こんにちは、鉄道大好き貧乏旅行大好きな「失業経験有り人事担当」の田中二郎三郎です。
さて、JR各社には「大都市近郊区間」という制度があります。これは、多数の路線が入り乱れている都市圏で、主として運賃計算を簡便にするために定められたもので、「どの経路をたどっても発駅と着駅との距離で運賃を決める」制度です。現在は、東京、大阪、福岡、新潟の4都市圏にあり、それぞれ「東京近郊区間」「大阪近郊区間」「福岡近郊区間」「新潟近郊区間」となっています。
これを利用すれば、どんなに遠回りしても運賃は最短距離の経路でかかる料金でOKということになります。ただし、ルート設定には制限があり、
・ルートが一筆書きで重複しないこと(往復も不可)。同じ駅はたとえ路線が違っていても2度通過することができません。
・途中で改札を出ないこと
が条件です。それでは、このルールを守って、関東一周の旅に出てみたいと思います。■ルート
ルートは、東京の上野を出発し、常磐線で茨城、水戸線・両毛線で栃木・群馬、八高線で群馬・埼玉、相模線で神奈川、そして東海道線で東京に戻ります。なお、この大回り乗車を実施するときは、ルートマップを作って携行しておきましょう。万が一車掌さんにキセル等を疑われたときにちゃんと証明できるので便利です。
さて、最初は常磐線で水戸線との分岐駅である友部まで乗車します。特急料金が発生しますが特急フレッシュひたちに乗車することもできます。え、特急に乗っちゃっても平気なの? と思った方もいると思いますが、大回りでも乗車券はきちんと有効なので、特急列車や普通車グリーン席に堂々と乗車できるんです。(新幹線は新大阪-米原間のみ)ただし、特急列車の中には目的の友部駅を通過するものもあるので要注意です。(通過してしまうと、友部に戻っても必然的に往復区間が発生してしまうので、大回り乗車が無効になります)
常磐方面にルートを取る場合の注意点は、夕方に到着予定の高崎まであまり食事を取る環境が整っていないこと。その点、上野駅には駅弁や駅ナカコンビニがありますので、最初にある程度の食料の確保をしておきましょう。
■上野を出て茨城・群馬へそれでは出発です。この旅の目的は純粋に車窓を楽しむことにありますので、沿線の風景は重要な要素を占めています。常磐線・水戸線と乗車すれば、ちょうど筑波山を一回りするように移動するので、天気が良ければ筑波山の全景を見ることができます。
友部駅から水戸線に乗車。ここから一気にローカル線の風情が漂ってきます。車窓からは下館や結城などの町が広がり、関東平野の広さを存分に味わうことができるのではないでしょうか。 水戸線終点の小山駅からは両毛線に乗車します。しかし両毛線は本数が少ないので、発車時刻まで小山駅(構内)を散策することになります。ここで駅の外に出られないのが残念ですが、駅そばくらいはありますので、時間に余裕をもって旅を堪能しましょう。両毛線からは赤城山などの景色を見ることができます。関東平野の北の端を走る路線なので、渡良瀬川などの風景をじっくり堪能するもよし、思い切って寝てしまっても自由です。そして電車は高崎駅へと向かいます。
高崎駅でやっと食糧補給が可能になります。有名な駅弁だるま弁当などいろいろな弁当がありますが、筆者がお勧めなのは鶏飯! 何度食べても飽きのこない逸品です。肉が苦手な方は上州舞茸弁当をチョイスするのもいいでしょう。高崎の弁当にハズレはありません。 ■高崎からのんびり神奈川・東京へ旅も折り返し。ここからは関東の超ローカル線八高線(もちろん単線!)に乗車します。
関東地方では珍しい気動車(ディーゼル車)が「がんばって走ってる!!」という感覚を呼び起こします。八高線は大回り乗車で利用できる唯一の非電化路線ですが、乗車率は比較的高いです。これからの季節では、群馬の紅葉などを存分に楽しめます。ただし、今回の旅ではここに到着するころにはもう日が沈んでいますが...(笑)
八高線で高麗川まで来ると、気動車とはお別れ。通常の電車路線となります。ただし、高麗川・八王子間は列車の本数があまり多くないので、時間の都合によってはここから川越線で東京方面に戻るという選択肢もあります。これからの時間は夜の走行となります。風景を楽しむことに電車に乗る意義を感じる方(私もその一人)以外には辛い旅になってしまう可能性も。無理をする必要はありません。拝島駅から青梅線で、あるいは八王子駅から中央線で東京方面に戻ってもいいでしょう。
相模線は単線区間もあり、東京の近くを走っているのに単線なのかと驚くとと共に、「列車交換のためしばらく停車します」のローカル線ならではのアナウンスが情緒を誘います。そして茅ヶ崎駅からは、東海道線で東京まで一直線、東京からは山手線の御徒町で下車(上野で下車すると一周してしまうので×)、見事な大回り乗車(○の少し欠け)ができました。
週末暇だなあと感じたら、少しのお金を持って車窓と少々の冒険を楽しむの旅、なんてのもいかがでしょうか?
(田中二郎三郎)