あなたにもできる スピリチュアルケア
死を前にした人が穏やかになるために、誰もができることがあります。
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「もう死んでしまいたい」「迷惑をかけてばかり」──死を前にした人の言葉に、応え続けることができますか。そこでは励ましも説明も、力を持ちません。
私たちにできるのは、相手にとって「わかってくれる人」として対話を重ね、大切な「支え」を強めること。それが “スピリチュアルケア”です。
スピリチュアルケアは、一部の人だけができる難しいケアではありません。わかりやすい言葉で、真似しやすい方法で、すぐに実践できるスピリチュアルケアがここにあります。
著 | 小澤 竹俊 |
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発行 | 2025年01月判型:A5頁:160 |
ISBN | 978-4-260-05696-0 |
定価 | 2,090円 (本体1,900円+税) |
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序文
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まえがき
スピリチュアルケアを学びたいのに、本を読んだり、研修を受けたりしてもすっきりしないと感じる人がいます。頭では理解したつもりでも、実際の患者さんを前にして習った通りに対話が続かないことがあります。なぜでしょう?
医療を専門としない人でもスピリチュアルケアを学び、実践できる方法はないのでしょうか? わかりやすい言葉、真似しやすい方法で、具体的に関わる方法を書籍にしたいと願ってきました。
ところで、皆さんはじゃんけんをする時に「最初はグー」と言いますか? 驚いたことに、私が小学校に“いのちの授業”で伺う時に、ほとんどの子どもたちは、「最初はグー」でじゃんけんを始めます。面白い、わかりやすい、真似できる内容であれば、学校の教科書に記載がなくても、自治体が補助金を出して啓発運動をしなくても、そのアイデアは勝手に拡がっていきます。
スピリチュアルケアも、そうありたいと願っています。この本を読んだ人が、スピリチュアルペインを訴える誰かと具体的に関わり、笑顔になる援助を周囲の人たちが真似していく時代が来ることを夢見ています。そして、その輪が拡がっていけば、どこに住んでいても、どんな病気でも、安心して人生の最期まで過ごせる社会が実現することでしょう。
あなたにもできるスピリチュアルケアがあります。臨床経験や専門的な知識はまったく関係ありません。一緒に学び、現場で実践してみませんか? この本が、そのきっかけになることを願っています。
2024年11月
めぐみ在宅クリニック 院長
エンドオブライフ・ケア協会 代表理事
小澤竹俊
目次
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Prologue
あなたにもできるスピリチュアルケア
Question
1 患者さんから「もう死にたい」などと言われると、どう応えていいのかわかりません。
2 相手が死を前にした人であっても、マイナスの気持ちを穏やかな気持ちに変えるなんてできるのでしょうか?
3 今、穏やかな人に援助(スピリチュアルケア)は不要ですか?
4 スピリチュアルケアは、医師や看護師などの専門職でないとできないのでしょうか?
Chapter1
Step1 わかってくれる人として話を聴く
Question
1 死を前にして絶望のどん底にあるような人に、どんな声をかけたらいいのでしょうか?
2 相手の話に耳を傾けることは、相手の苦しみを理解するということでしょうか?
3 患者さんの苦しみをわかることができないとしたら、私に何ができるのでしょうか?
4 相手にとって「わかってくれる人」になるためには、どうしたらいいのでしょう?
5 反復とは、ただ「相手の言葉を返すこと」なのですか?
6 反復ばかりしていると、相手の言葉をそのまま返すだけのようで不自然に感じます。自分の言葉に置き換えてはだめですか?
7 相手の言葉をすべて反復しようとすると、相手の言葉を覚えることにばかり意識が向いてしまいます。
8 相手が長く話している時、どの言葉を反復すればよいですか?
9 「家族が来てくれたんです」という言葉に「嬉しいですね」と声をかけたら、相手が黙ってしまいました…。
10 反復がうまくできているか、不安です…。
11 対話の途中で相手が黙り込んでしまうと、間がもたなくて焦ってしまいます。
12 あまりにも長い沈黙の時は、どうしたらいいですか?
