ネガティビティ・バイアスnagativity bias
悪いところが気になる
- たとえば…
- 一度悪いイメージをもってしまうと、なかなかその印象を覆すことは難しい。
仮に、パソコンを購入しようと、ネットで口コミ情報を確認しているとします。高得点の評価の機種を見つけて、購入を決めようとしていたところ、口コミ件数のなかに評価点の低い口コミもあることに気づきました。全体の口コミ件数からすると、評価点の低い口コミは少ないようですが、その口コミで書かれていたことも気になります。
さて、このような場合、あなたなら、どうしますか。
- 良い評価が多いので、悪い評価は気にせずに購入する
- 悪い評価が気になるので、すぐには購入しないで、もう少し情報収集をすることにする
例題では商品の購入場面でしたが、良い点よりも悪い点に目がいくことはさまざまな場面で起きます。例えば、初対面の人に会って、その人に良いところは色々あるはずですが、一度気になるところが見えてしまうと、その悪い印象が後々まで尾を引いてしまうなどです。
これはネガティビティバイアスと呼ばれ、人は、ポジティブな出来事や情報よりも、ネガティブな出来事や情報のほうに注意を向けやすく、また、それが記憶にも残るという現象のことです。この現象は、他者の印象形成をはじめ、自己の性格評価、意思決定などさまざまな情報処理の過程で起きることが実験で確認されています。
例えば、記憶の実験では、ポジティブ刺激、ネガティブ刺激をそれぞれ複数用意し、それらの刺激に対する印象評定(記憶実験であることを参加者に伝えない「偶発学習課題」)を行い、その後、計算問題などの干渉課題を挟んでから、先ほど提示した刺激に関する再生もしくは再認テストを行うと、実験参加者の課題成績は、ポジティブ刺激よりもネガティブ刺激に対して高くなることが分かっています。
ネガティビティバイアスが生じる理由として、リスクや不快なものを回避しようとする生存のためのメカニズム、また社会に適応するためのメカニズムが関わっているとする説などがあります。
【参考文献】
Baumeister, R. F., Finkenauer, C. V., Kathleen D. (2001). Bad is stronger than good. Review of General Psychology. 5, 323–370.