巷にあふれる、生産性や成功に関するライフハック。
その多くがわかりやすく、科学的な根拠に基づいています。
しかし、すべてを試す時間がありません。だから私はいつも、できるだけシンプルでコンパクトなアドバイスを探しています。
『The Happiness Equation』の著者Neil Pasricha氏が、そんな皆さまにピッタリの金言ともいえる記事を書いています。
HBRに掲載されたその記事は、Pasricha氏自身が抑うつされた仕事中毒から抜け出したストーリーをつづったもの。
そこには、あなたの日常生活にもきっと役立つ、シンプルな教訓が記されています。それは、毎日たった3つの文を書くというもの。
1日ほんの数分でいいんです。それだけで心の健康と生産性が向上することが、Pasricha自身の体験からも科学的にも裏付けられているのです。
1. 「今日は○○に集中する」
Pasricha氏は、やることが多すぎて気分が乗らないときに、優先事項を1つだけ書き出すことを始めました。
これにより同氏は、優先順位が明確になるのはもちろんのこと、どうしようもなく大きく思えていたプロジェクトが、実行可能なステップへと縮小化されることを発見しました。
この習慣により、毎日が安定するようになりました。
消えることのなかった「どこから手を付けよう?」という霧がぱっと晴れ、巨大なプロジェクトをシンプルなタスクに落とし込めるようになったのです。
「〆切の迫った本を書き上げる」が「500ワード書く」に、「参加必須のデザイン変更会議」は「意見をもらうために重役3人を招待する」に、「いつか運動する」は「昼休みに10分散歩する」へと変貌を遂げました。
このように、大きなToDoを実行可能なサイズに分割することで、不安による先延ばしを回避できます。
これは以前から言われていることで、多くの生産性のエキスパートが、「カンファレンスを企画する」という恐ろしいToDoを「3つの会場に電話する」というアクションステップに落とし込むといったアドバイスをしています。
これにより、最終目標までの長い道のりを想像するだけで思考が停止してしまっていたあなたも、一歩ずつ前に進むためにいま必要なことが見えるようになるでしょう。
2. 「○○に感謝」
徹底的にToDoリストをシンプルにすれば、理論的には不安が鎮まるはずです。ところが人の脳というものは、何百万年もの進化の結果、ものの見事に恐怖に合わせてチューニングされています。
いつ猛獣に襲われるかわからないような状況では、生き延びるために不安という感情が必須だったのです。
その名残で、われわれの警戒心はネガティブなものに対して非常に敏感にできています。たとえそれが、想像上のネガティブだとしても。
感謝がその対抗手段になりうることが、科学的に明らかにされています。筋肉を作るためにジムに行くのと同じで、楽天的で穏やな精神を作るには、脳を鍛える必要があるのです。
とはいえこのメンタルヘルスのトレーニングでは、汗をかく必要はありません。毎日、感謝の一文を書くだけです。
できるだけ具体的に書くのがカギです。「アパートに感謝」「母に感謝」「仕事に感謝」なんて言葉を繰り返しても意味がありません。
それよりも「向かいのホステルの上に見えた夕焼けに感謝」「夕飯を残したのを見逃してくれた母に感謝」のように書く必要があります。
3. 「○○をあきらめる」
ToDoリストを分割する以外にも、不安や先延ばしを打ち破るための方法があります。それは、自分にやさしくすること。
直感に反するかもしれませんが、私たちは自分の間違いや欠点を許すことで、ポジティブな行動をとれるようになります。
また、自分の欠点をオープンにすることで、幸福度ばかりか生産性も高まることが科学的に示されています。さらに、強くなれる、クリエイティブになれる、有能なリーダーと周囲から思われるなどの効果もあるとされています。
ですから、人として避けようのないミスで自分を責めるのはやめて、Pasricha氏のように毎日1つずつ、自分の小さなミスを許してあげてください。自分を責めるのは時間の無駄です。
むしろ自分にやさしくすることが、人にやさしくするための礎となるのです。
どうでしょう? これら3つの文を書くだけなら、2分でできますよね。このわずかな時間の投資が、心の健康とパフォーマンスの向上をもたらします。
これだけ効率的に成長させてくれる習慣、あなたは見つけられますか?
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Image: Getty Images
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