触れるものすべてが黄金に変わるミダースじゃないけど、これは触れる生物すべてが石に変わる湖、場所はタンザニアです。
化石化した動物の写真を撮り歩いて最近写真集「 Across the Ravaged Land」を出版したニック・ブラント(Nick Brandt)さんによると、ここの水は水素イオン指数pH 9~10.5。極めて強い塩基性(アルカリ性)なので、こんな風に元のかたちのまま保存されてしまうのだとか。
こう話してますよ。
タンザニア北部ナトロン湖のほとりで、鳥、こうもりなどあらゆる種類の動物が打ち上げられている意外な光景を目にした。どう死んだのか、確かなところを知る人は誰もいない。だが、湖面は鏡のようなので、水面に映る風景を本物と勘違いしたのだろう。ガラス窓にぶつかる鳥のように。
ここの水はソーダと塩分を大量に含んでいて、コダックフィルムの箱を漬けるとものの数秒でインクが剥げるほど濃い。このソーダと塩が生き物の硬化(石灰化)を招き、乾くと原型のまま保存されるのだ。
動物はどれも湖畔で拾ってから、「生きていた」当時のポーズにして、いわば「生」き返らせて撮ったものだ。魂を蘇生し、死の中の生を捉えた。
残りの写真は写真集で。天敵を逃れてこの極限状況で棲息する超・希少種もいるようですが、現地で見たい方はくれぐれも近寄り過ぎませんように。
All images via © Nick Brandt 2013 Courtesy of Hasted Kraeutler Gallery, NY
ASHLEY FEINBERG(原文/satomi)