二輪にCarPlayやばい便利、安全、楽。
「GOLDWING(ゴールドウイング)」はホンダ二輪のフラッグシップモデル。17年ぶりとなるフルモデルチェンジを行ない4月に国内発売予定。今回ホンダのご招待でいち早くテキサスで新型ゴールドウイングを試乗取材。二輪初搭載のApple CarPlayを体験してきましたよ!
なぜ二輪にCarPlayなの?
「そもそもCarPlayって何?」「 スマホをBluetooth接続して音だけスピーカーで鳴らすから十分だよ」という人も多いでしょう。確かにクルマの場合はスマホホルダーにつけてBluetooth接続すれば普段のアプリの使い勝手で音楽からナビソフトまで、手軽に使えますね。
ところがこれ、二輪車でやろうとすると大変なんですよ。
二輪車にはスマホホルダーをつける場所がないし、つけられたとしても突起物となって危ないし。
次に大変なのはタッチ画面ということ。これは素手の時はとても便利なんですが、グローブをしていると反応しません。タッチ対応グローブもあるのでそれを使えば反応はするけど、グローブだと細かいタッチはできないし、そもそも画面ロックを解除するのに指紋認証だと無理。iPhone XのFace IDだってヘルメット被っているから認識してもらえません。
だからいちいちグローブ外してタッチ操作するんですけど、面倒だし、FaceIDをヘルメット外してやるのはもはや現実的じゃない。
ってことで二輪車とスマホってあんまり親和性がよくなかったんですよ。

しかしもう大丈夫、CarPlayがあれば。ゴールドウイングにiPhoneを接続すればCarPlayが起動するので、あとは手元のスイッチで操作をするだけ。音声コマンドで目的地を入力することもできます。これまでいちいち止まって、グローブを外して操作してたのが、走行しながらでもできるようになるんです。こりゃ超便利!
CarPlayのつなげ方

CarPlayのつなげ方は簡単。まずヘルメットのヘッドセットとゴールドウイングをBluetooth接続します。これでゴールドウイングとイヤフォン、マイクが接続されます。

そのあとゴールドウイングの小物入れにあるUSB端子にライトニングケーブルでiPhoneをつなぐだけ。iPhoneは小物入れに入れておけるから落ちる心配もないし、雨で濡れることもありません。

するとメニューにCarPlayが表示され、みたことのあるアイコンがずらりと並びます。あとは好きなアプリを起動すればOK。

CarPlayで起動するアプリは、電話、ミュージック、マップ、メッセージ、PodCast、オーディオブック、Amazon Music、SpotifyなどCarPlay対応のアプリ。

iPhoneにダウンロードした音楽をiPodのように再生できるのはもちろん、ストリーミングにも対応。

Apple Musicの他にも、Amazon MusicやSpotifyで好きな音楽を流せるから超便利。もっともギガ(通信容量)が減っちゃうのでお気をつけて。
音声入力とマップナビが最高のマリアージュ

ゴールドウイングには車載ナビゲーションが組み込まれていますが、それとは別にCarPlayでAppleのマップアプリを使うことができるんです。なぜこれを使いたいかというと、音声認識ができるから。
例えば
「ニューヨークに行く」
と言えば、即座に目的地をニューヨークにセット、すぐさまナビゲーションを開始できます。とにかくこれが素早い。

さらに便利なのが、ガソリンが少なくなった時。
「近くのガソリンスタンド」
と言えば、近くのガソリンスタンドの候補を出してくれるんです。あとは好きなスタンドを手元のスイッチで選択すればOK。これならツーリング中でも走行しながらすぐさま目的地をガソリンスタンドに変更できますよ。

近くのレストランやパーキングの情報も出すことができます。今までいちいち止まって、グローブ外して、検索して、目的地セットして、とやっていたのが嘘みたいに便利になりました。まさに二輪車こそCarPlayの面目躍如ですね。
気をつけたいマイク設定
さて便利すぎるCarPlayの音声認識ですが、ひとつ困ったことがありました。それはマイクの位置や向きによって誤認識が多くなってしまうところ。特にバイクのヘルメットは風がビュービュー当たるのでどうしても音を拾いにくくなっちゃうんですね。
なのでヘルメット選びからマイクの位置と向きを調整するのが大事。まあ手元のスイッチでも操作できるんですけど、一度目的地を音声で入れる便利さを知ってしまうと、いちいち入力して検索してとかもう考えられません。
実際にゴールドウイングに乗ってみた
CarPlay対応からわかるように新型ゴールドウイングは最新テクノロジーが満載。これまで5速のマニュアルミッションのみだったのが最新のデュアルクラッチミッション7速DCTを搭載。まるでスクーターのようにアクセルをひねるだけで加速できますし、さらに圧巻なのがウォーキングモード。
前モデルから40kg軽量化されたとはいえ、380kgの重量は車庫入れで難儀します。前モデルでもバック(後退)ができましたが手順が煩雑でした。ニュートラルに入れた後にバックボタンを押して、セルモータースイッチを押してバック、その後前に進む時はバックボタンを解除して、ギアを1速に入れて、半クラッチを使って前進と、切り返しの時はこれを何度も繰り返さなきゃいけませんでした。
新型はなんとスイッチで前進と後退ができるんですよ。一旦ウォーキングモードに入れたら、DCTのギアダウンボタンで後退、ギアアップボタンで前進とスイッチ一つで前に後ろに自由自在。

旧型は二輪車というよりもまるで陸の上をいく船といった感じでしたが、今回の新型は宇宙船。デザインも未来的だし、色々と自動化されたおかげで走らせるのは簡単で、二輪車のもつ爽快感がより感じられます。ソファのような後部座席は同乗者にも好評。
自動車免許に比べたら二輪免許は安いし、車庫証明もいらないし、維持費も安いです。寒い日でもグリップヒーターとシートヒーターであったか快適。大きな電動スクリーンは調整もスイッチひとつで楽々。フロントスクリーンを上まであげればほとんど風が当たらないから寒くないし、土砂降りの雨はさすがに厳しいですけど、小雨程度であれば濡れません。

これまで大きな二輪はでかくて重くて辛い、ヤセ我慢して乗る部分もあったですけど、新型ゴールドウイングは最新テクノロジーのおかげで快適、爽快、楽々。実際に乗ってみたら目からウロコでしたよ。トランクも広いし、これで温泉ツーリングとかいったら最高だろうなあ。
「近くの温泉に行きたい!」
とつぶやけばCarPlayが近くの温泉を案内してくれるから、もうこりゃ行くしかないですね。
Photo: 野間恒毅
Source: Gold Wing | Honda
(野間恒毅)