金のなる木、豪州の山奥で見つかる

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金のなる木、豪州の山奥で見つかる

「木からお金は生えてこない(money doesn't grow on trees)」と、英語でよく怠け者の子のこと叱りますけど、生えることもあるんですね。オーストラリアのなんもない山奥に生えてるユーカリの木から、なんと金、正真正銘の金が見つかりました!

場所は西オーストラリアのゴールドフィールズ・エスペランス(Goldfields-Esperance:金の野・希望)地域。読んで字の如く、ここは地下に大量の金が眠っている場所なのですが、探すのは困難を極めることで有名です。

そこで、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)率いる調査班が目をつけたのがユーカリ。

乾燥した荒野でもサバイブできるよう、ユーカリは地中深く根を張ります。下の図を見ていただければおわかりのように、地階10階分ぐらいまでズンズン根を下ろしていくんですね。なんたる執念。少しはユーカリを見習わなくては。

調査班では「一部のユーカリの葉っぱがキラキラ金色に輝いて見えるのは、もしや金鉱脈まで根を張り、そこから金を吸い上げているからではないのか?」という俗説を手がかりに、この地域の金鉱脈に生えてるユーカリの葉と離れた場所の葉を調べてみたのです。飛んできた砂金が付着してラメとかグリッター状態で光っていたんでは洒落にならないので、温室の中で金を混ぜた土で育てたユーカリと普通の土で育てたユーカリも調べてみました。

するとやはり、金のある場所のユーカリには微量の金が混じっていたのです。出元は地下で、確定。

根から近場のいろんなものが吸い上げられていくことは前から知られていたことだけど、まさか金まで吸い上げるとは。

「金はおそらく植物には毒だから、枯れて落ちる葉のような末端部分や細胞内の選択的部位に貯めることで有害な生体反応を軽減していることも考えられる」

「生きている生物組織の天然試料の中に金の粒子が確認されたのはこれが初めて」(Nature Communicationsに22日発表の論文より)

そうと決まれば今すぐユーカリをコアラごと切り倒しに行かなくっちゃ! …というのはちょっと待った!

木1本に含まれる金は本当に微量なんです。微量も微量、10億分の46(葉の重さの0.000005%以下)しか入ってないんです。つまり結婚指輪1個つくるのに…何百本も切り倒さなきゃいけない! 切り倒してるうちにこっちが死ぬ!

なので金のなる木というよりは、金の在り処を教えてくれるありがたい木、という位置づけですね。幸いこのゴールドフィールズ・エスペランス(金の野・希望)地域には世界の金の埋蔵量の実に30%もの金が安穏と惰眠を貪っているとされますので、小さな成果だけど獲物は大きい、かもですよ?

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Nature via Real Clear Science

関連:ナショナルジオグラフィック

Image by Mel Lintern

ADAM CLARK ESTES(原文/satomi)