謹告（新書『スポーツからみる東アジア史』）――

　高嶋航著『スポーツからみる東アジア史──分断と連帯の二〇世紀』（岩波新書1906、2021年12月17日刊）の終章「東アジア大会の挫折──1990年代以降」の「１　対抗と改革運動としての連帯」に誤りがありました。
　同章同節では、1990年８月のイラク軍によるクウェート侵攻を受けて、OCA（アジア・オリンピック評議会）は、イラクの資格停止処分を決議し、第11回アジア競技大会（同年9月22日─10月７日）に、イラクが不参加となったことが記述されています。
　229頁には、このOCAの決定に対する有識者たちの反応が紹介されていますが、故川本信正氏（1907-1996）について、13行目から14行目に「モスクワ五輪でボイコットに賛成票を投じた川本信正は」との記載があります。これは事実ではなく、JOC（日本オリンピック委員会）の委員であった故川本信正氏は、モスクワ五輪をボイコットする決議に反対票を投じておられました。
　著者の高嶋氏と協議の上、以下のように改めます。

229頁13行目─15行目
‥‥‥である）。松平同様に、モスクワ五輪でボイコットに反対票を投じた川本信正だったが、「他国に侵略、国際的批判を受けている国が、平和の祭典に出てくるのを遠慮してもらう」のは、「OCA憲章に照らしても当然のことだ」と評価した。モスクワ五輪‥‥‥

　ご希望の方には、送料小社負担にて、該当箇所を訂正しました本とお取り替えいたします。お手数をおかけして恐縮ですが、お手持ちの本を、着払いで下記までお送りくださいますようお願い申し上げます。
　なお、該当箇所を含む頁（229―230頁）を、以下からダウンロードしていただくこともできます。

　故川本信正氏は、『スポーツ賛歌──平和な世界をめざして』（岩波ジュニア新書32、1981年刊）の著者であり、スポーツを通しての平和の実現を願い、スポーツへの政治的介入には強く批判的立場を取ってこられた方でありました。
　事実と異なる記述を記載いたしましたことを、故川本信正様、ご遺族ならびに関係者のみなさま、読者のみなさまに深くお詫び申し上げます。

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　2022年1月11日

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