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BRAIN and NERVE Vol.77 No.1
2025年 01月号
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特集の意図
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1975年にMayo ClinicのP.J.Dyck博士が“Chronic Inflammatory Polyradiculoneuropathy”の名称で本疾患の概念を確立して50年が経過した。この50年で,“治せるニューロパチー”としての地位は確実に築かれたものと思われるが,診断マーカーはいまだ存在せず,鑑別診断や治療方針の立て方など課題も山積しており,苦手としている先生方も多数おられるものと推察する。本特集では,CIDPの歴史から診断基準の読み方,難治症例への対策まで幅広く取り上げた。CIDP診療に自信を持って臨むための一助となれば幸いである。
【鼎談】CIDP 50年—今までとこれから 楠 進 , 桑原 聡 , 神田 隆
CIDPの歴史—疾患概念の確立,治療法の変遷と未来 神田 隆
2025年は,Peter J Dyck博士がchronic inflammatory polyradiculoneuropathy(CIP)という病名を初めて用いた論文を上梓して50年という節目の年にあたる。それまで雑多な名称で呼ばれていたCIDPが1つの疾患概念としてまとめ上げられたことにより,その診断と治療は大きな前進を遂げた。この論文では,疾患概念の確立と日本での受容,治療法の変遷の概要と現況をまず述べる。しかし,CIDPの治療はまだまだすべての患者に満足な結果をもたらすところまでは発展していない。本論文の後半では,考えられる病態メカニズムに立脚した近未来の治療展望を論じる。
2021年EAN/PNS CIDPガイドラインを紐解く 桑原 聡
2021年に欧州神経学会(EAN)と国際末梢神経学会(PNS)によるCIDPの診断・治療ガイドラインが公表された。2005年初版,2010年改訂版に続く第3版となる。この間に疾患概念の整理,電気診断・末梢神経画像診断の進歩,傍絞輪部蛋白に対する新規抗体の発見があり,治療の面からは免疫グロブリン維持療法が開発され,新ガイドラインではこれらを包括した改訂が行われた。CIDPの中心病型は対称性に近位筋・遠位筋がともに障害される典型的CIDPであり,旧版で非典型的CIDPとされていた遠位型・多巣型なども病型はvariantとされ別個に診断基準が示され,狭義のCIDPには入らないニュアンスが示された。本論では改訂点のポイントとともに現状で残された問題点についてタスクフォース委員間で議論されながら記載に至らなかった臨床病型の定義・疾患概念などの問題点を含めて概説する。
CIDPではなくなった疾患—抗MAGニューロパチーと自己免疫性ノドパチー 中島 昌典 , 海田 賢一
抗MAGニューロパチーと絞輪部・傍絞輪部蛋白抗体が陽性の自己免疫性ノドパチーは近年CIDPから分離され,独立した疾患として位置づけられた。自己抗体陽性例の臨床的均一性やCIDPと治療反応性が異なる点,自己抗体の病原性の証拠が分離の理由である。CIDPの括りから外れる一群を見出す意義は,個別の病態を明らかにし,適切な免疫治療を施すことにある。将来,CIDPが有する多様な病態が明らかにされ,病態の異なるCIDP亜型がなくなることを期待したい。
CIDPの治療—3つのmainstay治療をどのように組み立てるか 国分 則人
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)の3種のmainstay治療について解説する。副腎皮質ステロイド薬,単純血漿交換および免疫グロブリン療法は,いずれも導入療法としての症状改善効果が認められている。われわれは副腎皮質ステロイド薬の経口連日投与,経口・点滴静注のパルス療法,血液浄化療法,免疫グロブリン大量静注療法と皮下注療法を組み合わせて導入療法から維持療法を行う必要がある。
CIDPの治療—3つのmainstay治療が無効,または効果不十分のときにどのように対処するか 竹下 幸男
慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)治療は,疾患の特性と選択できる治療法の多さから治療効果判定に難渋することがある。CIDPの治療は「不十分な治療によるundertreatmentを防いで,第一に救える患者を見逃さない。第二に,不要な治療を漫然と続けずovertreatmentを行わない」が基本コンセプトとなっている。CIDPの治療評価判断は,6カ月以上の十分な治療期間をとることを必須条件とし,病態や再生機序の観点から著効,無効,効果不十分(わずかに改善,変化なし)の4つの評価基準に分けて,その後の対応を検討することが重要である。
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特集 CIDP 50年
【鼎談】CIDP 50年──今までとこれから
楠 進×桑原 聡×神田 隆
CIDPの歴史──疾患概念の確立,治療法の変遷と未来
神田 隆
2021年EAN/PNS CIDPガイドラインを紐解く
桑原 聡
CIDPではなくなった疾患──抗MAGニューロパチーと自己免疫性ノドパチー
中島昌典,海田賢一
CIDPの治療──3つのmainstay治療をどのように組み立てるか
国分則人
CIDPの治療──3つのmainstay治療が無効,または効果不十分のときにどのように対処するか
竹下幸男
■総説
コロナ禍が思春期世代のメンタルヘルスに与えた影響
細澤麻里子
全身型重症筋無力症の新しい治療薬エフガルチギモド皮下注製剤
鵜沢顕之,他
●原著・過去の論文から学ぶ
第10回 『脳循環への薬物等の作用(“The action of drugs on cerebral circulation”)』とLouis Sokoloff先生から教えていただいたこと──“A Serendipitous Journey from Bench to Bedside”
後藤 淳
●スーパー臨床神経病理カンファレンス
第12回 両下肢痙性と排尿排便障害が進行した77歳男性例
佐藤亮太
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