合言葉は「くるみをふたにぎり」。

一日に75gのくるみを食べるだけで、濃さ、生命力、躍動力、形、染色体異常の全ての面で、精子の質の向上が見られました。生殖生物学の学会誌『Biology of Reproduction』の最新号に掲載されていた研究結果です(ちなみに米・総合病院メイヨー・クリニックによると、精子の中で形態学的に正常なものはわずか4パーセントしかないそうです)。

今回の発表を行った研究者は、元気が良く、形がよく、凝縮率が高い精子が男性の繁殖力の高さを示すのかどうかに関してはコメントをしていません。ですが、イギリス・BBCによると、今後も研究は続けられるとのこと。不妊治療などにも適用できる可能性があるためです。

今回の実験ではくるみに含まれる脂肪酸が精子の成長の手助けをしたのではないか、と推測されています。

また、シェフィールド大学で男性病学を教えているAllan Pacey博士は「この手の研究を面白おかしく伝えることは簡単です。しかし、睾丸で作り出される精子の数や質に、男性の食事が影響を与えるという説を裏付ける証拠は、年々増えてきています」と、語っています。

研究者によると、次の段階では不妊治療を行っているカップルにおいて、男性の精子の質が問題の場合に、くるみを食べることで妊娠率が上がるのかどうかの調査を行う予定なのだそうです。

ただ、今回の実験に対し、信ぴょう性を疑う声もあります。Pacey博士は「くるみを食べるように指示を受けた男性たちは、論文上の結果を良いものにするために何らかの行動を変えたという可能性も考えられる」と、指摘しています。研究をフェアなものにするためには、くるみから成分を抽出した錠剤などを作り、誰が実際にその成分を摂取しているのかをわからないようにして実験する必要があるのだとか。

それでも研究者たちは、今回の結果にかなり自信がある様子。「今回の研究結果は、わずかながらも精子の健康に、統計学的に有意義な改善をもたらすであろう」と、Pacey博士は語っています。

まだまだ精子の数や質がどうなるかは実際のところ解明されてはいませんが、もしかすると本当に効果があったと証明される日もくるかもしれません。まずは自分で試してみる手はありそうです。研究者の結果を待つまでもなく、くるみはおいしいということは確かですから。

Walnuts 'improve sperm health' | BBC

Robert T. Gonzalez(原文/訳:まいるす・ゑびす)