情報セキュリティ
公開日:2024年4月17日
営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
知的資産部知的財産課 課長代理
河野 泰子
営業秘密は、企業活動において日々発生する様々な営業情報や技術情報のうち、不正競争防止法の保護対象となる情報として規定されています。具体的には、営業情報の例としては、顧客名簿、取引先情報、原料価格、財務情報などが、技術情報の例としては、製品の図面や設計図、全材料の配合比率、品質管理に関する情報などがあります。こうした情報が営業秘密として保護されるための条件として、商業的価値があること、秘密として管理されていること、公然と知られていないことなどが不正競争防止法に定められています。
営業秘密が外部に流出してしまうと、競合他社商品の品質などの競争力が上がり、自社の売り上げが相対的に低下し、事業戦略の再構築の必要性も生じ、場合によっては訴訟を検討する必要性も発生します。営業秘密を保護する義務は、世界貿易機関(WTO)の知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)において規定されており、WTO加盟各国はこれに従って国内法を整備していますが、国によって法律や運用が異なるため、海外へ製造拠点の移転や駐在員事務所の設置を行う際には、海外拠点に応じた個別の保護手段を講じる必要があります。
ジェトロでは、経済産業省知的財産政策室からの委託事業として、2019年度より海外拠点での営業秘密管理をサポートする事業として「海外における営業秘密漏えい対策支援事業」を実施しており、本年度6年目を迎えます。本事業は、現地の専門家よる訪問、面談、メール、電話、ウェブ会議などを通じた個別支援事業で、営業秘密の管理状況のチェック、提案、社内規定・契約書のレビュー、管理職・従業員向け研修等、各社の状況や要望に応じた相談、アドバイス、研修などを行います。支援対象としては、中国大陸、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、欧州(一部)に拠点を持っている日本企業、日本企業の出資を受けている現地法人、現地に拠点を設立予定の日本企業となります。6月より募集を開始し、2025年1月末までの支援期間中に、合計で18社程度受け付ける予定です。
海外拠点の営業秘密管理体制を強化したい、海外拠点の設立を検討していて営業秘密管理体制を整えたい等のご要望、海外における営業秘密漏えい対策についてのご相談等がございましたら、ジェトロ知的財産課までお問合せください。
また、本委託事業では、営業秘密に関する現地法制度および管理体制整備、漏えい対策等をまとめた営業秘密管理マニュアルおよびレポートも作成しています。営業秘密管理マニュアルは中国、タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、インド、メキシコの法制度について、レポートは、米国、欧州、ドイツ、英国の法制度について、それぞれ作成されております。これらの報告書類は経済産業省知的財産政策室のウェブサイト(営業秘密~営業秘密を守り活用する~(経済産業省))に掲載されていますので、ぜひ併せてご活用ください。
弁護士知財ネットからの「訴訟・判決コラム」は、今回はお休みです。過去の掲載記事は、以下URLをご覧ください。
コラムの内容は、弁護士知財ネットのウェブサイトをご覧ください。
4月10日(日本時間)にMicrosoft製品に関する脆弱性の修正プログラムが公表されました。CVE-2024-26234については悪用の事実が確認されているとMicrosoft社から公表されており、早急に修正プログラムの適用が求められます。
詳細はウェブページをご確認ください。
製品利用者が脆弱性により不利益を生ずることの無い様、脆弱性情報は適時適切に公表する必要があります。3月27日に公開した脆弱性対策情報の公表マニュアル第6版は、ソフトウェア開発者が脆弱性対策情報を公表する際に留意すべき点についてまとめたマニュアルです。
詳細はマニュアルをご覧ください。
個人や企業から届出があったコンピュータウイルスやランサムウェア、不正アクセス等に関する事例レポートです。職員の認証情報が組織内外への攻撃に悪用された事例やその着目点なども解説しています。
詳細はウェブページにある資料をご確認ください。
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)では、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しております。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取り組もうという方向けの内容で、無料でご視聴頂けます。
動画は「はじめての営業秘密管理」よりご覧いただけます。
令和5年6月14日に法律第51号として公布された「不正競争防止法等の一部を改正する法律」では、以下のようなさらなる営業秘密・限定提供データの保護強化を実施しています。
なお、この改正法は、2024年4月1日から施行されています。
詳細は経済産業省のウェブページをご覧ください。
経済産業省は産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の基準をもとに、中小企業や専門知識がない方でも自社の情報セキュリティ対策の状況を確認し、必要な対策を把握できる「技術情報管理 自己チェックリスト」を公開しております。
情報セキュリティ対策をなにから始めればいいか分からずお悩みの方は、まずは自己チェックリストを経済産業省ウェブページからダウンロードして、自己診断してみましょう。
技術情報管理自己チェックリストのダウンロードは、技術情報管理自己チェックリストのウェブページをご確認ください。
皆様の企業・研究機関にはどのような技術情報がありますか?
