Appleの緊急SOS衛星通信機能が登場したのは昨年11月。約1年ですでにすばらしい救助の役目をこなしています。ロサンゼルス郡の渓谷で道に迷ったハイカーを救出したり、アラスカの遠隔地で立ち往生したスノーモービル乗りの位置を特定したり。
そして先日のハワイ・マウイ島の山火事から逃げる人たちの救助に一役買いました。Michael J. Miraflorさん(男性)によると、家族らとマウイ島のラハイナ地区で休暇を過ごしていた際に、周囲に突然火が燃えさかっているのに気付いたそうです。Miraflorさんは、Apple緊急SOS機能で行なわれたやりとりをスクリーンショットに撮ってツイートしており、家族のひとりがiPhone 14の衛星緊急SOSサービスを使って助けを求める緊迫したメッセージが確認できます。
どんな状況だった?
Miraflorさんたちがいたのはマウイ島の観光客が訪れる中心部なので、通信状態がよいとされる場所ですが、火災のせいで通信が途絶えてしまったようでこのサービスを使っています。
「白いバンの中に5人」と助けを求める呼びかけが書かれていて、その後には大文字で「どうしたらいいの!そこら中、火だらけ!」と緊迫したメールが送られています。iPhone 14から詳細を送信し、Appleの緊急SOSディスパッチセンターと現地の当局とのやりとりと、救助が終了するまで、約34分間でした。
My brother’s girlfriend’s cousin and his family were caught in their vehicle in Maui while the wildfires suddenly erupted around them.
— Michael J. Miraflor (@michaelmiraflor) August 10, 2023
No cell service, so Apple Emergency SOS was the only way they could get in contact with first responders. Literally saved their lives. pic.twitter.com/PpxNwTGOAf
iPhone 14の緊急連絡先として登録されている人は、会話のログと時間を見ることができるようになっています。
Miraflorさんはこのスクリーンショットを一緒にいた「お兄さんの彼女のいとこ」から入手したそう。複雑な話ですが、スクリーンショットを撮ったのは「Miraflorさんのお兄さんの彼女」で、この彼女さんが緊急連絡先として登録されていたんだそうです。関係が遠くて何が何やらですけど…。
緊急時は誰だってテンパってしまいます。でもこの機能を使えば救出されたり、危険から身を遠ざけることができるので、ぜひおうちで予行練習として緊急SOSの使い方をデモを試してみてください(衛星経由の緊急 SOS に対応した国または地域のみ)。一度試しておくと有事でも慌てずに使えるようになります。
iPhone 15にも緊急SOS衛星通信機能は搭載されそう
Appleは、この緊急SOS衛星通信機能にアメリカだけで約4億5000万ドル(約650億円)もの大金を注ぎ込んで開発。最新デバイスのiPhone 14/14 Proは、衛星への信号送信ハードウェアが内蔵されています。
現在、この機能が使えるのはiPhone 14/14 Proのみですが、おそらく9月に発表が見込まれているiPhone 15にも搭載されるでしょう。SOSサービスは現在、アメリカ、カナダ、西ヨーロッパのほとんど、ニュージーランド、オーストラリアなどで使用可能です。
緊急SOS衛星通信機能は今のところ「iPhoneだけの機能」
一方でAndroidはこのSOS機能がない状態です。今年初めに、アメリカのモバイル通信技術関連企業QualcommはこれからAndroidに装備される予定の衛星通信機能のデモンストレーションしましたが、対象はQualcommのチップを使用しているSamsungなどに限られるそうです。
AndroidのシニアバイスプレジデントHiroshi Lockheimer氏は、Android 14で衛星通信機能の対応をすると約束してはいますが、Googleのスマートフォン「Pixel」シリーズにこういった機能はくるんでしょうか?(Pixel 6とPixel 7に車の衝突検出機能はありますが、携帯電話の電波があるときしか使えない、という状況)。
携帯電話の電波がない状況でも緊急サービスに連絡できることは、Appleのエコシステムにおいて大変重要な付加価値となっているように感じます。そして、予期せぬ災害が続く今、こうした救助の実例をニュースで聞くと、緊急サービス機能を持つiPhoneがほしいと思う人も多いのでは?
Androidも早急に対応してほしいところですね。