知人男性を包丁で刺して死亡させたとして、殺人罪に問われた住所不定の無職の男(65)の裁判員裁判の論告求刑公判が12日、群馬・前橋地裁(橋本健裁判長)であった。検察側は「強い殺意があり、残忍」として懲役13年を求刑、弁護側はあらためて無罪を主張し、結審した。
検察側は論告で、左胸など枢要部3カ所を包丁で刺し、傷の深さは19センチに及んでいたと指摘。直前に男性から別の刃物で脅されたとしても、その後男性が刃物を手放し形勢は逆転していたとして「逃げようとする被害者を刺し、殺意は明らか」とした。
弁護側は、約5時間前に男性からガラス製の灰皿で頭を殴られており、謝罪のため来訪したと思って招き入れたと主張。男性が男の手元にあった包丁を取ろうとしたとして、「差し迫った危険があり、正当防衛が成立する」と訴えた。
論告によると、1月23日早朝、前橋市のマンションの自室で、訪ねてきた知人の男性=当時(69)=の胸と背中を包丁(刃体約19センチ)で3回刺し、出血性ショックで死亡させたとされる。