消えた四島返還─ 安倍×プーチン 北方領土交渉の真相

北方領土問題の解決を目指し、積み重ねた27回の首脳会談
安倍とプーチンは、なぜ歩み寄れなかったのか
激動の10年間を最前線で追い続けた北海道新聞取材班の記録―

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執筆
渡辺玲男、小林宏彰、則定隆史
編集
田中徹、池田大地
制作
佐々木文人、黄金健二(道新デジタルメディア)、森本雄太(道新デジタルメディア)
デザイン
貞廣磨紀、斉藤奈津子、高橋智子
地図画像:「地理院地図(電子国土Web)」を加工して作成

2

関係強化、プーチンの誘い

シンガポール会談の6年前。安倍は、日本の首相として10年ぶりの公式訪ロを果たし、対ロ外交に前のめり姿勢を強めていく。そこにはプーチンの巧みな誘いがあった。

Chapter 02

5

譲歩のツケ、消えた熱意

シンガポールでの歴史的な譲歩が空振りに終わった安倍。強硬姿勢をエスカレートさせるロシアに対し、戦略を立て直せないまま、熱意も失われていく。

Chapter 05

次の道

隣国 問われる針路

終わらないウクライナでの戦争。日ロ両国の水面下では対話を模索する動きも始まったが、行方は見えない。「近くて遠い」と言われる両国は、隣国としてどう向き合っていくのか。

Chapter 07

消えた四島返還─ 安倍×プーチン 北方領土交渉の真相

北方領土問題の解決を目指し、積み重ねた27回の首脳会談
安倍とプーチンは、なぜ歩み寄れなかったのか
激動の10年間を最前線で追い続けた北海道新聞取材班の記録―

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prologue prologue プロローグ

2018年11月シンガポール会談

プーチ大統領の手で 必ずや終止符打つ

日本政府が交渉の軸足を
「四島」から「2島」
へと大きく転換した
瞬間だった

プーチン大統領の横顔写真
安部総理の横顔写真
安部総理とプーチン大統領が握手する写真

1956年の日ソ共同宣言基礎に位置付け、平和条約交渉を加速させる

安倍首相が話す様子
安倍首相が話す様子

今回の合意の上に、 私とプーチン大統領のリーダーシップの下、 戦後残されてきた懸案、平和条約交渉を 仕上げていく決意であります

今回の合意の上に、 私とプーチン大統領のリーダーシップの下、 戦後残されてきた懸案、 平和条約交渉を 仕上げていく決意であります

歴代政権が重視してきたこと

1956年日ソ共同宣言
平和条約を締結後、
歯舞群島、
色丹島
を日本に引き渡す
1993年東京宣言
領土問題を「歴史的・法的事実」に立脚し、諸文書と「法と正義の原則」を基礎に、四島の帰属問題を解決する

しかし、この会談では

あえて東京宣言には触れず
日ソ共同宣言
平和条約交渉の基礎に位置付けた

下へ

日ロ交渉の軸足を
「四島」から「2島」
へと大きく転換した
ことを意味する

プーチ大統領は 返すはずだ

しかし…

しかし…

ロシアの抱える問題
プーチン大統領が話す様子
プーチン大統領が話す様子

日ソ共同宣言には、引き渡す用意が あるとだけ記されているが、 どんな条件の下、どの国の主権下に 置かれるかは書かれていない

日ソ共同宣言には、 引き渡す用意があるとだけ 記されているが、どんな条件の下、 どの国の主権下に置かれるかは 書かれていない

新たな交渉カードを切ったものの、
ロシアの要求は領土問題の解決なしに
受け入れられる条件ではなかった。

模索の末に平和条約交渉は
完全に行き詰まる…

27回の首脳会談。重ねた妥協…
膨大な政治エネルギーを注いだ末に、
残ったのは「負の遺産」だった。

北方領土交渉の現場で
何が起きていたのか?

2万枚を超える取材メモから
浮かび上がる交渉の真相

破れた紙
執筆
渡辺玲男、小林宏彰、則定隆史
編集
田中徹、池田大地
制作
佐々木文人、黄金健二(道新デジタルメディア)、森本雄太(道新デジタルメディア)
デザイン
貞廣磨紀、斉藤奈津子、高橋智子
地図画像:「地理院地図(電子国土Web)」を加工して作成