いけ、オクトキャット!
GitHubにポストされていたYouTubeのコンテンツをダウンロードするためのツール「YouTube-dl」。アメリカレコード協会からデジタルミレニアム著作権法に当たるとの要請をうけ、GitHub運営がこのツールを非公開としたのが約3週間前。しかし、落胆するデベロッパを目にしてGitHubは方向転換。デベロッパを、彼らの作品を守るべきだと結論をだし、今週月曜日、再びYouTube-dl公開に踏み切りました。
YouTube-dlは、GitHub上で出回っているプログラムの中でもかなり人気のコード。しかし、アメリカレコード協会が懸念・指摘したのは、これを使って動画をダウンロードすれば、非公式にコピー品を作れてしまう可能性があるということ。レコード協会の要請を受け、プログラム非公開とすると、多くのデベロッパがプログラムを再度アップロードする、類義コードを作るなどして猛抗議。GitHubの裏切り行為という厳しい声もあがりました。その結果、GitHubは本件を慎重に検討した上で、公開しても法的には問題なしと判断。GitHubの立ち位置は、あくまでもデベロッパ側。最優先すべきはデベロッパコミュニティとオープンソースの場であり、彼らの作品を守ってこそという結論に達したのです。
GitHubがコード再公開に踏み切ったのは、なにもアツい思いだけで法と戦おうというわけじゃありません。そもそもレコード協会の訴えが不当であると判断したからなんです。まずレコード協会の指摘する、著作権つきでYouTubeに公開されている曲をダウンロードしたというYouTube-dlソースコードのレポジトリは、コードの動作確認のために数秒ストリーミングするためのものだったということ。さらに、デジタル著作権を専門に取り扱うNPO団体Electronic Frontier Foundation(EFF)が、GitHubを完全バックアップし、YouTube-dlは、問題のデジタルミレニアム著作権法第12021条には抵触しないと助言したからです。EFFいわく、技術的にはウェブブラウザが情報を受け取るのと大差ないといいます。
YouTube-dlが、多くの正当な目的のために利用されているのも事実。正当な目的とはつまり、アクセシビリティの観点から再生スピードを変更する、人権侵害を訴えるときの証拠保存をとる、ジャーナリズムの場でのファクトチェック、または著作権フリーのコンテンツをダウンロードする、など。つまり、素晴らしい使い道がたくさんある人気のコードに対して、不当に騒ぎ立ててくれるなと。また、TNWによれば、デジタルミレニアム著作権法第12021条の訴えは、会社内部・外部の専門家に判断してもらう必要があるそうで、クレームきた=取下げなきゃダメという単純なプロセスで済むことではないのです。GItHub的には、一時コードを取り下げた3週間は、この点を確認、方針固めをしていた時間だったのでしょう。
また、GitHubはデベロッパを不当なクレームから守るプロジェクトも発表。クレームが正当なものか否か専門家に相談などできるよう、100万ドルのデベロッパ保護基金を設立。徹底してオープンソース開発者のバックアップにまわります。
GitHub CEOのNat Friedman氏は、GitHubの発表をツイートし「デジタルミレニアム著作権法第12021条は機能しておらず、見直しされるべき。開発者にもっと開発の自由を」とコメントで訴えています。
We are taking a stand for developers and have reinstated the youtube-dl repo. Section 1201 of the DMCA is broken and needs to be fixed. Developers should have the freedom to tinker. That's how you get great tools like youtube-dl. https://t.co/k0sbsNN30u
— Nat Friedman (@natfriedman) November 16, 2020