技術流出の防止には、「情勢」・「事例」・「対策」の理解が欠かせません。この度、警察庁公式サイトに特設ページ「技術流出の防止に向けて」を開設し、技術流出に関する情勢、リスクのある具体的事例「3つのS」 と題した企業や個人が取るべき対策などをわかりやすく説明しています。動画やパンフレットも掲載されていますので社内研修等に御活用ください。
「技術流出の防止に向けて」のウェブページから事例、動画、パンフレット等をご覧ください。
内閣府知的財産戦略本部において、政府における知財戦略や知財施策を取りまとめた「知的財産推進計画2023~多様なプレイヤーが世の中の知的財産の利用価値を最大限に引き出す社会に向けて~」を公表しています。 「知的財産推進計画2023」では、知財戦略の基本認識と重点10施策の中で、営業秘密やデータ利活用に関する施策についても掲載されています。
詳細は 知的財産推進計画2023のPDF版をご確認ください。
不正競争防止法の講演等において、不正競争防止法の概要とともに紹介・説明させていただいておりました「秘密情報の保護ハンドブック」について、改訂版を公表いたしました(令和6年2月)。
令和5年の不正競争防止法改正など関連法制度・ガイドラインの見直しに伴う修正、営業秘密・労働環境をとりまく「環境の変化」に伴う修正、「生成AIの利活用の拡大」といった社会の動きを考慮した修正等が今回の改訂の中心です。
秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきといった資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。次のリンク先をご確認いただき、社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。また、ご希望の方には冊子をお届けすることも可能でございますが、現在改訂版の冊子を準備中のため、準備が整い次第、知財室ホームページからの請求受付を開始予定です。なお、ハンドブックの手引きにつきましては、請求受付を始めましたのでご希望の方へお届けすることも可能でございます。
詳細は「冊子の送付について」のウェブページをご確認ください。
不正競争防止法のテキストを2024年版に改訂しました。
昨年、5年ぶりに法改正がされ、本年4月1日から施行されました。改訂版では、その改正を取り込んだ最新の内容となっており、知財室ホームページにて公表しております。
詳しくは以下のウェブページをご確認ください。
また、不正競争防止法や令和5年の法改正の内容について説明会をして欲しい!などのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。知財室員がご説明に伺います。
不正競争防止法では、限定提供データに関する規定を設けております。企業が保有・活用する「情報」を営業秘密と相互補完的に守る枠組みです。
経済産業省では、限定提供データの定義や不正競争に該当する要件等について、一つの考え方を示すものとして「限定提供データに関する指針」を公表しておりますが、この度、不正競争防止法の改正において限定提供データの保護範囲の見直しを行ったことを踏まえて、指針の改訂を行いました(令和6年2月)。
知財室では、データ利活用に関する資料をウェブサイトにて公表しておりますので、ご活用いただけますと幸いです。
データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。
3月21日に内部不正による情報漏えいの手口や対策を学べる新作の動画をを公開。IPAが過去に制作した情報セキュリティ対策に役立つ他の映像と併せて、新入社員向けの研修などにご活用ください。
動画はYouTube の IPA Channel をご覧ください。
新作「今、そこにある脅威~内部不正による情報流出のリスク~」
スタートアップ必見!知的財産の重要性を呼びかける、全5話のWebショートドラマを公開中です!
『全話最終回… どうやっても毎回倒産してしまうナオトとその仲間たち』
大手企業の契約担当者の罠に落ち、信頼していた研究パートナーにはめられ、不慣れな異国の地でも知的財産トラブルに見舞われるなど、挑戦のたびに知的財産が原因で倒産してしまう3人組。知的財産の重要性を知らないと行き着く先は「THE END.」になってしまうという、学びのある物語です。
動画は特設サイト「スタートアップは突然に」をご覧ください。
世界初!?
厳しいビジネスの世界をサバンナに例え、ネイチャードキュメンタリーさながらに、サバンナで生きるシャチョー(スタートアップ類)の大切なアイデアや技術を“捕食”されないよう、知的財産の重要性を啓発する動画になっています!!
YouTube動画はINPIT(インピット)Channel「スタートアップ社長 in サバンナ」(ナレーション:森田成一)からご覧ください。
トップセールスでうっかり・・・、取引先からの要請に答えたら・・・、展示会でアピールし過ぎて・・・、など営業秘密で陥りがちな失敗とケーススタディをYouTube動画で公開中です。 「わが社の営業秘密は大丈夫かな?」とちょっと思った方!必見です。 YouTubeで公開中の動画
第1弾【この話、自分には関係ない本当にそう】トップセールスでのうっかり
第2弾【取引先からの思いがけない提案】苦渋の判断が生んだ悲劇
第3弾【会社総出でアピールしたら】展示会の落とし穴
独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)が運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい?」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくは営業秘密管理よりご覧ください。
豊富な知財実務経験を有する知財戦略エキスパートが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。
地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
お問い合わせは「営業秘密支援窓口」のサービス概要をご参照ください。
いつもつぼマガをご愛読いただきありがとうございます。経済産業省知的財産政策室でございます。
4月となり、すっかり春本番となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。季節の変わり目に加え、異動や退職に伴う引継ぎの際には、秘密情報の管理についてのノウハウもしっかりお伝えいただきましたでしょうか?暖かい季節になるとぽかぽかとした陽気につられ、気が緩んでミスをなんてこともあるかもしれません。そんな時こそ大切な情報の漏えい、紛失が無いよう十分ご注意いただき、必要に応じて当室資料をご参照いただければ幸いです。
さて、4月1日は何の日だったかご存じでしょうか?そうです、エイプリル、いえ、改正不競法の施行日ですね(こう思うのは、知的財産政策室員だけかもしれません。苦笑)不競法テキストに加え、令和5年改正版の逐条解説も知財室ウェブページで公表いたしましたので、よろしければご活用ください。
もうすぐゴールデンウイークですね。皆様は何をするか、なにか計画されていらっしゃいますか?日々の疲れを癒すべく、お家でリラックスされる方も、旅行などに行ってアクティブに過ごされる方も、皆様楽しく充実した時間を過ごされますようお祈りしております。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター
TEL
FAX
03-5978-7513
皆様のご意見、ご要望などをお待ちしております。
ご意見およびご要望は、次のアドレスにメール願います。