで心静かにいられる時こそ、最も高く洞察力を発揮できます。しかし、忙しい現代の日常生活で、そのように心を落ち着かせる時間を取ることは...かなり大変です。
今回は、短時間で簡単に頭をリフレッシュできる3つの方法をお教えしましょう。1. 短時間の瞑想をする
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)ニューロイメージングラボの新しい研究によると、瞑想をしている人は脳の特定の領域にグレーゾーンのようなものが多くあるそうです。また、脳の領域間がより強くつながっており、年齢による脳の萎縮があまり見られません。つまり、瞑想は脳を「大きく、速く、若く」するということです。主任研究員のEileen Ludersさんは「瞑想は脳の物質的な構造を変える可能性がある、強力な精神的エクササイズだ」と言っています。
電車やバスなど公共機関で通勤している場合は(誰かに車で送ってもらっている場合でも)、その間の10分間、目を閉じてみましょう。車で通勤しているなら、少し早めに移動して駐車してから、出社前に10分間、車の中で目を閉じます。川のせせらぎ、波、森の中など、何らかのイメージを頭に思い浮かべて、それだけに意識を集中させます。他の考えやイメージが浮かんできたら、静かにそれを追い出します。これを一日に1~2回やります。「心が落ち着いて穏やかになっている」と自分で気が付くようになることが目標です。
2. 一定のサイクルで動く
著名な心理学者であるK. Anders Ericssonさんは、「音楽から科学からスポーツまで、あらゆる分野で一流の人というのは、約90分のサイクルで活動し、休憩をしている」と言っています。人間はある一定のサイクルで動き、エネルギーを循環させるようになっています。一定のサイクルで動くことは、日々の生活の中で休憩を取るための、もっともシンプルで時間のかからない方法です。
「Scirocco」や「Healthy Hints」など休憩リマインダー系のアプリをダウンロードし、90分毎に休憩を取るように設定します。休憩のサインが出るまで、仕事や作業に没頭しましょう。休憩時間になったら、少し散歩をしたり、仕事仲間とおしゃべりをしたり、音楽を聴いたりして休憩します。息抜きやリフレッシュができることであれば、本当にやりたいと思っていることでなくても、何でも構いません。5分後には、また仕事なり作業なりに戻りましょう。
3. ぼんやりと空想にふける
3M社のArthur Fryさんが、教会でぼんやりとしている時に「ポストイット」のアイデアを思いついたという逸話を知っている人も多いかもしれません。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者Jonathan Schoolerさんは、Fryさんのように空想にふけったりぼんやりとする人の方が、創造力テストで好成績を出すという結果を何度も提示してきました。瞑想との違いは、頭の中を空っぽにするのではなく、とりとめもなく浮かんでくる考えや思いに身を任せるということです。そうすると、突然ひらめいたり、アイデアが降りてくることがあります。
まずは週に2日、お昼休憩の時などに20分程度、ぶらぶらと散歩をしたり空想にふけってみたりすることから始めてみましょう。仕事のことでも何でも、頭に浮かぶことを考えます。今度の休みはどこに行こうか、家を建てるとしたらこんな家にしたいな、ヤンキースのショートの選手のプレイについて...何でもいいです。慣れてきたら、週に3~4日に増やします。空想をしている時に誰かに捕まって、仕事をサボって何をしているのかと聞かれたら、「脳の創造性を引き出しているところだ」と言いましょう。
どれも生活の中に取り入れて、習慣にできれば簡単なことばかりです。まずは周囲に不審がられたり、邪魔されたりしないような時間や場所を選んで始めてみてはいかがでしょうか。
Quick and Easy Ways to Quiet Your Mind | Harvard Business Review
Matthew E. May(原文/訳:的野裕子)
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