「パー、グー、チョキの順に手を出すと、ジャンケンで勝つ確率が高い」という話を幼い日に聞いたことがあります。その理由は、「相手はグー、チョキ、パーの順に手を出すことが多いから」という単純なものでした。科学的根拠など知る由もなく、友達が言っていたことをそのまま信じてジャンケンをしていたものです。

さてこのジャンケン、実際には手の出し方はそれぞれ1/3とはならないようで、人には出す手の「クセ」があるようなのです。ある大学教授が学生725人を使って実験を行なっているので、ここにご紹介します。

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 2009年6月20日の日本経済新聞土曜版「日経プラスワン」に、桜美林大学の芳沢光雄教授による「ジャンケンに関する研究結果」が掲載されました。芳沢教授が学生725人を集めて、のべ11567回ジャンケンさせたところ、人間の手の出し方はグー、キョキ、パーそれぞれ1/3とはならなかったそうです。当時の記事には、以下のように書かれています。

最も多いのはグーで4054枚(35.0%)、次はパーで3849回(33.3%)、最も少ないのはチョキで、3664回(31.7%)と、かなりのバラツキが出た。統計的にはグーが出やすく、チョキが出にくい。だから、パーを出せば勝ちやすいというわけだ。

また、あいこの場合にも一定の法則があるようです。芳沢教授によれば、学生725人が2回続けてジャンケンした10833回のうち、同じ手を出す(あいこ)回数は2465回(22.8%)にとどまったとのこと。この結果から、あいこは出にくい(確率は22.8%)ということがわかります。

よって、まず最初は相手が35.0%の確率で出すグーに勝つ「パー」を出すのが賢明。そして、あいこになったら(つまり相手もパー)、相手がパーを出す確率は22.8%なので、相手がグーかチョキを出す確率は77.2%。グーかチョキに勝つ(またはあいこ)になるのはグーなので、この場合は「グー」を出せばいいということになります。

同様に、グーであいこになった場合は、相手がチョキかパーを出す確率は77.2%なので「チョキ」を出しましょう。チョキであいこになった場合は「パー」です。

これらのことから以下のことが言えます。

あいこになったら、今の相手が出している手に負ける手を出せば勝つ、またはあいこで勝ち残れる。


もちろんこれは確率の話。チョキを出しやすいクセのある人もいれば、パーしか出さない人もいます。しかし、必勝法のひとつとして知っていて損はないと思いますので、参考までに。

ちなみに芳沢教授のブログでは、AKBじゃんけん大会の確率も分析していますので、興味のある方はご覧ください。

(安齋慎平)