IPAのサイトリニューアルで「404エラー」多発、一体なぜ? 経緯を聞いた
IPAの公式Webサイトリニューアルにおいて、多くのページにリダイレクト設定がなされず問題視されている。どのような経緯でリダイレクト不足が発生したのかIPAに尋ねた。
情報処理推進機構(IPA)の公式Webサイトリニューアルにおいて、多くのページにリダイレクト設定がなされず問題視されていた件を巡り、IPAは4月3日「ご不便をおかけしまして大変申し訳ありません」と謝罪した。
IPAは3月31日に公式Webサイトの全面リニューアルを実施。モバイル端末からの閲覧を意識したデザイン改修、コンテンツへの導線の改善などを図ったとしていた。その中で多くのページのURLも変更したが、リダイレクト設定がほとんどなく、既存のリンクを開いても「404 Not Found」とのみ表示されることが問題視されていた。
謝罪文によると、リニューアルに際して「安定的なレスポンスの確保を考慮し、リダイレクト対象とするコンテンツを選定した」という。しかし、多くのユーザーがIPAのコンテンツを資料として使っており、その影響について認識が不足していたのが原因の一つとしている。
なぜ「404エラー」が多発したのか
Webサイトのリニューアル実施業務を担当したのは、行政機関のWebサイト構築などを手掛けるニッセイエブロ(東京都港区)。IPAが発表した入札説明書では「リダイレクト設定を考慮する」「Google検索が機能しないことを想定して対策する」などの要件が記述されていたが、実際にはリダイレクト設定がされたページは一部にとどまった。
ITmedia NEWSは同件について「リダイレクト設定をするよう指示していたにもかかわらず、ニッセイエブロが実施しなかったのか、それともIPAの指示に不備があったのか」と尋ねた。IPAは「どのページをどのくらいリダイレクトするかは指示していたが、指示が不十分だった」と回答した。
「一部のみリダイレクトするよう指示したのは予算の関係なのか」と聞くと「全部リダイレクトさせると、Webサイトへのアクセスが遅くなる懸念があると(ニッセイエブロから)聞いていて、適用するページを選定して合意した。予算というよりはパフォーマンスの関係」(IPA)との説明があった。
まとめると、パフォーマンスの影響を鑑みた結果、リダイレクトできるページには限りがあったため、IPAとニッセイエブロの間でどのページをリダイレクトするか協議し合意した。しかし、IPAが掲載していたコンテンツは想定以上に企業の資料などに引用されており、影響が大きくなったといえる。
なお、一部のページではRSS配信が停止しているが、IPAによると「これは不具合によるものであり、現在修正対応を行っている」という。
今後は、「頂いた多くのご指摘を重く受け止め、ユーザーの皆さまのコンテンツへのアクセスを確保するため、リダイレクトの追加対応を早急に進める」としている。「脆弱性対策情報」や「情報処理安全確保支援士」、白書など重要度の高いコンテンツは原則リダイレクト対象とするという。
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