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2024.12.24 05:00

【合区解消されず】政治の信頼にもかかわる

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 県民の多くが不満を持つ選挙制度は、またも解消されなかった。来夏の参院選で「徳島・高知」「鳥取・島根」両選挙区の合区継続が確定的になった。これにより2016年参院選での導入以降、4回(徳島・高知区は昨年の補欠選挙含めて5回)続くことになる。
 これまで自民党は参院選のたびに合区解消を訴えてきたが、今回も実現しなかった。合区を巡るさまざまな弊害はもちろん放置できないが、解消を約束しながら長く果たせない状況は、政治の信頼という面でも大きく後退する。他党も含め、重く受け止めなければならない。
 隣接県を一つの選挙区にする合区は、「1票の格差」是正のために導入された。有権者の関心が下がるなどの弊害は顕著で、昨年の徳島・高知区の補選では、地元候補がいなかった徳島の投票率は23・92%にまで落ち込んだ。候補者側にも活動の負担が大きいと不評で、全国知事会などは解消を求め続けている。
 ただ、解消への議論は停滞してきたと言わざるを得ない。
 参院の在り方を各党で話し合う「参院改革協議会」で対応が具体化したのは22年12月。専門委員会が集中審議し、今年6月にようやく「合区は解消すべきとの意見が大勢」とする報告書をまとめた。しかし具体的な制度については、都道府県単位の選挙区かブロック制を導入するか二分したまま。最も踏み込んだ判断が求められ、最も合意の難しい部分を積み残したと言える。
 来夏の選挙に向けて逆算すると、本来なら今年の通常国会での公選法改正が望ましい対応だった。報告書をまとめた時期(6月)や生煮えの内容からは、合区の解消に現実味が伴わず、各党がどこまで本気で向き合ったのか疑わざるを得ない。ポーズのための議論だったと批判されても仕方ないだろう。
 そもそも、合区は緊急避難措置とされ、19年参院選までに「抜本見直しで結論を得る」としていた。しかし抜本見直しは実現せず、自民は、合区に候補を出せない県の救済策として比例代表の「特定枠」を設定した経緯がある。
 その特定枠で当選した徳島地盤の議員が昨年、知事選出馬のために辞職し、両県と関係のない候補が繰り上がった。弥縫(びほう)策を重ねた末に今、さらにいびつな形となっている。
 もちろん、国政選挙での「投票価値の平等」は尊重されなければならない。一方で人口のみを基準にした場合、地方代表は減り、代表を出す機会を失った合区対象県は「質的に不平等になる」との指摘もある。
 今後、都市と地方の人口格差で合区対象県が増える可能性もある。衆院のカーボンコピーとやゆされる参院の在り方に各党が向き合う必要性は高まっている。
 対象県の鳥取選出の石破茂首相は党総裁選の際、「党は改憲による解消をうたうが、相当時間がかかる。法改正でもできる」と早期解消の意欲を見せたこともある。見直しへ指導力を発揮するべきだ。

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