今回紹介する『プロ論』(B-ing編集部・著、徳間書店)は2004年12月発売の本ですが、今読んでも気づきのある良書。経営者、作家、タレントなど50人のインタビューを収録しています。一人あたり6ページとややボリュームは少なめ。しかしその分、エッセンスが凝縮されており通勤時間中に読むには最適かと。

ここでは、この50人のインタビューの中からいくつか選んでご紹介します。

 

商売にずっと携わってきて分かったことがある。それは向き不向きではなく、これだと思う仕事を一生継続することが何より大事だということです。(中略)私が若い人に伝えておきたいのは、できるだけ早く、「一生かかって何をしたいのか」という目標を明確にして仕事をすべきだということです。

柳井正(p.62)

上司から納得のいかない仕事を命じられても、「オレを気にかけてくれているんだ」くらいに思っていました。変なプライドを持つから、嫌な思いをすることになる。

藤巻幸夫(p.31)

この本の特徴は、経営者だけではなく、タレントやプロデューサーへのインタビューも収録している所。有名タレントのプロフェッショナル精神にも触れることもできます。

僕の好きな言葉に「止まっている時計は日に2度合う」があります。例えば、ずっと前から延々とカスミ草だけを植えている人がいるとします。自分の姿勢を決して曲げない。でも、何年かに一度、カスミ草の大ブームが来て、この人は高い評価を受けるんです。一方、ただ流されて、ヒマワリだ、タンポポだと移ろう人もいる。こういう人は、永遠に時代から5分遅れで走り続けるわけです。

秋元康(p.190)

人生って、地図もないし、ナビもない。どう進むかは、自分で選べるわけです。それが楽しいはずなんですよね。選択ひとつで、予想もしなかった形で夢がかなったりするかもしれないわけですから。だから辛抱する。準備しておく。ポジションを見極めて、冷静に判断することが大事になるんだと思う。

石橋貴明(p.70)

本書がもともと転職情報誌の巻頭インタビューを加筆・修正したものなので、全体的に「目を社外に向けろ」論が多いです。ですが、どの組織に属していようが、仕事に対する姿勢は本質的には変わらないものです

成功している人が、かつて自分と同じ悩みを持っていた―。そんな、自分を鼓舞してくれる本です。

■本書で紹介されている著名人(一部)

  • カルロス・ゴーン
  • 小谷真生子
  • 糸井重里
  • 佐藤可士和
  • 金子勝
  • 佐々淳行


(安齋慎平)