2020 年 88 巻 2 号 p. I_193-I_201
現地で行う付着強度試験では,40 mm角形治具を設置し,コンクリートカッタで切込みを行う.しかし,カッタの刃形と治具形状の関係から治具辺長より長く井桁状に切る必要があるため,試験時および試験補修時の作業性,試験補修後の景観性に難点を有する.この解決案として著者らは,円形治具を設置し,コアドリルで切込みを行う試験方法を,現地で行う無機系補修材の付着強度試験方法として提案している.本論では,角形治具と円形治具を用いた付着強度試験を行い,角形治具に対する円形治具の優位性について検討した.その結果,両治具には応力分布に違いがあることが推察され,強度の低い材料で円形治具の付着強度は角形治具より大きくなることがわかった.そして,付着強度試験には,角形治具と同等かつばらつきの小さい付着強度が得られる直径45 mm円形治具が適切であることを明らかにした.