日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
チタン鉱物のクエン酸水溶液への溶解性に関する実験的研究
*有賀 駿太大藤 弘明
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p. 37-

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抄録

チタンは一般に水に不溶で移動しにくい元素とされるが、有機物との錯体形成により低温環境下でも移動する可能性が指摘されている。しかし、クエン酸水溶液とチタン鉱物の反応を実際に調べた例はなかった。そこで本研究では、チタン鉱物としてルチル(TiO2)、イルメナイト(FeTiO3)、チタン石(CaTiSiO5)、およびペロブスカイト(CaTiO3)と0.005~0.5 Mクエン酸水溶液を用いて、加熱温度を30℃~270℃まで変化させ、密閉容器内で12 時間~最長 12 週間の実験を行った。その結果、チタン石とペロブスカイトのみが140℃以下でクエン酸水溶液に溶解し、高いTi濃度を示した。150℃以上では、溶液中のチタンは直径0.5 μmほどの球状アナターゼ(TiO2)として析出した。一方、ルチルとイルメナイトからのチタン溶出は確認されなかった。このように、鉱物種による溶解性の違いが明らかになった。

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