マーベルのスペースオペラ映画第2弾『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。今回は前作に引き続きメガホンを取ったジェームズ・ガン監督にお話を伺ってまいりました。
カート・ラッセル&シルベスター・スタローンとの仕事やスターロードの父親を選んだ理由など沢山語っていただきました。重大なネタバレはありませんが、やや踏み込んだ内容ですので、ネタバレをシャットアウトしたい方は本編鑑賞後にお読みください。
――前作は凄まじい大ヒットでしたが、その続編を作る上でのプレッシャーは感じませんでしたか?
ジェームズ・ガン(以下、ガン):この3年間はすごく大変でしたが、前作に比べればぜんぜんプレッシャーはありませんでしたね。前作は果たして本当に映画を見に来てくれるのかもわからず、もしかすると自分の人生の2年半が無駄になってしまうんじゃないかと心配でした。
今作は首を長くして待っているファンがたくさんいるのはわかっていたし前作からいろんなことを学んで、それをより良い作品づくりに役立てられたので、あとは毎日ひたすら最高の映画にするための努力をするだけでした。
――カート・ラッセルやシルベスター・スタローンといった名優との撮影はいかがでしたか?
ガン:カートは……(笑) カートは事あるごとに凄まじい量の質問をしてきたので、彼との撮影の後はぐったりしましたね。あれほどまでに私を疲れさせる役者は今までにいませんでしたよ(笑)ただ、私は彼のことが大好きですし、本当に素晴らしい人物です。常にたくさんのことを考えていて、それを私にぶつけてきただけなんです。
スライ(注:スタローンの愛称)はすごく仕事がしやすかったですね。彼は監督であり脚本家でもあるので、すぐに仲良くなれました。そんなに大きな役ではないから長いこと現場にいなかったというのもあったと思いますが(笑)
とにかく、私は子供の頃にジョン・ランボーやスネーク・プリスケンごっこをしながら育ったので、幼いころのヒーローだった彼らと一緒に働けるなんて最高に素晴らしい経験でしたよ。
――そんなカート・ラッセルが演じるエゴ・ザ・リビング・プラネットですが、なぜ数あるマーベルのキャラクターの中でもとりわけ奇妙な彼をスターロードの父親にしようと思ったのでしょうか?
ガン:可笑しいだろうと思ってね(笑) 前作では喋るアライグマのロケットの登場が決まった時に、彼を映画のマスコットにするのではなく血の通ったキャラクターにしようと決めました。本来は動物のままであるべきだったのに、何者かによって動物ではない何かにされてしまったという悲しさと孤独を描いたのです。
今作のエゴも同じです。生ける惑星というコンセプトはバカげて聞こえますが、もし本当に生ける惑星がいたとしたら、どういうものだろうというところから考えていきました。それがどうやって地球の女性と子供を作るのか!?なんてことも(笑)
何百万年も孤独に過ごしてきた彼がいかにして他の生命とのつながりを持ったのかという真実味のある深い話が、たまたまバカげた話に聞こえるというだけなんですよ。
(注:エゴ・ザ・リビング・プラネットはコミックでは、1966年のソー誌に初登場したヴィラン。高い知能と物質操作の能力を持つ生ける惑星。その地表は髭面の老人の顔になっている)

――前作を制作している段階でスターロードの父をエゴにすることは決めていたのですか?
ガン:前作の制作の中盤頃には、もう今作をどういう話にするかという基本的な部分はできあがっていました。ただ、ロケットやヨンドゥの背景などなどたくさんの話は用意したものの、どれを最初に見せるか、どこに焦点を当てるかで悩みました。そして最終的に父と子の繋がりの物語にしました。そのため、前作のエンディングはあのようになったのです。
またガモーラとネビュラの姉妹の関係も大きな要素の1つとなっています。前作ではガモーラが良い奴でネビュラが悪い奴という感じでしたが、そもそもどうしてそうなったのかというところを描いています。
――私は監督が大好きだというシルバー・サーファーがスターロードの父だと予想していたのですが、今回のチョイスには驚かされました。
ガン:彼のことは大好きだけど、権利はフォックスが持っているからね(笑)――SNSでも沢山のファンの予想が飛んできたと思いますが、そういったやり取りは監督にとって楽しいものですか?
ガン:SNSは世界中の人々と触れ合えますから、素晴らしいものですよ。彼らがどんなものが好きで、どんなものが嫌いなのかが分かるのはいいものですし、たまにお返しできるのもいいですね。
私はミズーリ州の小さな町出身ですが、そんな私がこんな映画を作り、インターネットを通じて私の映画を特別なものだと捉えてくれる人々と繋がれるのは本当に最高ですよ。
子供の頃から考えたら今やっていることは本当に信じられないことですが、地道に一歩一歩ここまでやってきました。その過程で、情報を共有できるというのは良いことだと思っています。

――このシリーズは80年代っぽさを全面に押し出した作品ですが、なぜ80年代なのでしょう?
ガン:80年代に幼少期を過ごしたから沢山使っているというのもありますが、時代を問わず大好きなものを散りばめています。音楽は70年代の曲もたくさん使っていますし、全体的に50年代のパルプ小説や『フラッシュ・ゴードン』のような雰囲気も持たせています。
私が影響を受けたすべてのものを盛り込んでいるんです。アメリカの映画はもちろん、日本や中国、韓国の映画の要素も入れています。この映画はアメリカが舞台ではなく、あくまで宇宙が舞台なので、異なる文化が広がっており、地域や時代に捕らわれてはいないのです。
自分の作品を興奮気味に楽しく熱く語る姿から、いかにこのシリーズを、キャラクターたちを愛しているか、そしてなにより映画作りがどれだけ好きかが伝わってくる熱い監督でした。自分も思わず興奮してしまい、(だいぶ割愛してますが)いつもよりたくさん喋ったので、オタク2人が早口で会話する不思議な空間となっていたことでしょう。
映画は笑って泣ける宇宙家族の物語で、『スターウォーズ 帝国の逆襲』にも匹敵する銀河史上最高のSF続編といっても過言ではない仕上がり。ビジュアル、カット、セリフ、音楽、小ネタ……どこが良かったかを上げたらキリがない作品で、スーパーヒーロー映画というカテゴリーを超えて、ただただSFの名作として永遠に愛される作品となるでしょう。
エンディングまでの後半の流れはあまりに素晴らしく、個人的に「スター・ウォーズが終わるなら俺はこうやって終わってほしい」と思ってしまいました。
また、一応のマーベル作品ではありますが、前作にも増して独立した作品となっており前作以外とのつながりはほ無し。マーベル作品は見てなくても、全人類にとりあえず見ておいて欲しい作品です!!
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は5月12日(金)全国ロードショー。
・『シビル・ウォー』を手掛けた編集者にコミック制作の裏側を聞いてみた! マーベル・コミックス編集責任者トム・ブリーヴォートにインタビュー
photo: ギズモード・ジャパン編集部
image: (C) Marvel Studios 2017
source: 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』公式サイト
(傭兵ペンギン)