13 患者さんからの「死にたい」といったマイナスの気持ちも、反復してよいのでしょうか?
14 マイナスの気持ちを反復するのは、やはり抵抗があります。反復をすることで、相手のマイナスの気持ちを肯定してしまうような気になるのです。
15 相手の言葉があまりにも重たい時、すぐに言葉を返すことができません。
16 「間」を取ってみても、あまりに重たい言葉はどうしても反復しづらいです。
[ワーク1] マイナスの気持ちの反復──前と後に「間」を挟む
Chapter2
Step2 解決できる苦しみは、解決することを約束する
Question
1 きちんと話を聴いていたつもりなのに、「もっと私の苦しみに気づいてほしい」と言われてしまいました…。
2 相手の苦しみに気づいたら、どうしたらいいのでしょうか?
3 どうして苦しみを2つに分けて考える必要があるのですか?
4 「解決できる苦しみ」と、「解決が難しい苦しみ」は、どうしたら区別できるのですか?
5 「解決できる苦しみ」には、どのように対応したらいいのですか?
[ワーク2] 相手の苦しみに気づく
Chapter3
Step3 苦しかった時を振り返る
Question
1 「解決が難しい苦しみ」を抱えた人が笑顔になるなんて、できるのでしょうか?
2 その人の「支え」を探すには、どうしたらいいのでしょうか?
3 苦しいことやつらいことを振り返ることで、患者さんがますますつらくなってしまわないでしょうか?
[ワーク3] 苦しかった時を振り返る──問いかけの技法①
Chapter4
Step4 苦しかった時、がんばれた理由(支え)について問いかける
Step5 支えを強める対話を重ねる
Question
1 これまで苦しかったことを振り返る対話の中で、どうすれば患者さんの支えを見つけられますか?
2 相手の支えが見えてきたら、どうしたらいいのでしょうか?
3 どうすれば、支えを強める対話ができるのでしょうか?
4 支えにはどのようなものがあるのでしょうか?
5 「選ぶことができる自由」とは、なんでしょうか?
6 なぜ「選ぶことができる自由」を9つに分類するのでしょうか?
7 苦しみがあっても穏やかと思える理由の1つ、「支えとなる関係」とは、なんでしょうか?
8 支えとなる友人や家族がいない、という患者さんもいます…。
9 「支えとなる関係」を強めるために、私たちには何ができるのでしょうか?
10 苦しみがあっても穏やかと思える理由の1つ、「将来の夢」とは、どのようなことでしょうか?
11 限られた時間しか残されていない人に、「将来の夢」を持つことなんてできるのでしょうか?
[ワーク4] その人の「支え」を見つける──問いかけの技法②
Chapter5
スピリチュアルケアの対話を進めよう
CASE 清水さんとの対話
Step1 わかってくれる人として話を聴く
Step2 解決できる苦しみは、解決することを約束する
Step3 苦しかった時を振り返る
Step4 苦しかった時、がんばれた理由(支え)について問いかける
Step5 支えを強める対話を重ねる
Chapter6
スピリチュアルケアを続けるために
Question
1 意思疎通が難しい患者さんに、スピリチュアルケアはできないのでしょうか?
2 患者さんとお話ができないのに、本人が大切に思うことを知り、言葉にすることなんてできるのでしょうか?
3 意思疎通が難しい患者さんに関わる際には、家族との対話が中心になるのでしょうか?
4 スピリチュアルケアをしたくても、時間がなかなかとれません…。
5 スピリチュアルな苦しみを抱えた患者さんの力になれず、関わることがつらくなることがあります…。どうしたら、この仕事を続けることができますか?
Column
1 ユニバーサルデザイン
2 聴くことが難しい理由
3 苦しみに気づく習慣を身につけよう
4 「事実」を離れ、相手の世界観をそのまま受け止める
5 グリーフケアの重要性
6 介護施設での看取りの質を高める
あとがき
索引