苦しんでいるのはどちら?
米中貿易戦争のあおりを受け、Huawei(ファーウェイ)は、厳しい状況に追い込まれていると見られてきました。たとえば、Google(グーグル)の各種ソフトウェアの正規ライセンスが制限されてしまっているため、GmailもChromeもGoogleマップも初期搭載せず、Google Playのアプリストアからほしいアプリを自由に追加することもままならない状態で、スマートフォンの新モデルを発売せざるを得ない模様…。これでは、売れ行きが落ち込んでも仕方ないですよね?
そう思われていたはずが、このほどsiliconANGLEは、まさかのHuawei製のスマートフォンが、売れに売れていると伝えています! Gartnerの今年第3四半期(7~9月期)の調査データによると、同四半期中のHuaweiによるスマートフォン出荷台数は約6580万台。米国による厳格な排除政策の影響を受けていたにもかかわらず、前年同期の約5200万台の出荷台数から大幅にアップし、17%の世界市場シェアを確保しました。前年の同じ時期は13.4%のシェアでしたから、着実に世界のスマートフォン市場で存在感を増していることを意味しています。
一方、同四半期に、これまたまさかの失速という結果になったのは、Apple(アップル)です。自由にビジネスを展開できなくなっているHuaweiに代わり、iPhoneが人気回復するのかと思いきや、約4080万台の出荷台数で、10.5%の市場シェアにとどまりました。前年同期には約4570万台を出荷し、11.8%の市場シェアをキープしていたので、引き続き厳しい競争にさらされている状況も伝わってきますよね?
世界的に見るならば、米国が提唱する排除政策によって、Huaweiのブランド価値が傷つけられたことは間違いない。しかしながら、中国市場での売れ行きが成長をけん引し続けている。米国との対立は、Huawei製品を支持する愛国精神と結びつき、中国でHuaweiのモデルが人気となる構図を強める結果となった。
今回の調査レポートを受け、Gartnerは、このような分析をしているそうです。中国メーカーの勢いを弱め、米国企業に恩恵をもたらすはずだった米中貿易戦争の目論見が、どうやら一時的には逆の効果を生み、かえって中国ではiPhoneが毛嫌いされてしまう状態さえ見られているんだとか。なお、1年前と比べれば、売れ行きが落ちているiPhoneですけど、直近では、今年第2四半期(4~6月期)より出荷台数が少し伸びており、今後はクリスマス商戦の勢いにも乗って、再び成長に転じていくかもしれませんね。
Source: siliconANGLE