先日紹介した「自分しかやっていない面倒なちょっとした作業を引き継ぐための5つのステップ」という記事、とても人気がありました。人気があるということは、それだけ悩みを抱いている人が多い、という現れでもあります。その記事にあったように、自分だけが行っている仕事を引き継いだり、チームで手分けして仕事をすることも視野に入れないと、仕事の幅は広がらないですよね。これは会社勤めでも、フリーランスでも同じこと。
ライフハッカーでは数々の便利なフリーソフトを紹介していますが、フリーソフトが万能、といえない場合もあります。独りで仕事する分には、自分だけが使いこなせるフリーソフトをでも問題ないけど、協業するときには、相手のPCスキルだったり、PC環境だったり、いろいろと考慮しないとならない要素がつきものです。
さて、誰しも一度は経験があるであろう「画面のキャプチャ」は、ほとんどの人がフリーソフトを使っていると思います。ぱっと浮かぶものでは、『WinShot』、『Screenpresso』、『Snipping Tool』『Jing』『Skitch』など、フリーソフトどころか「PrintScreenキー+ペイント」で事足りる、という人も多いかと。
でも、ちょっとコストをかけて、テックスミス社の高機能キャプチャソフト『Snagit 10』を使ってみると、「自分だけの仕事」から「相手のある仕事」へ、「独りの作業」から「みんなとの協業」へ、そして、フリーソフトではできない、キャプチャ作業の効率アップができちゃうのです。
今回は、キャプチャソフトを作り続けて21年目というテックスミス社の『Snagit 10』の機能を紹介しながら、実際どんな風に便利になるのか解説します。詳しい操作のレクチャー動画は公式サイトに任せて、ライフハッカー流に詳細をレビューしていきますよ。
一般的なキャプチャソフトは、「画面全体」「アクティブウインドウ」「矩形選択」など、撮り方をあらかじめ決めてから撮影し、保存する、という手順で作業します。あまりにも当たり前で、何が不便なのか、と思うかもしれませんが、ショートカットを覚えたり、タスクトレイをクリックしてメニューのn階層目から目的のキャプチャ方法を選択して...と、いう動作一式を、他人に伝える場合はどうでしょう?
『Snagit10』では、「オールインワンキャプチャ」でその面倒を解決しています。とりあえずクリックすれば、キャプチャモードに切り替わります。特長は、切り替わったあとで撮り方を決められるところ。つまり上のキャプチャのように、「何はともあれココ(この記事TOP画像の赤丸で囲った2箇所)をクリックして、撮りたい場所にマウスを移動して、オレンジ色の枠が撮りたい部分と一致したらキャプチャ」と操作説明が一言で済むのです。他人に伝えるのも楽なシンプルな使い方だから、当然ながら自分で使うときも楽ですよ。画面全体、指定したウインドウ、矩形選択、スクロールしたWebページ、基本的なキャプチャはこれで事足ります。
操作だけではなく、そのあとの動作も「プロファイル」として設定でき、プロファイルはインポート・エクスポートができます。キャプチャの方法(ピクセル数を固定したり、画面全体・ウインドウだけ、などの設定)、出力形式(「印刷する」、「メールで送る」、「FTPにアップする」など)、効果(ぼかしを入れたり、解像度を設定したり)、オプション(マウスカーソルをキャプチャに含めるかどうか、遅延キャプチャタイマー設定、など)、かなりきめ細かく決められます。
一度設定を決めて、協業用プロファイルを作ってしまえば、エクスポートして各マシンでインポートするとどのマシンでも同じようにキャプチャが行えるのです。「ある業種のWebサイトを、手分けしてたくさんキャプチャし、マネージャーのところに集める」なんていう作業のときには、
- 入力:「オールインワン」
- 出力:「電子メール」(宛先・件名・本文も設定可能。マネージャーのアドレスに設定)
- 効果:「効果なし」
- オプション:「未選択」
としたプロファイルを共有すると、たちどころにマネージャーのアドレスにWebキャプチャが集まる、というわけです。手分けするのが楽になると、協業での作業スピードが大幅にアップします。フリーキャプチャソフトの達人が1人で行うよりもずっと効率的です。
さて、集まったキャプチャをただ貼り付けただけでは、単なる個人資料。これを、企画書や提案書として見せるには、加工が必要です。さまざまなコツはありますが、加工の基本的なところは、すなわち「必要かつ十分な情報が、的確に一目で伝わるように、情報整理する」と言えます。
多くの人が必要としている加工レベルは、「PowerPoint以上Photoshop未満」なのではないかと思います。その絶妙なラインを『Snagit 10』と連動した画像編集ソフト『Snagit エディタ』は実現してくれています。たとえば、
