だけど、Touch Barは据え置きです。
Apple(アップル)が16インチのMacBook Proを発表しました。長年つづいた15.4インチのMacBook Proが16インチに。ベゼルをより薄く、ディスプレイはより大型にして、中身も大幅にアップグレードされています。
最大のトピックとして、2016年からのモデルで不良・故障問題がつづいていたバタフライキーボードが、新設計のシザータイプに変更されました。そして、Touch Barに取り込まれたことで使いにくくなっていたEscキーは物理キーで復活します!(最高!)Touch IDはMacBook Airのものと同じくひとつのキーとして独立。ですが、Touch Barは残っています。
だいたいの見た目を含めて、基本的にはこれまでの15インチの生まれ変わりですが、フォームファクタの変更やスペック上の限界突破もあり、かなり見所の多いアップグレードになってます。

まずキーボードから。今回の変更について、MacBook Proの担当プロダクトマネージャーはこう話しています。
現行のバタフライメカニズムのキーボードも、緻密に精密にデリバリーしていて軽量化に役立ちました。多くの人には気に入ってもらえているものの、中にはお気に召さない人もいます。そこでエンジニアチームがユーザーデザインのリサーチをし、そのリサーチで素晴らしいキーボードを作るためには、数々の条件を満たさなければならないとわかったんです。
そのリサーチの結果、生まれたのが今回の16インチMacBook Proのキーボード。
iMacやiMac Proのキーボードにインスパイアされて名前はMagic Keyboardに。何がMagicなのかわからないままですが、キーストロークはバタフライキーボードより0.45mm増の1mmを確保、バタフライは叩く・触るようなイメージでしたが、こちらは明確に押す感覚あります。なのにタイピングの音は抑えられています。
いまこのテキストも新キーボードで書いてますが、バタフライキーボードに慣れた僕の指には、いつもよりも少しちからを入れてタイピングしているような感覚があります。けど、そこまで意識はいらず、すぐ慣れそうです。書くまでもないかもですが、バックライトもきっちり装備されてます。








ディスプレイは16インチに3072×1920pxの227ppi。IPS液晶で一部でうわさが出ていたOLEDじゃありません。値段が高くなっちゃうだろうしね。色は広色域のP3カラーに対応してます。True Toneももちろんサポート。ベゼルは横を26%、縦を34%小さくしたことで、没入感、高まりました。これまでなんとも思わなかった15インチのベゼルが野暮ったく見えてくる現象、あります。これはもうしょうがない。
わかりやすい変化もいいんですが、16インチ、中身もけっこういけてます。
プロセッサは第9世代インテル6コアのCore i7、または8コアのCore i9で、こちらはターボブーストで5.0GHzまでいけます。筐体側で熱処理のアーキテクチャを刷新したので、新しいファンが空気の流れを28%改善、ヒートシンクは35%表面積が増えることで、放熱効率が上がっています。ふむふむ。
GPUは7nmプロセスのAMD Radeon Pro 5000Mシリーズ。VRAMはこれまで最大だった4GBから最大8GBにアップ。規格は新しいGDDR6。VRAM 4GBの5500Mでも前モデルのRadeon Pro 560Xの2.1倍速いとのこと。なるほどぉ。
そしてメインメモリはついに最大64GB。え。ストレージは最大8TBのSSD。お。シーケンシャルリードで3.2GB/s出ます。

こういうハイパフォーマンスをぶん回すために、電源アダプタも87Wから96Wに仕様変更。ちなみにサイズは据え置き。
普段スペックの数字で上がるタイプじゃないんですが、16インチMacBook Proのこれには正直ちょっと心くすぐられます。とくにメモリとストレージはBTOでMAXにしたい欲がすごい。いくらになるかは知らない。
こうなってくると13インチのMacBook Proとのスペック差がすごいから、16インチはMacBook Pro Maxに改名……嘘です。

今回、少しおもしろいのが6個内蔵されているスピーカー。中でもウーファーはこれまでハイエンドのものにしか使われてこなかった「フォースキャンセリングウーファー」というものらしく、ウーファーを対面させてサウンドを歪めてしまうシステムの振動を抑えることによって、さらに低い音を出力できるとのこと。
これが効いてるのかはわからないんだけど、スピーカーの音、確かに断然良くなってます。2017年の15インチと同じ場所で同じ曲のFLACを鳴らしてみたところ、明らかに低音の鳴りが違いました。見た目はさほど変わらない15インチとここまで出てくる音がちがうと、ラップトップのサウンドも工夫でこんなに変わるんだなあとはじめて知りましたね、はい。
これはぜひ実機で聞いてください。HomePodのような、「この筐体からこの音が鳴るのか」の体験ができます。

入出力は、おなじみThunderbolt 3とUSB 3.1 Gen 2、DisplayPortがいけるUSB-C×4。片側に2つずつね。3.5mmのヘッドホンジャックも変更なし。
ワイヤレスは802.11ac/a/b/g/n、Bluetoothはもちろん5.0。TrackpadはForce Touch対応です。

15インチとの筐体サイズ比較もしておきますか。こんな感じです。下が16、上が15。

16インチは厚み増してます。

と言ってもほんのこれだけ。
ですが、「15インチの筐体に16インチ入ったよ」ではないので、タイトめな15インチケースを16インチで使おうとするとダメなこともあると思います。
重さは2.0kg。

カラバリは、シルバーとスペースグレイ。

お値段は、2.6GHzの6コア Intel Core i7、512GB SSDのモデルが24万8800円、2.3GHzの8コア Intel Core i9、1TB SSDのモデルが28万8800円なり。それぞれ税別。
Available Todayで早ければ今週中にも手元に届くかもしれません。
取材協力:Apple