害虫対策として効果があるとされている超音波による虫よけは、希望的観測に基づいたものであり、科学的な根拠はない、という研究結果が発表されました。これらの超音波を発する製品を長年研究してきたテキサスA&M大学の昆虫学者によるものです。研究の結論としては「超音波の虫よけにお金を払うよりは、実際に効果がある虫よけスプレーなどにお金を投じた方が賢い」のだそうです。
Photo by eilonwy77テキサスA&M大学の昆虫学者Roger Gold博士は、超音波系の虫よけの効用に関する研究を1990年代から20年以上に渡って続けてきました。iPhoneのスピーカーから超音波を発するアプリから、コンセントを差して壁にかけておくものまで、あらゆるタイプのものを研究対象としました。「Buzzfeed」のインタビューの中で、博士は「長年行ってきたテストの結果によると、超音波系の虫よけの効能を裏付ける証拠は何一つありません」と、語っています。虫が嫌がる音は実際に存在するものの、しばらくすると虫の方が慣れてしまって平気になる、というのがオチなのだそうです。2002年にカンザス州立大学で行われた実験によると、94dBの音がノシメマダラメイガという種類の蛾にストレスを与えることは明らかにされました。しかし、その影響は「交尾をしなくなる」という程度であり、そこから移動するほどのストレスではないそうです。また同じチームによって2006年に行われた実験によると、前述のGold博士の研究と同じく、超音波系のデバイスはゴキブリに対して全く効力がない、と結果付けられました。
つまり、結果からすれば、超音波系のアプリや装置は、率直に申し上げてしまうとお金の無駄である、ということです。余談ですが、筆者も、害虫問題を抱えた部屋に引っ越してきてしまったことがありました。健康に影響を及ぼす可能性のある殺虫剤をまき散らすよりはよかろうと、コンセントにつなげるだけで害虫を駆除できるらしい超音波系の装置を使用したことがあるそう。その効果は確認できず、6カ月後にはその部屋から引っ越した、という苦い経験があるのだとか。
Do Sonic Bug Repellents Actually Work? | Buzzfeed
Alan Henry (原文/訳:まいるす・ゑびす)
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