国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は12月2日、韓国・釜山で行われていたプラスチック汚染対策に関する国際条約を議論する第5回政府間会合(INC5)が同日、条約交渉が合意に至らないまま閉幕したことを受け、以下の声明を発表しました。グリーンピースは本政府間交渉委員会に代表団を派遣し、会議にオブザーバー参加していました。INC事務局は、2025年以降に次回の政府間交渉委員会を開くことを発表しました。

INC5開会に合わせてグリーンピースが掲げた巨大な旗。世界の注目を訴えたが今会議では条約の合意には至らなかった(2024年11月25日、釜山)

グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチック・キャンペーン・リード、グラハム・フォーブス(グリーンピース国際プラスチック条約代表団代表)

「条約交渉の遅延は、人類と地球にとって厳しい結果ですが、プラ汚染を何も解決できないような実効性の低い条約が合意されるよりはよかったといえます。 次回の会合で各国政府は、プラ生産を削減するための世界目標と施策を含む実効的な条約に合意することが求められます。また、有害な化学物質の規制、使い捨てプラスチックの廃止、リユースに関する目標、適切な資金案を盛り込むことも必要です。さらにINC事務局は、包括的で公正な交渉プロセスを保証し、プラ汚染に最も影響を受けるコミュニティーが参加することを優先するべきです。私たちは今、人間の健康、生物多様性、気候を守る影響力のある条約を実現するチャンスを手にしています。実効性のある条約策定に意欲的な国々は、石油化学業界の干渉を退け、生産規制に賛同する大多数の国々の意志を守り抜かなければなりません。人類と地球を守る条約こそが唯一の選択肢です」

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「プラスチック生産規制を求める多くの国が立ち上がり、実効力のない条約の成立を阻んだことは評価できます。しかし日本は、高野心連合(HAC)加盟国であるにもかかわらず、100カ国以上が加わったプラスチック生産規制を求める提案書に賛同せず(注1)、最終日に行われた、会期中に実効的な条約を実現することを求めたHACの記者会見にも参加しなかったことは残念です(注2)。日本は1人あたりのプラスチック容器包装廃棄量は世界第2位で、その処理を焼却に頼っており、プラスチック汚染と無縁ではありません。次回の会合では交渉をリードし、生産やプラスチックに使用される化学物質の規制を含む条約を合意に導く姿勢を期待します」

以上

(注1)グリーンピース・ジャパン プレスリリース(2024年11月28日発表)

(注2)グリーンピース・ジャパン プレスリリース(2022年12月1日発表)