- 切り抜き画像の背景を透明にする
- 指定の範囲にぼかしをいれる
- 矢印や直線・文字を入れる
- 四角形や円で囲む
- 文字やオブジェクトに影を付ける
- 短絡を示す「切り取り」デザインを入れる
- オブジェクトを整列する
といった、「口頭での説明を、大幅に減らしてくれる」「ちょっとキレイになるだけで、見栄えがけっこう違う」ような、かゆいところに手が届く画像加工が、簡単にできます。操作はPowerPointとほとんど同じなので、いったん試しに使ってみればすぐに会得できるでしょう。また、本当に些細な加工なのに、重い写真加工ソフトを開くのが面倒くさい、という人にも、軽量で必要な加工ツールが詰まった『Snagit エディタ』はピッタリです。
PCアプリのマニュアル製作の現場や、本、Webの制作現場でも使われている『Snagit 10』と『Snagit エディタ』のタッグは、企画書制作の現場にもちょうどいい機能バランスです。「使っている人を見たことがない」と言っても過言ではないダサ過ぎるテンプレートや、明らかに使いこなせない高度な機能も購入コストに入ることを考えると、無駄は少ない方がいいですからね。
URLをブックマークにどんどん保存してスクラップした気でいたら、いざ必要なときにはNot Foundに...、とはよくある話です。フリーのキャプチャソフトやアドオンで、次々とキャプチャすればいいのですが、たくさんたまってくると、今度はそれを管理する作業が必要です。いつ撮ったのかくらいはファイル作成時間で分かります。でも、肝心なのは、「どのサイトだったのか」とか「なんのために使うキャプチャだったのか」、ブラウザ以外であれば「どのソフトの画面だったのか」など、合わせて記録しておかなければ、あとで参照することができません。
『Snagit 10』では、その点に配慮して、デフォルトではキャプチャした次のステップは「保存」ではなく「エディタで開く」になっています。つまり保存する前にワンステップ、整理する「間」がおかれているようなイメージです。そこで手作業で「このキャプチャは○○で撮った...」と記録するのは骨が折れますが、IEまたはFirefoxでのキャプチャであれば『Snagit 10』が自動で記録してくれます。キャプチャ時間順はもちろん、どのアプリを撮ったものか、どのWebサイトで撮ったものかは、勝手に整理してくれるのです。プラスアルファとして、キーワードとフラグを個別に付加することもできます。これはメモ代わりにもなりますし、フラグで重要度を付けておけば、「ひとまずたくさん撮って、あとで必要・不要を峻別する」といった作業も楽々です。
企画書づくりの元となる、情報の収集にも『Snagit 10』は役立ちます。いわばWebサイトのスクラップブックといった役割もこなせるのです。ハガキやA4ファイルに使うくらいの解像度なら、写真加工にも使えますよ。
Webを扱うときに便利なのが、「Webページをリンク付でPDF保存」と「テキストをクリップボードにコピー」。ブラウザではFirefoxとIEに対応しています。
前者はその名が示すとおり、リンク付のPDFファイルを作れる機能。Adobe Acrobatでも、Webサイトを丸ごとリンク付PDF化できますが、画面の一部だけ切り取って、リンク付のPDFファイルになるのは、加工の手間を一つ省けて便利です。
「フリーハンドで自由な形に選択」するのも、「キャプチャボタンを押してから指定の時間後にキャプチャを撮る」のもプリセット済み。フリーハンドで選択すると、矩形ではなく本当に自由な曲線で囲った範囲をキャプチャできます。矩形で囲って、切り抜きして、背景を透明に加工して...なんて手間はもう不要です。
もうひとつ、便利なのが「テキストをクリップボードにコピー」では、複数ウインドウもまとめて書式付きテキストのコピーができます。たとえば、デュアルディスプレイでFirefoxのウインドウを2つ開き、複数のウインドウにわたってテキストをコピーができます。ブラウザ以外では、デスクトップのフォルダ名もコピーできますから、「このフォルダに入ってるファイル名を、全部テキストエディタにコピーしたい」なんていうときも超便利です。
レビューをしながら、「高機能なキャプチャソフト」と書いたものの「キャプチャソフト」と形容するにはもったいないと感じましたね。「キャプチャ」「画像加工」「情報収集」という3つの機能を「独りの作業」から「協業」にできるソフトと言えるように思います。キャプチャソフトだと、フリーで足りる...かもしれませんが、それ以上の効率と伝える効果を必要とするのであれば、こちらから、30日無制限に使える試用版でその効果の程をお試しあれ。
[Snagit10]
(常山剛)