一日のほとんどをデスクで過ごす人々にとって、「快適な仕事場をどう整えるか?」は、仕事の生産性向上のみならず、健康にも影響を及ぼす大事なポイント。カラダにフィットしない環境で仕事をし続けると、つい前かがみになって、肩や背中、手首などを痛める元に...。すでに、RSI(反復運動過多損傷)に悩まされている方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこでこちらでは、健康で心地よい仕事環境を整えるための方法をまとめてみました。机・椅子などのハードウェアはもちろん、仕事中のカラダのメンテナンスにも留意することがポイントです

 ◆仕事場のハードウェアで必要なこと

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無理のない姿勢で、机に向かうことができるよう、必要な機能を備えましょう。自分の身長に合わせて、椅子・机の高さを調節し、キーボード・マウス・モニターなどを適切に配置するのもポイントです。「Workspace Planner」(英文)では、身長に応じて、各アイテムの理想的なポジションを算出できるので、あわせて参考にしてみてください。

■椅子

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抜群の座り心地をもたらしてくれるものとしては、アーロンチェアのような高価な椅子もありますが、『Staples』のようなオフィス用品店でも、安価で座り心地のよい椅子はあります。また、一部の機能なら、古い椅子を自分で調整して改善できます。

ポイントとなる機能しては、以下の点が挙げられます。

  • 心地よいクッション
    椅子に求めたい基本ポイントのひとつが、座り心地のよさ。椅子にクッションがあると、快適さはグッと増します。可能であれば、通気性のある素材を選ぶとよいでしょう。
  • 肘掛け
    タイピング操作がないとき、椅子に肘掛けがあると体を休められます。肘掛けは、肩がリラックスし、肘が90度に曲げられるくらいの位置にしておくのがポイントです。
  • 座面調節
    机の高さを調整するよりも、座面を調整するほうがカンタンです。腿が床と並行となり、足が床でまっすぐになるように、座面を調節しましょう。また、腕は、机の高さ、もしくはキーボード・マウスがある場所と同じ高さにします
  • 背もたれの高さ調節
    椅子の背もたれは、上下だけでなく、角度も調節できます。姿勢をよく保つには、角度を前にするのがポイント。背もたれが背中から離れていると、姿勢が前かがみになりやすいです。
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  • ランバーサポート
    ヒトの背中は若干内側に曲がっているので、椅子の背もたれに対して垂直にはなりません。そこで、ランバーサポートを使えば、背中の下部が支えられ、脊柱を痛めずにすみます。ランバーサポートがある場合(右画像)とない場合(左画像)を比較すると、その効果は一目瞭然。ランバーサポートは、標準装備されている椅子もありますし、10ドル程度で、付属品として購入することも可能。タオルを巻いて、ランバーサポート代わりに使うのも一法です。
  • 旋回可能
    コマ付きの回れる椅子は、より広い範囲へのリーチを可能にしてくれる、意外に必要な機能。机の上のものにリーチしなければならないとき、無理な体勢を取ってしまうと、体を痛めてしまうことも...。


■机

マウス・キーボード・モニターを机の上に無造作に置いているだけでは、健康的な仕事環境にはなりません。以下の点に留意しましょう。

1. マウス・キーボード

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多くのキーボードは非対称で、右側に数字キーがついています。なので、キーボード全体が机の真ん中になるように配置するよりは、キーボードの「B」の位置に注目し、これが自分の真ん中になるように置くほうがいいでしょう。スライド式のキーボードトレイがある場合は、マウスもトレイに配置すること。また、タイピングする際、手首を曲げなくてもいいように、キーボードとマウスは、肘が90度に曲がるくらいの高さにするのがポイントです。


2. モニター

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モニター自体はそれほど自在に調整できないので、モニタースタンドで工夫するといいでしょう。ライフハッカーアーカイブ記事「IKEAのシェルフと飾り棚で、収納が増えるモニタースタンドをDIY」や米Lifehacker記事「Make a DIY Monitor Stand on the Cheap(モニタースタンドを安価にDIY・英文)」などで紹介したとおり、自分でもカンタンに作れます。筆者は、ドアストッパーでDIYしたモニタースタンド(英文記事)を利用しており、うまく機能しているそうです。

モニターの上から2~3インチ(5~7.5センチ)下のポイントに目線をあわせ、腕の長さ程度、離して配置しましょう。また、モニターの輝度を軽減するのは、なかなか難しいもの。傾けられるモニターもありますが、そうでないものもあります。モニターをあれこれいじるよりも、照明の位置を調整するほうがいいかもしれません。


3. その他

机の上のものは、手の届きやすい場所に配置すること。それほど頻繁に使わないものは、片付けましょう。


■カラダのメンテナンス

ハード面で仕事場をどんなに心地よく整えたとしても、日頃のカラダのメンテナンスを怠ると、その効果は半減してしまいます。とくに、次の点に気をつけてください。

1. 姿勢

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Photo by Joe Loong.
よい姿勢をキープするためのコツについては、ライフハッカーアーカイブ記事「姿勢の悪さに悩む読者さんへ、米LHがその改善法をお教えします!」もご参照いただくとして、以下のポイントに留意しましょう。

  • 前かがみにならない
    背もたれが遠いと、前かがみになりやすいです。背中と足が100度になるくらいが良いでしょう。背もたれを前の方にして、寄りかかりやすいようにすると、前かがみになりにくいです。
  • 肘を体の近くにして、手首をまっすぐにする
    手首や肘がうまく動かないときは、マウスかキーボードの位置が良くないのかも。
  • 肩と背中をリラックスさせる
    肩や背中の筋肉が張ると、問題が起こりやすいです。できるだけリラックスさせ、タイピングしているときは、肘掛けは使わないようにしましょう。


2. 休憩

一日中、座ったまま同じスクリーンを見続けるのは、カラダによいことではありません。30分~1時間ごとに、最低5分の休憩を取りましょう。また、20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)先を見るという「20-20-20ルール」(英文記事)もオススメです。

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つい仕事に夢中になって休憩を忘れてしまいがちな人は、専用のアプリケーションを活用するのも手。休憩タイムをリマインダしてくれたり、休憩中のストレッチを指南するなどのお役立ちアプリとしては、『Big Stretch』(Windows)、『Workrave』(Windows/Linux)、『AntiRSI』(Mac OS X)などがあります。また、目を休めるためのツールとしては、『EyeDefender』(Windows)や『Eyes Relax』(Windows)もどうぞ。


3. 目の緊張を防止

目の緊張を防ぐためには、定期的な休憩も効果的ですが、たとえば、Windowsなら「ClearType」を入れるなどして、モニターのちらつきを調整することも有効です。また、時間ごとにモニターを自動調整してくれる『F.lux』は、とくに、夜間仕事をすることの多い方にオススメです。モニターによる疲れ目防止策としては、ライフハッカーアーカイブ記事「PCを見つめすぎた目に効く、5つの疲れ目対策」なども参考まで。


こちらの記事では、椅子に座る仕事場についてご紹介しましたが、ライフハッカーアーカイブ記事「立ったまま机に向うと快適!」でも採り上げたとおり、スタンディング方式にチェンジするのも一法ですね。

皆さんは、快適な仕事場づくりにどのような工夫をしていますか? ぜひコメント欄でお聞かせください。

Whitson Gordon (原文/訳:松岡由希子)