Shinsan Nameko’s Tokyo Motor Show 2019 Report Vol.1

東京モーターショー2019 辛酸なめ子のコンパニオン批評

かつてに比べ大幅に減った東京モーターショーのコンパニオン。2019年の今年はいかに? 漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんがファッションを中心にチェックした!
東京モーターショー2019 コンパニオン コンパニオン批評 田中康夫 ルノー 日産

“白”が多い日本メーカー

かつて東京モーターショーのコンパニオンといえば、ボディコンシャスで露出度も高くて、惜しげもなくセクシーさをふりまいていた印象です。

時代は移り変わって2019年。ジェンダーレスだったり多様性がフィーチャーされたりする昨今なので、コンパニオンやキャンペーンガールの衣装にも変化の波が来ていることと思います。会場をまわって各ブースのコンパニオンさんのファッションを拝見させていただきました。

一巡して、コンパニオンさんのファッションには世の中の流行とはあまり関係ない独自のセンスが感じられました。ちょいダサくらいが、おじさんたちが安心して見ていられるのでしょう。

そういった意味でコンパニオンらしいファッションだったのが以下のブースです。

・矢崎総業

グレーのミニワンピ。マーメイドラインは数年前に流行った記憶ですが、モーターショー会場で見ると新鮮です。脚の長い9頭身くらいの女性が着こなすと甘くなりすぎずシャープな印象に。

・JAF

白いスーツでタイトめのミニスカート。ブルーが差し色でさわやかです。知的だけどセクシー、という理想的な衣装。

・日野自動車

長袖の白ワンピでスカートが一部だけ赤いアシンメトリーデザイン。膝上20センチくらいで、プロ意識あふれるコンパニオンさんが長い脚をクロスさせ微笑みを浮かべていました。

・いすゞ

赤と青のラインが入った白ワンピですが、スカートの後ろ側が長くなっていて、前から見ると膝上10センチ、後ろからは膝丈になっていました。半袖で、上品ながらさり気なく露出。

・フォルシア クラリオン

ブルーに白と赤のラインが入ったワンピース。袖は七分丈ですがスカートはミニ。この中途半端感に萌える人もいるかもしれません。

・日本特殊陶業

部品のメーカーですが、かつてのザ・コンパニオン的な衣装で、腹部が出る短いノースリーブのトップスにミニスカート、白ブーツというコーディネートでした。なつかしいセンスです。消えゆく文化がギリギリ残っていて嬉しいですが、お腹を冷やして大丈夫か老婆心ながら心配になります。

以上が、拝見したなかでコンパニオン・ファッションの系統を継いでいると感じられた衣装です。日本のメーカーは白い衣装が圧倒的に多い印象です。日本でいちばん人気のクルマのボディカラーが白、というのにも関連しているのでしょうか。

個性派コスチューム

いっぽうで個性派のコンパニオンさんも見られました。

・住友電気工業

黄色、赤、緑の、ファンタジックな森の妖精風ファッションをまとった3人の女子が目を引きました。何かのアニメかと思ったら、この会社のイメージキャラのコスプレだそうでした。映えるのでカメラマンには人気でした。

・豊田自動織機

白衣に黒いパンツ、そして全員メガネというコスチュームが異色でした、未来感を演出しているのでしょうか。マニア受けするファッションです。

・日産自動車

こちらもかなり露出度が低く白いジャケットに黒いパンツ姿でスキがないです。奥ゆかしいコンパニオンさんは車から2メートル位離れた位置に立っていました。

・ルノー

ノースリーブワンピですが身体のラインが出ないゆったりしたシルエットで、ブルーから白と、黄色から白の2種類のグラデーションのタイプがありました。さすがフランスというおしゃれ感。着ているコンパニオンさんもイキイキしていました。

・デンソー

Tシャツにグレーのロングスカート、そしてスニーカーというカジュアルファッション。ここ数年流行しているロングスカートを取り入れつつ、「#KuToo」的なムーブメントにも配慮したファッションです。コンパニオンさん的には身体の負担が少ない衣装だと思われます。

時流を反映しておとなしめのデザインが多くなっていますが、それでも華やかなコンパニオンさんがいるだけで、まわりが明るくなります。

取材モードでいたせいもありますが、今回のモーターショー、肝心のクルマをほとんど見ていなかったことに気付きました。コンパニオンさんのファッションには企業の姿勢やセンスがあらわれているので、衣装の好みから好きなメーカーを決めても良いかもしれません。新しいクルマ選びの一案として提案したいです。

文とイラスト・辛酸なめ子