サブタイトルにある『大切だけど、だれも教えてくれない77のルール』は、まさにその通り。回覧するような文章だと誰かが間違いを教えてくれるし、個人の日記なら別に多少文章がまずかろうが問題にはなりません。
しかし、基本的にメールは個人間でやりとりするものですから、メールの文章はその重要度の割に、人に教えてもらうことや直してもらう機会ってほぼ無いですよね?
たわいもない、文章上のミスが感情への行き違いへと発展して、仕事そのものがおじゃんになったら...。想像するだけで怖いですよね。
僕も、メーリングリストなどで、たいした問題でもないのに、言葉のやりとりのあやで、なぜか大炎上したケースを見たことがありますが、最初はただの言葉の行き違いが恐ろしい結果を生むことは実際によくあります。
そこで、この『メール文章力の基本』です。ビジネスメールの文章の基本を教えてくれる本ですが、例えば、以下の文章のどこがまずいか分かりますか?
返事は、なるはやでお願いします。
金額はざっくりとどれくらいになりますか?
ちょっと用事があるのでパスさせてください。
日程変更の件、OKです。
この点を確認してもらえますか?
場所は弊社でよろしかったでしょうか?
別の方法があるじゃないですか?
続きます。
上の例は、業界や相手との関係によって、場合によっては大丈夫なのかもしれませんが、普段から丁寧な言葉使いを心がけるようにしておけば、いざというときにも安心ですね。
苦情や、怒りのメールを出すときはついつい感情的になってしまいますが、苦情メールこそ冷静に送りたいもの。この苦情メールの悪い文例が秀逸でした。
お世話になっております。
本日名刺を受け取りましたが、用紙が指定したものと違っていました。ちゃんと指定していたのに、どうして間違ったのでしょうか?
これでは使い物になりません。至急、刷り直してください。名刺を受け取る者が3日後に出張に出かけるので、それまでにぜひとも必要です。
絶対、間に合うようにしてください。
相手への要求も自分の感情も乗った勢いのあるなかなか良い文章だと思いますが、ビジネスメールとしてはやはりもう少し相手への気配りが欲しいですね。
これが、「良い例」だと、見事にやわらかい、いい感じに変わってます。ぜひ、本書で確認を。
上に、引用した文章たちは、明らかにどこかまずいだろうな。というのが僕もわかりますが、さらに難しいのが敬語です。
「尊敬語」と「謙譲語」の使い分けは本当に難しい。
例えば、目上の人に
了解しました
は、使ってはいけないそうです。知らなかった...。
じゃあ、なんて言うんだ。って、感じですよね。「承りました」とか?
尊敬語の「お」と「ご」の使い分けも難しいですよね。「お返事」と「ご返事」とか。
このような、間違えやすい尊敬語と謙譲語の使い分けも詳しく解説されています。ありがとうございます。
他には、「タイトルは簡潔にわかりやすく」「添付ファイルをつけるときのマナー」「CC、BCCの使い分け」など、メール特有のマナーも、もちろん詳しく解説されています。
付録1には、あまり使わないけど、時々使うメールのテンプレートが載っているのがありがたい。
- 移動、転勤のあいさつ
- 退職のあいさつ
- 昇進、栄転へのお祝い
などですね。
無礼にするつもりで無礼なら問題ないですが、全然そのつもりもないのに、メールの文面だけで「無礼な奴だ!」って、思われてると怖いですよね。冒頭にも書きましたが、メールの場合だれも教えてくれないですからね。大半の場合注意されることもなく、突然キレられるか、そっと距離を置かれるんだろうなあ。
理想としては、こういう文章上のマナーは意識せずとも使えるように身につけて、内容の方に注力したいですね。あくまで理想ですが。
(聖幸)