「Raspberry Pi 400」はキーボードにパソコンが入った約1万円の偉業

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「Raspberry Pi 400」はキーボードにパソコンが入った約1万円の偉業
Photo: John Biggs/Gizmodo

だいたいデスクトップコンピューター。

Raspberry Pi財団から、キーボードの中にコンピュータを内蔵したRaspberry Pi 400が登場しました。キーボードにモニターとマウスをつなげば、パソコンとして使えちゃうんです。しかも100ドル(約1万500円)って、何それほしいですよね。そんなわけで米GizmodoのJohn Biggs編集長が、勢い余り気味にレビューしています。


DIYコンピューティング好きは、Rapberry Piが大好物です。シングルボードコンピューターのRaspberry Piにはいくつかのバージョンが生まれてきましたが、最近は安めのデスクトップマシンとほぼ同じくらいパワフルになっています。でもひとつRaspberry Piの敷居を高くしている要素は、それが単体では使えなくて、パソコン的に使うにはモニターとかキーボード、マウスを用意するか、それらがそろったキットを買う必要があることです。

そんな敷居を一気に崩壊させるキットが登場しました。Rapberry Pi 400はRapberry Pi 4をすごく打ちやすいキーボードに内蔵したもので、有線マウスとHDMIケーブル、電源ケーブル、Rapberry Pi OSの入ったmicroSDカードも付いてきます。あとは初心者向けの公式ガイドも付属してます。ディスプレイは自前で用意しましょう。

Raspberry Pi 400

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これは何?:100ドル(約1万500円)ぽっきりの、Raspberry搭載コンピューター

価格:100ドル(約1万500円)

好きなところ:使いやすいキーボードに、しっかり作られたコンピューターが入ってること。

好きじゃないところ:教育ツールとしてはどうなのかな、と(でもLinuxの動かし方は勉強できます)。


で、Raspberry Piって何ができるんでしたっけ?

まずRaspberry Piとは何かをおさらいします。それはシングルボードコンピューターで、そこには周辺機器をつなげられて、何らかのLinux OSを動かせます。標準モデルのRaspberry Pi 4はケースにも何にも入ってないむき出しの基板にCPUやらが載ってる状態なので、入出力インターフェースに周辺機器とかセンサーを簡単につなげられます。Raspberry Pi 400にも入出力インターフェースがありますが、それはキーボードの端に並んでいます。

Raspberry Pi 400はクアッドコアの64bitプロセッサ搭載、RAMは4GBです。Wi-Fiをサポートし、4K動画も再生できます。Linuxを動かしてるので、オープンソースアプリをいくらでもインストールできます。僕はゲーム『Civilization』のクローンの『FreeCiv』をプレイして楽しめました。Scratchみたいな教育アプリも動かせて、Webブラウザとターミナル、パッケージマネジャーも入ってます。

WindowsとかMacOSを理解して使える人なら、このOSもそんなに変わりません。僕の子供たちもいくつかのLinuxをここ数年使ってきて、Raspberry Pi OS上で何をしていてもつまづいたことはないですが、このへんは人によって違うと思います。

Raspberry Pi 400はどんな人向け?

Rapberry Pi 400は自己完結型のコンピューターなので、教育用とか学校用ツールにも使えます。安くてパワフルで、とにかく機能して、ケースとか他のアクセサリについて色々考える必要もないです。プラグインすればOKです。

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FreeCivが楽しくて。(Image:John Biggs - Gizmodo US)


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Raspberry Pi 400はリアルに使えるコンピューター。(Image: John Biggs - Gizmodo US)


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起動中。(Image:John Biggs - Gizmodo US)


とはいえ、Raspberry Piを初めて使うなら多分、素のRaspberry Piを使うべきです。ケースなしの30ドル(約3,100円)のRaspberry Piは、100ドル(約1万500円)のキーボード版より安いからです。Raspberry Pi 4みたいなケースなしのボードを扱うのが不安な人は、5ドル(約510円)のケースを買えばOKです。

何かやりたいことがはっきりしてるなら、たとえば子供が使うコンピューターを作るとか、キオスク型コンピューターを作るとかなら、Rapberry Pi 400はぴったりです。自己完結型で、静かで、すごくしっかりできてます。キーボードが初期のMacBookキーボードにちょっと似てることがすごく気に入ってます。最近のものじゃなく、かつての打ち心地の良いキーボードのことですが、正直キーキャップとかスイッチはRaspberry Pi 400のほうがもっと丈夫だと思います。それに、OSが入ったmicroSDカードがついてることもすごくいいとこです。Raspberry Piで一番苦労する部分のひとつはソフトウェアをSDカードにインストールしなきゃいけないことで、OSがプレインストールされてるってことは、立ち上げたらすぐ動かせるってことです。

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Image: John Biggs - Gizmodo US

自分次第で何でもありを、100ドルで

Raspberry Piは、いろんなものになり得ます。安価な教育マシン、ハッカーの友、実験ツール。むき出しの基板とWi-Fiを使って、ロボットを動かしたり、あやしい人を見張る監視カメラを作ったり、古いゲームを動かしたり、いろんなことができます。何らかのハードウェアプロジェクトを作るならケースなしのRaspberry Piを手に入れたほうがいいですが、Webブラウジングするとか、プログラミング、文書作成とかのコンピューターにするなら、Raspberry Pi 400はすごく良いです。

でも何か悪い部分があるとしたら…とくにないです。Raspberry Piに求めるものをしっかり理解してれば、がっかりするようなことはないはずです。こRaspberry Pi 400で『Fortnite』はプレイできませんが、コーディングを勉強したり、何か書いたり、調べたりを、ペーパーバックくらいのサイズのマシンでできるようになります。正直このビルドクオリティとパワーには驚きました。Raspberry Pi 400はエントリレベルのRaspberry Piとして素晴らしくできているし、単にコンピューターとして見てもすごいです。DIY系の製品が、ちゃんと使えるプロフェッショナルレベルに達することはめったにありませんが、Raspberry Piのチームはまさにそんなレアな偉業をやってのけました。

まとめ

・キーボードにコンピューターが入ってます。

・100ドルってすごい。