兵庫県加古川市教育委員会は、日岡山公園（同市加古川町大野）再整備を前にした、同公園内の埋蔵文化財の試掘調査結果を発表した。古墳時代前期（３～４世紀）の円墳２基の周濠（しゅうごう）（墳丘の周囲を巡る溝）を発見し、墳丘が消失していた東車塚古墳は、正確な位置や規模などが判明。西車塚古墳とともに、埴輪（はにわ）片が出土したため、両古墳に埴輪が立ち並んでいたことも分かった。（斉藤正志）

　市教委文化財調査研究センターによると、両古墳は日岡山古墳群にある。埴輪片の特徴や製作技法から、東車塚古墳は古墳時代前期の半ばごろに、西車塚古墳は同前期の後半ごろに築造されたとみられることも判明した。

　東車塚古墳は日岡山古墳群の東側にある。１９５０（昭和２５）年に副葬品が発見されたが、その後墳丘が消失し、正確な位置が分からなくなっていた。今回の調査で、６カ所から周濠を検出。幅約１１メートルの周濠が巡り、古墳の直径が約３８メートルとみられることが分かった。

　西側に隣接する西車塚古墳は、現在も公園内に墳丘が残る。昭和４０年代の公園整備時に誤って一部が削られ、修復して復元したが、詳細な規模は分からなくなっていた。調査で３カ所から周濠が発掘され、幅約１０メートルの周濠が巡り、古墳の直径が約３２メートルである可能性が高まったという。

　２０２０年度の調査で、両古墳の南東側に、円墳の神納（かんの）塚古墳が発掘されており、３基の円墳が並んでいたことも明らかになった。

　同センターの担当者は「古墳群の全体像を把握する上で、貴重な成果が得られた。それぞれ計画的に築造された可能性があり、各地の古墳群の形成過程や計画性を研究する上で、重要な役割を果たすと考えられる」としている。

　同公園は、市がイベント広場やスケートボード場などを設け、リニューアルする予定。工事は２４～２６年度に計画しており、同センターは今年７～９月に計３５カ所を調べた。今回の調査で分かった周濠などは、工事内容が決まり次第、保全などの対応を協議する。

【日岡山古墳群】古墳時代の古墳群で、同時代前期の前方後円墳５基、円墳４基が確認されている。景行天皇の后（きさき）、稲日大郎姫命（いなびのおおいらつめのみこと）の陵墓である前方後円墳「ひれ墓古墳」は、「日岡御陵」として知られ、宮内庁が管理する。地域で権力を維持した首長墓の系譜が追える、県内唯一の古墳群とされる。