またひとつ、科学の力で常識が変わりました。
これまでアイススケートが氷上を滑るのは、「スケートの刃が氷を溶かすからツルツルになる」と考えられてきました。
しかしアムステルダム大学のダニエル・ボン教授がとある実験を行ない、その常識が間違っていることを証明したのです。
その実験とは、一般的なスケートリンクの上にて、-100度から0度まで冷やした鉄球を、氷の上で転がすというもの。これにより-100度から-71度までは摩擦係数が高いことが判った一方、-70度から摩擦が減少し、-7度でそれが最小になることを突き止めたのです。
分子動力学法と呼ばれるシミュレーションを使ったところ、何が起こっているのかが詳しくわかってきました。それは、氷上にはとある層があり、そこには目視できないほど極小の分子がたくさんあって、互いに2〜3個のつながりを持ってくっついているのです。
温度が-70度より温かいと、ふたつのつながりを持った分子の集合体が増加します。そしてそれらは転がる丸太のようにクルクル回転し、そこに乗せたスケートの刃、および転んだお尻がツルリーンっと滑るってワケなのです。
ということで、これからエフゲニア・メドベージェワがセーラームーンのコスプレで氷上を舞う時は、「今たくさんの分子が丸太になって転がってるんだ」と思いながら月に代わってお仕置きされちゃいましょう。