―――『ブルームーン』に至るまでの背景を聞かせていただけるでしょうか? Martenさんは音楽が専攻だと伺ったのですが
元々ゲームは大好きで、任天堂と一緒に育ったといっても過言ではありません。ゲームはずっと作りたいと思っていたのですが、プログラミングはどうしても好きになれず手が付けられていませんでした。高校を卒業してから、大学ではサウンドエンジニアリングを専攻していたのですが、ゲームデザインの講義もありそこに参加することができました。それがきっかけでクラスメイトと一緒にゲームを作ったりして、在学中にJMJ Interactiveを設立してゲーム作りを始めました。
―――プログラミングがお得意ではないというハードルはどのようにして超えたのですか?
実は「Multimedia Fusion」(フランスのClickteam社が提供)というオーサリングツールがあり、それでゲームは作っていて、殆どプログラミングは必要ないんです。しかも、Wii U向けにエクスポートするツールも提供されていて、『ブルームーン』はそれを使って開発されました。同じようなゲームも増えているようです。
―――ではプログラムもグラフィックもサウンドもお一人でやられているのですか?
そうですね。JMJ Interactiveの設立から今まで、ずっと基本的には自分一人でやってます。何でも勉強して身に着けていく事が大事ですね。とはいえ、『ブルームーン』のWii U版については友達のデザイナーさんにグラフィックを手伝ってもらって、凄く良いものになりました。今後、もっと大きなプロジェクトを手掛けるようになれば人を増やす事も有り得ると思いますが、今は一人で作るのが好きかなあという感じです。
―――『ブルームーン』はどのように誕生したのでしょうか?
実は『ブルームーン』は処女作でした。ちょうどその頃、Tale of Taleの『The Path』や、Jason Rohrer氏の『Passage』のような少し変わった、ゲームではないゲームのような作品を遊んでいて、自分もそうしたゲームを作りたいと思ったんです。テーマはロマンチックな感情を想起するもの、というところでしょうか。綺麗な自然の写真を見ていて、ああいうゲームを作りたいと思いました。
―――Wii U版で改良されている部分はありますか?
PCやスマートフォン版と比べると、先ほど言っようにグラフィックがとても綺麗になっています。ほかは基本的には大きな変化はないのですが、細かい部分はかなり調整していて、全体的に良い作品になっているんじゃないかと思います。
―――日本語名の『ブルームーン』(原題はStar Sky)はどうやって決まったのですが
名前は(日本語のPC版を展開した)Playismが提案してくれました。原題では既に似たような名前が使われているという問題があったようです。実際のところ日本語名はとても気に入ってます。彼らがやってくれた日本語版はとても売れ行きが良くて、それから他のゲームでも日本語対応するようにしています。
―――どんな遊び方をして欲しいですか?
「歩く」と「走る」しかないゲームですが、あまり急がず、ゆっくり遊んで欲しいですね。そうすると色々な気付きや発見があると思います。そういう遊び方は他の国の人より日本人に合ってることもあって売れている面もある気がしますね。辛抱して遊んでみて欲しいです。
―――Miiverseやアプリストアのレビューでは「寝る前にちょっとずつ遊んでます」という声がありましたね
それは本当にクールで、理想な遊び方だと思いますね。嬉しいです。
―――今後はどんなゲームを手がけていくつもりですか?
実はいま『ブルームーン2』に取り掛かっていて、半分くらいまで終えたところです。『2』では男性と女性の二人の主人公が登場して、行き先がそれぞれ異なります。人生の選択肢、というようなイメージでしょうか。まずはPCとスマホで、今回上手くいけばWii Uでもまた出したいですね。
―――最後に日本のゲームユーザーに一言お願いします
『ブルームーン』を楽しんでいただきありがとうございます。まだプレイしていない方がいらっしゃれば、是非一度試してみてください。今日はありがとうございました。
『ブルームーン』はWii Uのニンテンドーeショップにて、300円で好評発売中です。