情報セキュリティ
公開日:2021年6月7日
独立行政法人情報処理推進機構
セキュリティセンター 企画部
中小企業支援グループ
2019年度(令和元年度)に引き続き2020年度(令和2年度)においても、中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援する仕組みの構築を目的とし、全国13地域・2産業分野の中小企業を対象に、損害保険会社、ITベンダー、セキュリティ企業、地域の団体等が実施体制を組み、実証事業(サイバーセキュリティお助け隊)を実施しました。
本事業の実施を通じて、中小企業のセキュリティ対策の促進や意識喚起、攻撃実態や対策ニーズ把握を行い、中小企業等に必要なセキュリティ対策の内容(対応範囲や費用等)、マーケティング方法や支援体制、中小企業等向けのサイバーセキュリティ対策の一つとして提供するセキュリティ簡易保険サービスのあり方、実証終了後のサービス提供の可能性等の検討を行い、報告書にまとめました。
2019年度の事業では、全国8地域で計1,064社の中小企業が参加し、実証に取り組んだ結果、延べ128件のインシデント対応支援が発生し、そのうち18件の駆けつけ支援を実施しました。
2020年度は、2019年度事業の結果を踏まえ、地域特性・産業特性を考慮したマーケティングを行うため、13地域(24道県)と2産業分野の中小企業等を対象に実施するとともに、2021年度以降の民間でのサービス展開に繋げるべく、サービス内容のスリム化や導入・運用負荷を下げる検討を推進しました。
全国13地域・2産業分野で事業主体が実施体制を組織し、中小企業に本事業を周知し、参加を呼びかけることで、計 1,117社の中小企業が実証に参加しました。
実証を行った対象地域/産業分野、実施体制、実証参加企業数は以下のとおりです。
東日本電信電話株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
143
東北インフォメーション・システムズ株式会社
株式会社ハイテックシステム、株式会社アキタシステムマネジメント、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
40
富士ソフト株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
71
株式会社デジタルハーツ
損害保険ジャパン株式会社、東日本電信電話株式会社
56
富士ゼロックス株式会社
(※富士フイルムビジネスイノベーション株式会社。以下同じ)
東京海上日動火災保険株式会社
60
SOMPOリスクマネジメント株式会社
ちばぎんコンピューターサービス株式会社、株式会社千葉銀行、株式会社ラック、損害保険ジャパン株式会社
66
MS&ADインターリスク総研株式会社
中部電力株式会社、株式会社中電シーティーアイ、中部電力ミライズ株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
76
名古屋商工会議所
株式会社日立システムズ、西日本電信電話株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、損害保険ジャパン株式会社
140
大阪商工会議所
日本電気株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、キューアンドエー株式会社
53
高松商工会議所
株式会社STNet、キャノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社青柳、四国オフィスオートメーションシステム株式会社、四国特機株式会社、西日本電信電話株式会社、損害保険ジャパン株式会社、東京海上日動火災保険株式会社
70
株式会社BCC
日本電気株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、NECフィールディング株式会社
54
西日本電信電話株式会社
株式会社くまなんピーシーネット、東京海上日動火災保険株式会社、一般社団法人熊本県サイバーセキュリティ推進協議会
105
沖電グローバルシステムズ株式会社
株式会社セキュアイノベーション、ファーストライディングテクノロジー株式会社、損害保険ジャパン株式会社、那覇商工会議所、沖縄電力株式会社
102
株式会社PFU
株式会社エヴァアビエーション、損害保険ジャパン株式会社、富士通株式会社
50
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
東京海上日動火災保険株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、NTTセキュリティ・ジャパン株式会社、NTTコムソリューションズ株式会社、ジェイズ・コミュニケーション株式会社
31
1,117社
実証参加企業の属性は以下のとおりです。
計 1,117社の実証参加企業の業種別内訳は、「製造業」が24.1%で最も多かったものの、「卸売業・小売業(13.6%)」や「サービス業(10.2%)」など、様々な業種の中小企業が参加しました。
実証参加企業の従業員数別内訳としても、「1~5人」が24.3%、次いで「21~50人」が20.2%であったものの、「201人~300人」も3.1%含まれるなど、多様性がありました。
実証参加企業1,117社に対して、各事業主体が選定したセキュリティ機器(UTM 機器、EDR ソフト等)を実証参加企業に設置(延べ1,190社)することで実態を把握しました。
各事業主体が実施した取組みは以下のとおりです。
143
UTM機器:134(設置数)
40
UTM機器:40(設置数)
71
ネットワークセンサー:71(設置数)
56
60
UTM機器:36(設置数)
66
76
140
53
UTM機器:53(設置数)
70
54
105
102
50
PCの脅威検知:50(設置数)
31
UTM機器:30(設置数)
1,117
1,190
本事業では事業主体ごとに実証参加企業からの実証に関する相談受付および対応等の実施体制(コールセンター)を構築し支援を実施しました。
セキュリティ機器による検知、および脆弱性診断等の結果に基づき、合計293件のインシデント対応ほか技術的支援を行いました。対応件数および内訳は以下のとおりです。
<相談・インシデント対応ほか技術的支援の状況>
実証事業の過程で中小企業のニーズにマッチした民間サービスの開発が進められる中で、IPAでは、本実証事業の結果等を踏まえ、相談窓口、異常の監視、緊急時の対応支援、簡易サイバー保険などの各種サービスをワンパッケージで安価に提供することを要件としてまとめた「サイバーセキュリティお助け隊サービス基準」を2021年2月に策定・公表しました。
同基準を満たすサービスには、「サイバーセキュリティお助け隊マーク」の利用を許諾し、ブランド管理を行うとともに普及を促進します。
北海道
宮城、山形、秋田、青森
岩手
岩手県・宮城県・福島県
千葉、埼玉
千葉
岐阜を中心とする中部エリア(岐阜、愛知、三重、静岡)
愛知、岐阜、三重
滋賀、奈良、和歌山
香川
福岡を中心とする九州圏(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎)
熊本
沖縄
防衛・航空宇宙産業(関東地方、中部地方、関西地方)
自動車産業(静岡県、広島県等)
IPA セキュリティセンター 企画部 中小企業支援グループ 小野/芳賀
2021年6月7日
成果報告書(全体版)を掲載しました。
2021年5月31日
成果報告書(概要版)、各事業主体の成果報告書を掲載しました。