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官僚アンケートで発覚 未だに「残念すぎる」霞が関の働き方と、改革を阻むカベ働き方の「今」を知る(4/4 ページ)

民間企業に投げかけられている「テレワーク7割」の掛け声だが、霞が関は実現できているのか? 官僚アンケートで明らかになったのは、残念すぎる内情だ。

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 取材対象者は、現役官僚から名前が多く挙がっていた、森ゆうこ、小西ひろゆき、蓮舫、福山哲郎、枝野幸男(以上立憲民主党)、塩川鉄也、山添拓(以上共産党)の各議員だ。

 取材依頼書の文面は個別議員によって異なるが、おおむね次のような趣旨のものを送付。回答期限を5営業日後の正午に設定して返答を待った。

  • 官僚の長時間労働を招いている理由として「国会議員の質問通告時間の遅さ」と、「国会議員や省庁幹部のアナログさ」が指摘されている
  • 民間企業による国家公務員の労働実態調査において、「質問通告2日前のルールを守っていない政党、国会議員名」を具体的に挙げる設問があり、貴殿には多数の得票があり、官僚が対応に苦慮している様子である
  • 質問通告が遅くなってしまうことに関して、何か特段の事情があるのか
  • 質問通告について、既に与野党間のルールとして「審議の2日前の昼までに出す」ことが決められているが、ルール違反である自覚はあるのか
  • 「国会議員が質問通告を2日前に終え、基本的なデジタルツールの使い方を覚えて対応するだけで、年間248億円もの財源確保につながる」と試算されている。貴殿の行動が国民の血税の無駄使いにならないようにするためにも、改善に向けてとられている対策などがあれば教示いただきたい

 結果的に、期限までに回答があったのは山添議員と蓮舫議員、期限後に福山議員の計3名のみで、他議員からは一切の返答がなかった。回答全文は次の通りだ。


山添議員の回答

蓮舫議員の回答

福山議員の回答

 山添議員からは「2日前の通告自体に合理性がない」、福山議員も「2日前ルールが実際のルールとして確立している状況ではない」との見解が示された。

 2日前ルールを守れない理由の一つは、国会の開催日程が2日前の段階で決まっていない点にある。開催するか否か、与野党の国会対策委員会の議員による折衝、いわゆる「日程闘争」が、ギリギリの前日までずれ込んで議論されるという悪い慣習が背景にあるのだ。

 しかし、当該折衝を2日よりも前に必ず終えて日程を決められれば、野党は十分な余裕を持って質問を考え、期日前に「質の高い質問」をすることができるし、与党は官僚を残業させることなく、「質の高い答弁」を用意することができるはずだ。何より年間200億円超にものぼる国民の血税を無駄にすることもなくなる。実際この問題は、アンケート回答でも言及されていた。

 「個別の議員の方々からの配慮を感じるようになっている一方で、結局のところ、委員会の日程が権力闘争の具となっているために、改善の効果は抑制されている。与野党間での調整による日程決定が直前では、個別の議員の方々も2日前通告を実現できないのではないか」(国土交通省 30代)

 民間企業における働き方改革では、会議開催の調整は真っ先に「削減したい時間」に上がる。「本来出すべき価値」を出すべく、時間の使い方を変える努力をしているのに、どれだけの時間が国会や霞が関では空費されているのだろうか。

 政府や地方自治体からは「テレワークによる出勤7割減」とのメッセージが繰り返し発信されている。とはいえテレワークが全てではないし、国会と霞が関だけの問題ではない。その土台となるデジタル化を進めなくては、今般のコロナのような感染症や、今後いつ発生するか予測できない天災を乗り越えることは難しくなるだろう。だからこそ逆に前向きに捉え、ここで一気に社会や経済の構造を変えていく機会としたいものだ。

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著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。


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