落ちたサイト360万件。欧州最大のデータセンター炎上、データが空のクラウドに...

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落ちたサイト360万件。欧州最大のデータセンター炎上、データが空のクラウドに...
鎮火後のOVHデータセンター
Photo: Hadrian / Shutterstock.com

銀行も政府も報道機関もダウン。

その数350万サイト。FR.ドメインの2%ですってよ

3月10日未明、フランス東部ストラスブールにある欧州最大のデータセンターで火災が発生し、OVHクラウド(OVHcloud)が運用するデータセンター4棟のうちSBG-2と呼ばれるビル(動画下)が全焼し、SBG-1も一部焼失。ここにデータを保管していたオンライン人気サバイバルゲーム『Rust』などの非常に広い範囲でサイトが落ちたり、サービスが使えなくなるなどの障害が起きています。

幸いけが人はなし

IPO報道の直後を襲った悲劇

OVHは1999年にOctave Klaba会長が創業したフランス随一のユニコーン。EUでは米国企業のAmazon、Google、Microsoftに機密データを保管することに不安を感じる政府や法人も多いんですけど、そうしたニーズを吸い上げてドイツテレコムなどから大型契約をとって成長中です。

ホスティングプロバイダとしては欧州最大、世界を見回しても第8位の規模を誇り、ちょうど火災の前々日には「パリ株式市場IPOを検討中」と報じられたばかりでした。実現すればフランスの本年最大のIPOと伝えられていただけに、現地では「なんというタイミング…」と驚きをもって迎えられています。

OVH会長がしょぼしょぼの目で復旧状況を連続ツイート

気になる被害状況と復旧目途については、Klaba会長自らが次のスレッドで逐一報告しています

最初は現場が立ち入り禁止で被害確認ができませんでしたが、12日の最新情報では、焼け残った「SBG1、3、4を1部屋1部屋回って設備を点検中」とあります。「SBG1と4に関しては19日までに全サーバー復旧できそうですが、SBG3は17日から着手してさらに6~8日かかる見通し」とのこと。今は顧客各社に説明に回って、対策を個別に相談中だそうですよ?

詳細は動画で説明しているのですが、げっそりと憔悴し切ってて、見た人たちからは「ちゃんと睡眠とれよ」と心配する声も集まってます。

被害を受けた顧客

眠れないのは顧客も一緒です。人気WordPress用プラグインのWP Rocketもサイトがダウン(プラグインは大丈夫)したし、 ImagifyもAvidemux.orgもtruckersmp.comも軒並みサービス障害で大変でした。サイト管理者は今ごろ目の下にクマだと思います。

ゲーム『Rust』の運営チームは火災当日から「OVHデータセンター火災の影響により、EU地域のサーバー22基がオフラインになった。OVHのSBG-2が焼失し、焼けたサーバに保管していたデータに大規模な被害が予想される」と説明に大わらわ。2日目には「OVH火災で焼けたEU地域のサーバーは全滅が確認された。データは回復不能」と発表しています。影響が気になりますね…。

出火原因は不明

出火の原因はまだよくわかっていません。OVHは被害に遭った顧客のためにほかのデータセンターを確保するとともに、新たにサーバー1万台を今後数週間かけて追加で導入する予定です。

空のクラウドにアップロード中

ただ、いくら別のデータセンターやサーバーを確保したって消えたものは戻らないので、使う側もクラウドのバックアップは絶対必要! 空の雲になっちゃうことだってあるんだから…とこの写真を見てしみじみ思いました、はい…。