「GIGAスクール端末の更新、国主導で」 永岡文科相

「GIGAスクール端末の更新、国主導で」 永岡文科相
閣議後の記者会見で、「GIGAスクール構想」の端末更新費用の国費負担に意欲を示す永岡文科相
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 子どもたちが1人1台のタブレット端末などを使って学ぶ「GIGAスクール構想」を巡り、政府が6月7日に示した「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)の原案で端末の更新費用の在り方が示されなかったことを受け、永岡桂子文科相は9日の閣議後会見で、「構想は国が主導して進めてきたもので、『令和の日本型学校教育』の基盤になるものだと考えている。必要な内容がしっかりと盛り込まれるように調整にあたってまいりたい」と述べ、国費負担の明記を目指す考えを示した。

 GIGAスクール構想は2019年度にスタート。当初は23年度に端末配備を完了することを目指していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンライン授業などを通じて学習機会を保障する目的で前倒しされ、20年度末までに大半の小中学生に行きわたった。早ければ25年度に端末の更新時期を迎える自治体もあり、その費用を国が負担するよう求める声が地方から上がっている。

 これに対し、政府が7日に示した骨太の方針の原案は、端末更新を見据えながら、家庭環境や利活用状況、教員の指導力のばらつきを解消していく方針を示す一方、更新費用の負担に関する考え方は明記しなかった。このため、8日に開催された自民党の文部科学部会では、「自治体ごとに格差が生じてはならないので、国費で行うべきだ」との声が上がり、国費負担の方針を盛り込むよう政府に求めていくことが確認された。

 永岡文科相も9日の会見で、「(GIGAスクール構想の端末は)『個別最適な学び』と『協働的な学び』を実現するために必須のツールであり、端末更新はその持続的な推進のために不可欠であると考えている」と語り、国費負担が必要だとの認識をにじませた。

 骨太の方針の原案はたたき台との位置付けで、与党などとの調整によって内容が修正される可能性がある。政府は骨太の方針の6月中旬の閣議決定を目指している。

 今回の原案にはGIGAスクール構想の推進のほか、給特法の見直しを含めた教員の待遇改善や業務負担の軽減なども盛り込まれており、実現するためには24年度以降に大きな予算が必要となる可能性が高い。財務省との予算折衝に向けた姿勢を問われた永岡文科相は「教育の質の向上を図るため、学校における働き方改革のさらなる加速、指導運営体制の充実と合わせ、教師の処遇改善を一体的に進めていくことにしている。必要な予算はしっかりと確保してまいりたい」と述べた。

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