経済
パソナ南部代表、淡路島に本社機能移転「コロナで決断 将来は船の上に本社も」
2024年5月末までに、段階的に主な本社機能を東京から淡路島に移し、社員約1200人が新たに島内で働く方針を示した総合人材サービスのパソナグループ。千人超の“大移動”に、島民らの関心が高まっている。同社の動きは、島の将来にどのような影響をもたらすのだろう。このほど本紙単独インタビューに応じた南部靖之代表(68)の言葉から探ってみたい。(上田勇紀)
Q まず、移転計画を整理したい。同社によると、東京の本社にはグループ社員が現在、約4600人いる。そのうち人事や経営企画などの管理部門は約1800人。今回の移動対象は、この1800人のうちの約1200人という。
A 来年春までに、もうあと半年後ですよ、約400人来ます。その1年後までに400人、さらに1年後までに400人というような形を考えている(南部代表、以下同)
Q 行政を含めて関心が高いのは、1200人がどこに住むのか、ということ。少子高齢化で人口が右肩下がりの時代に、千人超が移り住むとなれば、税収や教育、商業など各方面へのインパクトが期待される。
A そりゃ神戸に住んでもいいが、基本的には全員島内だと思う。住む場所は探している。たいてい淡路市。南あわじ市にも社宅(140室)を用意している
Q ただ、東京に生活拠点を置く社員が、すんなりと淡路島へ移ることができるのか。インターネット上でも「社員は異動を拒否できるのか」などと話題を呼んでいる。
A 来たくない人もいるだろうが、手を挙げている人がめちゃくちゃ多くて。独身者を想定していたけど、家族連れも多い。これまではみんな、地方は「都落ち」と思っていたが、国の調査でも地方への関心が高い。(家族連れが多く移住すると)小学校がパンクしてしまうかもしれないから、受け入れ可能かどうか問い合わせている。淡路島は最高。教育でいうと、神戸高校とかと同じ学区。さまざまな教室など社員の福利厚生施設も充実させる。(神戸や四国などへ)1時間圏内。空港が近く、どこにでも行ける。(移転は)雇用創出にもかなりつながる
Q 同社は主要事業の人材派遣業に加え、2008年に淡路島に進出。島北部でレストランやテーマパークなどを次々と展開している。南部代表は神戸市垂水区出身で、関西大工学部卒。淡路島への思い入れは、そうした生い立ちから生まれたのか。
A 舞子にいたからね。江井とか五色浜とか知ってる。でも(本社機能移転は)コロナがなかったら最終決断していなかった。淡路島が遠いという感覚は全くない。旅行が好きだし、アメリカにも住んでいたから。僕は今年に入ってほとんど島にいるが、もうすぐ(住民票を淡路市に移して)こっちに来ます
Q インタビュー中、話題は多岐に及んだ。東京一極集中からの脱却や、コロナ禍での働き方の見直し、島の豊かさ…。南部代表は、島に骨を埋める思いなのだろうか。
A 骨を埋めるとなると、また…。移動に関しては、全く(苦にならない)。将来ね、船の上に本社作ろうと思ってるから。インターネットが全部可能にする。何も、土の上にいなくたってね
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