『世界』リニューアルのお知らせ


 コロナ禍、人新世の環境破壊と気候変動、そしてウクライナ戦争とガザ人道危機……かつて経験したことのない事態が相次ぐなか、昨年末には防衛費の倍増が示され、憲法の核心部分も骨抜きにされつつあります。
 戦争を終わらせ、決して始めない。すべての人の人権が当たり前に守られる。そんな社会に変えていくために、「私」はもう無力なのか?
 複雑な危機の時代に、それでも知りたい、と考え続ける読者に応えたい。世界と関わっていくための窓であり続けたい。
 そんな思いから、2024年1月号より、月刊誌『世界』はリニューアルします。社会の多様性を反映した執筆陣とともに、いっそう身近で、血の通った雑誌を目指し、アカデミア・社会運動・ジャーナリズムを結んでいきます。アートディレクションには須田杏菜氏を迎え、女性や若い世代をはじめ、幅広い読者とのより豊かなコミュニケーションの場をつくりだしてまいります。

月刊誌『世界』
2024年1月号(2023年12月8日発売)よりリニューアル
A5判
定価 1,045円(税込)
毎月8日発売
※同号より電子書籍版を配信開始


1. 編集長からのご挨拶

 私たちはどんな世界に立っているのか。雑誌づくりも本づくりも、形は違えど、それを明らかにしようとする営みではないかと思います。
 #MeTooが象徴するように、長く耳を傾けられてこなかった声が、人々についに届けられるようになった時代。様々なルーツをもつ人たちと、コミュニティで共に暮らす時代。SNSで情報、そして対立も拡散していく時代……。2023年の現実と切り結ぶ、新しい執筆者に登場してもらうこと。社会を変える確かな「知」を読者と一緒に育んでいくこと。このふたつを掲げ、新編集部で模索を続けています。
 2023年のいま、紙の月刊誌を出し続ける意味もかつてなく問われ、日々の編集活動で突きつけられています。
 同時に、この間、「ひろゆき論」(2023年3月号)、対談「わかりたいヒトとわかっているふりをするAI」(同7月号)などの掲載記事、あるいは突然の『世界』Twitterアカウント凍結の事態に、想像を超える反響をいただき、雑誌に期待されること、できることに改めて気づかされています。
 2009年から8年にわたり編集部に所属したにもかかわらず、私は雑誌『世界』を自分のもの、と感じたことがありませんでした。表紙から裏表紙まで、すべてを読み通したこともなかった。この事実が、編集長を務めるにあたっての出発点でした。
 細切れの時間しかもてない。積読がたまっていく……という人も、雑誌を1冊傍らに置くことで、時代をつかむことができる。社会に力があると信じられる。そんな場をつくっていけるよう、今年2000点を迎える岩波新書、また単行本など他部署とも連携しながら雑誌づくりに邁進してまいります。

堀 由貴子

《PROFILE》
大阪府生まれ。2009年に岩波書店に入社し、2017年末まで『世界』編集部に所属。その後単行本編集部で坂上香『プリズン・サークル』、伊藤詩織『裸で泳ぐ』、榎本空『それで君の声はどこにあるんだ?』など担当。2022年10月より『世界』編集長に就任。


2. リニューアルのポイント
◎ デザインのリニューアル

縦置きの新ロゴ、西村ツチカさんによる雑誌キャラクターの誕生など、より手にとりやすいデザインへと表紙を一新します。一方で、長めの記事でも読みやすい本文レイアウトを模索します。

◎ 構成のリニューアル

政治・社会のトピックはもちろん、書評をはじめ文化欄を充実させます。じっくり読みたい学術論考の新コーナー、作家によるリレー・エッセイも始まります。

◎ 内容のリニューアル

新しい書き手に登場していただき、活発な議論の場をつくっていきます。ジェンダー、AIなどこれまで大きく扱ってこなかったテーマに積極的に挑戦します。

【新シリーズ】

  • 雑誌でしか読めないロング・インタビュー/最前線に立つ研究者による長尺論考シリーズ「夜店」
  • 新時代の作家によるリレー・エッセイ「スケッチ」

【話題の記事・好評連載】

  • 阪田雅裕(元内閣法制局長官)「憲法九条の死」(2023年2月号)
  • 伊藤昌亮「ひろゆき論——なぜ支持されるのか、なぜ支持されるべきではないのか」(同3月号)
  • 今井むつみ×川添愛〈対談〉「わかりたいヒトとわかっているふりをするAI」(同7月号) etc.
  • 蓮池薫 “「拉致問題」 風化に抗して”

