やっと追いついた。
MacBook Airが一新されました。ここ何年も、小さなマイナーチェンジはありましたが、今年ほどAirがリニューアルしたのは初めてです。
2015年に登場したMacBookから始まった、バタフライキーボード世代(勝手にそう呼んでいる)のMacBookシリーズ。MacBook Airだけが、この新しいハードウェアの波に乗れていませんでした。いや、バタフライキーボードどころか、Retina Displayですらなかったんです。だから2015年に、新しいハードウェアとコンパクトさを備えた「MacBook」が発表されたときにはみんな、「あれ、Airってそのうち無くなっちゃうの?」って思ったんですよね。
今回のAirはついに第3世代バタフライキーボードやUSB Type-C、Touch ID、Retina Displayを搭載しました。僕は職場ではMacBook Air 2017、プライベートではMacBook Pro Early 2015を持っていて、記事作成や写真編集、音声編集に使います。ちょうどバタフライキーボード世代のMacが欲しいと思っていたところだったので、これは期待できる...!と思っていたのですが予想とは違うことも...
MacBook Air 2018

これは何?:Appleのノートパソコンのエントリーモデル
価格:13万4800円(税別)〜
好きなところ:美しい外観に定番ハードウェアを搭載していること
好きじゃないところ:他のMacBookシリーズがライバルになってしまう価格帯
今回レビューをしたモデル
画面:13.3インチ Retinaディスプレイ
解像度:2,560 x 1,600ピクセル、227ppi
メモリ:8GB
ストレージ:128GB SSD
プロセッサー:1.6GHzデュアルコア第8世代Intel Core i5プロセッサ(Turbo Boost使用時最大3.6GHz)
重量:1.25kg
その他: Touch ID、2つのThunderbolt 3(USB-C)ポート、第3世代バタフライキーボード
MacBookシリーズの定番はぜんぶ盛り込まれてます

今回レビューするのはゴールドモデル。実際にはピンク色のように見えますが、不思議と落ち着いていて、親しみやすい色です。
これまでのAirにくらべてディスプレイの先の部分が分厚いのですが、これはむしろ気に入りました。この部分を掴んで脇に抱えたときにしっくりくるんです。重量は1.25 kgで、2017年のMacBook Airに比べて100g軽くなりましたが、新しいAirは非常に剛性感があって安定しています。1番それを感じるのが、片手でディスプレイを動かしたとき。キーボード側がまったく動かないんですよ。小さなことだけれども、「いいモノ使ってる」感が出るんですよねぇ。

今回のAirに搭載されたバタフライキーボードやRetinaディスプレイ、Touch IDのようなハードは、今までブラッシュアップを重ねて改良されてきたものたち。いわばこれまでの「定番」の品が詰まったMacBook Airです。
バタフライ世代より前のMacBookしか使ったことがなかったのですが、第3世代バタフライキーボードは好印象です。浅いのに押した感じがしっかりあり、心地いい打鍵音でアドレナリンが出ているような気がします。ただ、興奮してタターンッ!ってタイプしているとやっぱりうるさい事もありますけどね。

Airに用意された2つのUSB-Cポート、これもバタフライ世代の特徴ですよね。当初は対応するアクセサリーが少なくて、不満の声もありましたが、今となってはマルチハブや充電アクセサリーも充実しています。ポートが2つあることで、マルチハブを使いながら急速充電したりすることも可能ですね。欲を言えば、左右に1つずつあったほうが便利だったなぁとは思いますが。

そしてRetinaディスプレイ。MacBook Airサイズで13インチのRetinaを味わえるのは素直に感動しました。他のMacBookシリーズと同じ土俵に立っただけですが、ただただうれしいです。他人のMacBook ProのRetinaディスプレイを覗いたあとに、自分の旧Airのディスプレイに目を戻したときのなんともいえない切なさ、感じていたのは僕だけじゃないはず。
ただ1つの強み、「Touch Bar不在のTouch ID」は...?
とはいえ、どうしても気になってしまう値段の話。今回のMacBook Airは絶妙にどうしたらいいのかわからない価格なんです。というのも、Apple製品の現行製品で考えても、さらに330gも軽いMacBookや、もっとスペックのいいTouch BarなしMacBook Pro 13インチが同じ価格帯で比較対象になってしまいます。人によってはiPad Proで済んでしまうでしょうし、macOSである必要がない人も大勢いるはず。だからこそ、この価格でこのMacBook Airを選ぶのなら、それなりの理由が必要ですよね。

僕にとってはその理由が「Touch Bar不在のTouch ID」だったんです。
これまでTouch Bar搭載機しか持つことを許されなかったTouch IDですが、AirにはTouch IDだけがついているのです。なにか特別なご褒美をもらえたような気がして、発表時には編集部が妙な一体感で盛り上がったのを覚えています。
しかし、実際に使ってみると、Touch IDそのものが想像していたほどの体験ではありませんでした。というか、あまり使わないことに気づいてしまったんですよね...。原因はApple Watch。指をTouch IDに持っていかなくてもApple Watchでアンロックできてしまう、しかもこれがけっこう速いんですよ...
App Storeにないソフトウェアをインストールするときなど、重要な場面ではパスワードを打ち込まないといけないことがほとんどで、iPhoneで使うTouch IDと比べるとなんだか使いきれていない感があります。
iPad ProのFace IDを体験したことがあれば、なおさらです。アンロックしたという感覚がないほどシームレスに使いはじめられる、というのを経験してしまっているので、やっぱり指をTouch IDに持っていくのはひと仕事に感じてしまいます。...これ、贅沢でしょうか?
選ぶ理由があれば最高のAir

それでも、MacBook Air 2017を使っている身からすると、2018年のMacBook Airは比べ物にならないくらい快適です。目新しい機能や技術が搭載されていなくても、コンパクトで大抵のことはこなせるマシン、という使命は十分に果たしてくれますし、長く付き合っていけそうな気がします。
これよりも軽量なものが欲しければMacBookを買えばいいし、動画も編集したければMacBook ProのTouch Barなしを選べばいいでしょう。いっぽう、この価格帯で第3世代バタフライキーボードを持つのはMacBook Airだけ。
自分がどう使うかを見極めた上でMacBook Airを選ぶのなら、きっと損はしないと思いますよ。