学校現場への文書事務を半減 山梨県教委がプロジェクト

学校現場への文書事務を半減 山梨県教委がプロジェクト
文書削減のフロー(山梨県教育委員会の資料より)
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 学校の働き方改革の一環で、山梨県教育委員会は4月11日、県教委から学校現場に出す文書による依頼の大幅削減を目指す「文書半減プロジェクト」に取り組むと発表した。今年度から、国の通知は県教委で、内容によって学校現場に送付すべきかや送付方法を検討。調査・アンケートについても実施頻度や規模の見直し、ICTの活用などによって負担を軽減させる。

 長崎幸太郎知事は同日の記者会見で「現場の教員には、授業以外の事務作業が大変大きな負担となっている。教員が子どもに寄り添う教育に取り組む際に、このことがまさに足かせとなっている」と述べ、県教委に対し、学校現場の事務負担の抜本的な軽減を要請したことを明かした。

 県教委によると、国からの通知類については、県教委で精査をし、共有の必要性が低いものは送付せず、教育委員会で把握すればよいものは、市町村教委で留め置くことを明記した上で送付する。共有が必要なものは、グループウェアや校務支援システムで送付するようにし、その要点も記載する。外部団体からの各種案内についても、一律に送らず、校務支援システムの掲示板に情報を掲載するなどして、教員が必要に応じて閲覧できるようにする。

 また、国などからの調査、アンケートについては、法で定められたものはこれまで通り実施するが、それ以外は県教委や市町村教委が分かる範囲で回答。県からの調査・アンケートも、政策立案のために必要なものであれば、可能なものは悉皆(しっかい)ではなく抽出とするなど、必要最低限の実施にとどめ、毎年定期的に実施してきたものは、数年ごとに実施頻度を下げるなどして、スリム化。回答方法も校務支援システムに備えられているアンケート機能をフル活用するなどし、学校現場の負担をできるだけ軽減する。

 県教委では今年度、各課でこうした学校現場への調査・アンケート、送付物が減らせたかを記録し、削減量を把握していく方針で、これにより、文書の収受や回覧処理、調査の回答作成、取りまとめなどの事務に費やしてきた時間が大幅に削減できると期待している。

 学校現場のこうした文書事務の負担の問題について、長崎知事は「1年間に学校現場の先生が受け取る文書の量というのは1500㌻ぐらいある。1500~1600㌻、あるいはそれを超える膨大な文書が、末端の現場まで行って、何がしかの作業が求められる」と指摘。「もともと子どもたちに対する教育をしっかりやろうという思いで出ているものではあるはずだが、逆にそれが先生の時間を奪い、子どもに対して向き合える時間を削ってしまっている。この矛盾をこの際、一気に解消しようと思っている」と狙いを説明した。

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