キキクル(警報の危険度分布)
降った雨は地中に浸み込んだり地表面を流れるなどして川に集まります。大雨時には、雨は地中に浸み込んで土砂災害を発生させたり、地表面に溜まって浸水害をもたらしたり、川に集まって増水することで洪水災害を引き起こしたりします。
気象庁では、このような雨水の挙動を模式化し、それぞれの災害リスクの高まりを表す指標として表現した土壌雨量指数、表面雨量指数、流域雨量指数の技術開発を進めてきました。
これらの3つの「指数」を用いることによって、災害リスクの高まりを「雨量」そのものよりも適切に評価・判断することができるようになり、より的確な警報発表につながります。
新たな「指数」の大雨警報(浸水害)、洪水警報の発表基準への導入
これまで、土砂災害については、降った雨が地中に浸み込んで溜まっている量を数値化した土壌雨量指数の基準を用いて大雨警報(土砂災害)の発表判断を行ってきました。
また、長さ15km以上の河川で発生する洪水災害については、雨が地表面や地中を通って川に集まり流れ下ってくるまでの時間差を考慮した流域雨量指数の基準を用いて洪水警報の発表判断を行ってきました。 一方で、浸水害や長さ15km未満の中小河川で発生する洪水災害に対しては、あらかじめ設定した「雨量」の基準に到達すると予想される場合に大雨警報(浸水害)や洪水警報を発表して警戒を呼びかけてきました。
これを、平成29年度出水期からは、浸水害については、大雨警報(浸水害)の発表判断に、「雨量」そのものではなく、雨の地表面での溜まりやすさを考慮した表面雨量指数を用いる方法に変更しました。
また、長さ15km未満の中小河川で発生する洪水災害についても、流域雨量指数の対象河川を拡大して、流域雨量指数を用いて洪水警報の発表判断を行うよう変更しました。
キキクル(警報の危険度分布)の提供
さらに、警報・注意報が発表されたときに、実際にどこで「指数」の予測値が警報・注意報の基準に到達すると予想されているのかが一目で分かる「キキクル(危険度分布)」の提供を開始しました。
土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度の高まりを面的に確認できる「キキクル(危険度分布)」について、次のとおり解説します。
「危険度分布」に基づく危険度の高まりを、プッシュ型で通知するサービスを提供しています。
キキクル(危険度分布)等の防災気象情報と警戒レベルとの対応については、以下のページをご覧ください。
主な災害発生時のキキクル(危険度分布)の状況
過去の実際の大雨事例における危険度分布の操作体験や、自治体の防災担当者による災害対応の振り返り、報道機関による解説等に活用いただけるよう、主な災害事例における危険度分布の様子を以下のページに掲載しています。令和4年以降の事例は「過去の主な災害時の情報発表状況」を参照ください。
- 平成30年7月豪雨のときのキキクル(危険度分布)
- 令和元年8月26日から29日の大雨のときのキキクル(危険度分布)
- 令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨のときのキキクル(危険度分布)
- 令和2年7月豪雨のときのキキクル(危険度分布)(3日~6日 7日~8日)
- 令和3年8月(12日~15日)の大雨のときのキキクル(危険度分布)
なお、令和4年6月30日からキキクル(危険度分布)の危険度(色)に「災害切迫」(黒)が加わり、「非常に危険」(うす紫)と「極めて危険」(濃い紫)は「危険」(紫)に統合されています。
関連資料:(令和4年5月18日報道発表)「今出水期から行う防災気象情報の伝え方の改善について」[PDF形式:2.0MB]