日本文学
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「核戦争の危機を訴える文学者の声明」と大岡昇平(<特集><戦後>空間と<日本>文学)
花崎 育代
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2006 年 55 巻 11 号 p. 57-66

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抄録

昭和五七(一九八二)年一月公表の「核戦争の危機を訴える文学者の声明」は、約半年で五六二名の署名を集めたが、賛否の意見が、反核の是非よりも、その声明自体を問題として展開された。大岡昇平は署名したが、アンケートには答えず、反核集会に出席するような行動もとらず、これに関わるまとまった文学作品も書かなかった。戦争を「人間」と資料重視の手法で作品化してきた大岡には、核戦略が高度化しかつ秘匿されている以上、文学化は不可能であったからだといえる。しかし大岡は「反核」の意志は明確に表明し続けた。

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