帰国から20年。北朝鮮での自身の経験、また新資料を手掛かりに、未解決の人権問題の核心に迫る。

  • 森本あんり “ボナエ・リテラエ”

「信じる」とはもう時代遅れなのか? ベストセラー『反知性主義』著者の生き方を変えた「人と本」の軌跡。信仰とは、そして人生とは――迷える現代人の導きの連載。

  • 再録・大江健三郎のことば

「ヒロシマ・ノート」「沖縄ノート」として新書化される連載をはじめ、50を超える小誌寄稿のうち6本を厳選、現代の読者におくる。解題・山本昭宏(神戸市外国語大学)。

  • 隣のジャーナリズム

メディア関係者必読! 現場できょうも迷い、踏みとどまる人へのエール。マライ・メントライン氏、鈴木忠平氏ほか、注目の執筆者が登場する野心的リレー連載。




3. 電子版の配信について

 2024年1月号より、電子版の配信を開始いたします。

 ※毎月10日配信
 ※電子書籍ストアでご購入ください

4. 価格改定について

 雑誌『世界』の価格を、2024年1月号(2023年12月8日発売)より以下の通り改定いたします。

【2023年12月号(2023年11月8日発売)まで】
 定価935円(本体850円+税10%)

【2024年1月号(2023年12月8日発売)から】
 定価1,045円(本体950円+税10%)

 ご高承のとおり、昨今の出版環境は、原材料費(印刷・用紙代等)、輸送費等の高騰により一段と厳しさを増しております。
 小社といたしましても、継続的なコスト低減・価格維持に取り組んでまいりましたが、このところの原材料費アップは、私どもの努力を大きく超えるものでございます。
 つきましては、まことに遺憾ではございますが、上述の通り価格改定させていただきます。読者のみなさまにおかれましては、何卒これら事情をご賢察いただき、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

5. 年間定期購読中の方へ

 雑誌『世界』2024年1月号(2023年12月8日発売)からの価格改定に伴い、年間定期購読料を以下の通り改定いたします。

【現在の年間定期購読料(2023年12月号から購読開始、1年間の購読料)】
10,000円(税込) ※本体850円×12+税10%=11,220円のところ、差額1,220円

【リニューアル年間定期購読料(2024年1月号以降から購読開始、1年間の購読料)】
11,300円(税込) ※本体950円×12+税10%=12,540円のところ、差額1,240円

※年間定期購読中のみなさまには、それぞれのお申込みいただいている期間の最後の号をお送りする際に、リニューアル年間定期購読料11,300円にて継続のご案内をいたします。
※電子版の定期購読はございません。

 ご高承のとおり、昨今の出版環境は、原材料費(印刷・用紙代等)、輸送費等の高騰により一段と厳しさを増しております。
 小社といたしましても、継続的なコスト低減・価格維持に取り組んでまいりましたが、このところの原材料費アップは、私どもの努力を大きく超えるものでございます。
 つきましては、まことに遺憾ではございますが、上述の通り価格改定させていただき、併せて年間定期購読料の改定をさせていただきます。読者のみなさまにおかれましては、何卒これら事情をご賢察いただき、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

6. 年間定期購読の新規お申し込み

 以下のページよりご新規のお申し込みを承っております。

» 雑誌年間購読のお申し込み


7. 『世界』について


 月刊誌『世界』創刊号は、敗戦のわずか数か月後の1945年12月に発売されました。
 なぜ、日本が戦争に吞み込まれてゆくのを阻止できなかったのか。創業者の岩波茂雄は悔恨の念とともに、日本が二度と戦争を引き起こさないため出版社に何ができるかを考え、「新日本の文化建設」を願って、それまでのアカデミックなわく・・を出て、社会の現実に触れる「総合雑誌」の発刊を決意します。初代編集長は吉野源三郎(『君たちはどう生きるか』著者)が務めました。
 『世界』は日本の講和、再軍備、核戦争の危機といった難問に挑み、誌面を通して戦後日本の平和思想のベースをかたちづくっていきました。

8. パブリシティ

 『世界』リニューアルが各紙で紹介されました。


2023年11月28日 朝日新聞朝刊〈ひと〉欄(承諾番号:23-3287)
※画像クリックで拡大します



2023年12月9日 毎日新聞夕刊
※画像クリックで拡大します


2023年12月16日 日本経済新聞朝刊
岩波の雑誌「世界」が誌面刷新、大きなテーマと日常つなげる場に(活字の海で)
https://webreprint.nikkei.co.jp/r/9FD60E71282B4B0FB154D0E76FCBDDB8/
※URLクリックで記事が開きます

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